ミドルノート

  • 実業之日本社
3.62
  • (14)
  • (41)
  • (30)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 394
感想 : 37
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538433

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日経 XWOMANで連載されていたそうで、ターゲットの30代女性達が主人公。
    同じ会社で働き始めた時は似た環境にいた4人が、ワーキングマザー、これから離婚しようとする人、結婚しようとする人、シングルだけど子どもは欲しい人と全く違う状況になる。
    それぞれの立場で悩みを抱えているのだけど、その心情描写がなかなかリアルで、「そういうことあるよなあ」と、自分と似ていない人にまで共感しながら読んだ。
    友達であっても立場が違う人には、なかなか本当のことを言えない、言っても理解してもらえないんじゃないかって思う気持ちは確かに自分にもあって、その部分も頷きながら読んだ。
    「ミドルノートもラストノートの手前の大事な香り」らしいので、楽しいことも辛いことも大事にしないと。

  • 同じ会社で働いていた女性たちの物語。昇進、転職、結婚、派遣切り、様々な環境の変化に直面し彼女たちは、それぞれの人生を歩み始める。
    どの人生が結局一番幸せだったのか?それは各々の人生の主役が決めることであり、どの女性にも共感できる部分がある。正解を求めながら、必死に生きていく彼女たちを応援したくなった。

  • 朝比奈さん、「君たちは今が世界(すべて)」が好きで。決して軽くない話を重すぎずちゃんと届くように語りかけてくれるような。
    いろいろの立場の女性たちの話は決して珍しい設定じゃないのに、やっぱり心情がリアルで、丁寧だなぁ。

    ラストノートの前のミドルノート。

  • しんどかった!

    彼女達の悩みが、行動が、綺麗事じゃなくてしんどかった。
    それはつまりリアルってことなんだが、ただリアルなのってしんどいってことがわかりました。

    2024.3.23
    49

  • 帯がミランダスノーホワイトだ!!!!で思わず手に取り、あらすじを読んで、朝比奈あすかさん作か、これは絶対良作だ、と思って買いました。最近読んだ君たちは今が世界がめちゃめちゃ良かったので……

    帯ばり可愛い 紙種まちがってたらすみません

    香水が香る段階となぞらえて、お話も3章?に分かれていて、発想が面白い!となりました

    菜々の話で謎に旦那さんに怒られてしゅんとなり、その後旦那さん目線の答え合わせがあるのかな?と思ったけど無かったので気になっているけど、理由が無いくらいの理不尽な怒りだったのかなと感想を書きながら思いました

    一番好きな視点は菜々かなあ。旦那さんにムカムカしながら読み進めた。離婚しようと決断したこと、かっこいいと思った と同時に自分がこの状況に置かれたら、菜々と同じように決断できるだろうかとちょっと落ち込んだりもした 菜々の歩く未来に幸多からんことを願うばかりです

    愛美視点を読んだ時は、周りからは恵まれている、優れていると見えるけれど、当人しか分からない苦悩もあるよなあと思った。本を読むと色々な視点を見つけられてほんとうに勉強になる。

    麻衣視点を読んで愛美視点を読むと、麻衣の気持ちに感情移入して落ち込んでしまう。。麻衣はもっと求められたいと思っているけれど、愛美はそれどころじゃない状況で。麻衣は麻衣で充実しているけれど、近しい人間関係が思い通りに運んでなくてちょっとさみしい気持ちになった。

    彩子視点は一番感情移入したかも。このご時世もあり派遣契約が延長されず、お金に悩むところが特にわかるーとなった。一見順風満帆に見える彩子編だけど、彩子自身はずっと不安というか、違和感というかを抱えていて、この違和感を抱えたまま結婚するのか、それともしないのか。一番未来が気になる人物でもあったなー

  • タイトルに惹かれて読んでみました。
    香りや香水のお話がいっぱい出てくるといいなと思ったら、ほんの少ししか出てこなくて…ちょっと残念。

  • 新卒後入社舌会社の同期3人の女性の群像劇。
    30代はキャリア、結婚、出産等々、人生における比較的大きな選択の岐路に立ち止まり悩む時期。

    朝比奈さんの直近作(2023年10月2日初版)であり、新型コロナウィルス感染拡大での社会の混乱、人間関係の変容等も物語の展開に大きな影響を与える。
    日経クロスウーマンにおいて2021年5月から2023年3月まで断続的に連続配信された短編集を纏めたものとのことで、読者ターゲットを絞っての1冊と察する。

    同じ環境で新人社員教育を受けた同期数名。配属先や適性、志向などによって数年後はそれぞれの道を歩き出す。

    入社当時の一体感が懐かしく、時を経て集まり、近況を報告し合い、過去を懐かしむ…。心当たりのある人も多いと思う。
    だが30代前後は他者との比較において、自分の優劣を確認したり、自分の選択の迷いを払拭しようとしたりと、ノスタルジア一辺倒で同期会が催されるわけではないのだと過去を思い出す。人と自分を比べてしまうのは哀しいかな、性のようなもの。

    作品に登場する数人の女性たち、周辺の人びとは朝比奈さんが用意周到にきっちり描き分けた意図が透けて見えてしまいがっかり。まあ日経ウーマンの読者対象なので致し方ないかと。

    ゆえに正社員対派遣社員、女性管理職対男性社員、既婚女性対未婚女性、ワーキングマザー対理解のないモラハラ夫のような対比のなかでの問題提起は身も蓋もなく、作品にするためのひねりが欲しかったところ。

    なにか人物の背景や経過を多めの言葉で説得され、一つの結論に導かれようとしている結末で残念な読後。

    複数の女性を書き分けた作品であれば、私は金原ひとみさんの「アタラクシア」や「fishy」が好み。

  • ・どちらかといえば、菜々は、「奪われるタイプの人」なのだ。友人をそんな目で見るのは傲慢かもしれないが、菜々のそばにいると、愛美は時々不安になった。彼女が、自分の時間や努力を人に捧げることを厭わない、優しい人だから。そして、世の中にいるのは、そういう人を大切にし、尊重する人ばかりではないから。無邪気に甘え、知らん顔で奪い、そのことに罪悪感を持たない人も少なくないから。

    ・もっと力を持ちたいと、愛美は思った。きちんと声をあげ、それを通していく。その力がほしかった。自分のためだけでなく、支えたいと思う人たちのためにも、強くなりたかった。

    ・麻衣の心の中にあるひそかな野心や、しずめようとしても生まれてしまう焦りや不安や、たとえば何かきれいなものを見た時に自然に感動する心や、それを誰かに伝えたいと思う気持ちなどに、興味のある者はいなかった。初回の顔合わせでそこまで話題が及ばないのは仕方がないとも思うが、麻衣の内側に対して興味の片りんも見せないということは、つまり、一生興味を持たないということだろうと、麻衣は思った。

  • 凄く良かった。

    食品会社で知り合った四人の女性。
    其々立場も悩みも異なるが、どの女性にも共感出来る部分があり自己投影しながら読み進めた。

    モラハラ夫に苦しむ菜々。
    アロマデザイナーに転身した麻衣は生き方を模索中。
    育児と仕事を両立させ優秀な社員である愛美は時間に追われ、会社への不満を抱いている。
    派遣社員の彩子は生活への不安。

    三者三様に性格が異なる彼女達だが心の揺れがリアルで感情移入する事が出来た。

    ヒリヒリする場面も多く息苦しさを感じながらも、自分の心に向き合い人生をリスタートさせた彼女達の決断に拍手を送りたくなる。

  • 30代前半の4人の女性の、それぞれの視点で日常が描かれている。
    現在34歳の私には刺さりまくった。

    既婚者も未婚者も、子供がいる人もいない人も、正社員も非正規でも、それぞれ悩みや不安を抱えていて、毎日疲れている。
    周りから見ると羨ましがられていても、実際の日常は全然キラキラしていなくて、ただただ毎日を生きるのって大変で疲れる。そんな日常が描かれているけれど、読後感は、前向きに毎日生きていこうと思える作品だった。
    なんだか、シャキッとした気持ちになる。
    実際は疲れてもう今日は本を読むことしか動けないんだけど、明日からも前向きに生きようと思えた。
    30代の女性におすすめです。

全37件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1976年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。2000年、ノンフィクション『光さす故郷へ』を刊行。06年、群像新人文学賞受賞作を表題作とした『憂鬱なハスビーン』で小説家としてデビュー。その他の著書に『彼女のしあわせ』『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人生のピース』『さよなら獣』『人間タワー』など多数。

「2021年 『君たちは今が世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝比奈あすかの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×