刀伊入寇 藤原隆家の闘い (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551678

感想・レビュー・書評

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  • この雅な平安文学サロンの時代を舞台にして、戦の物語が書けるとはやはり葉室麟さんは素晴らしい作家ですね。

    中宮定子から始まったともいえる煌びやかな王朝文化。彼女の弟であった伊周と隆家はそれに奢り、没落へ。

    そして道長が政の頂点に立ったと思われたのだが、密かに日本は契丹国の民に狙われていた。

    ひたすら己の地位を考えて動く道長と、安倍晴明にあなたが動かなくては国が亡ぶと言われ生きてきた隆家。

    日本は島国で海外からの侵略は第二次世界大戦の時だけ。ですが、この前の白村江の戦いや元寇との戦いも経験しています。

    侵略されなかったのは運がよかっただけ、そう考えると、狭い国の中の事だけを考えるのはなんて愚かなんだろうと思わせてくれる一冊でした。

    特にグローバルな現代では自国民もそうですが、難民や移民ということも考えなくてはならない。だって子供生まれない国だから。

    その辺りを政治家にこの本を読ませて、ちっぽけな権力よりも大きな国益を考えてほしいと思ったことは秘密です(笑)

  • 平安時代に海を渡って戦いを挑んで来た刀伊(とい)に、藤原隆家(道長の親戚)が太宰府で待ち受け、激しい闘いがあったなんて知らなかった〜。
    実際にあった話を、小説だから隆家の性格とか戦い好きの貴族として面白く描いています。
    終盤に起こる事件の刀伊入寇までが長くて、若い頃の隆家、伊周、道長、花山院の因縁など説明的だけどわかりやすい。
    平安時代の、清少納言、紫式部、安倍晴明などオールスターキャストがちょっと盛り上げてくれる。

    船での戦いとかちょっと好き。

  • ちょっといまいち
    平安時代の刀伊入寇を下敷きにした物語
    刀伊入寇という史実は恥ずかしながら初めて聞きました。
    元寇よりもずいぶん前にそんな事件があったんですね

    大陸の異民族である悪役「刀伊」に対して、主人公「藤原隆家」がどんな戦いを繰り広げるか?
    「村上海賊の娘」のような物語かと思いきや、その辺のくだりは後半の最後のほうだけ、それもわりとあっけなく終わってしまいます。
    前半は伝奇ふくめた平安の政権争い。
    といったところで、ちょっと想定と違いました。

    清少納言や紫式部、安倍晴明なども出てきますが、正直とってつけた感じ(笑)

    とはいうものの、ページ数が少ないながらも、刀伊の悪役っぷりに対して、隆家達の戦いはメインのストーリ。
    さらに、刀伊の首領が隆家の息子という設定も面白い。

    本書を通して感じたことは、国防
    現代にあてはめてみると、どうなの?って思います。
    さらに刀伊が村人たちをさらっていったといった件については、現在の北朝鮮の拉致問題を連想してしまいました。
    国防って大事!

    ということで、平安時代における貴族の戦いのエンターテイメントストーリでした

  • 主人公は藤原隆家。藤原道長の一番上のお兄ちゃんの次男坊(=甥っ子)で、中宮定子(清少納言が仕えた一条天皇の御后の一人)の弟。
    貴族の中でもかなりの高位でありながら、貴族らしくなかったひと。あまり記録はないけど、武士っぽい面ももつ面白い人。
    とても魅力的に描かれていて、最高なんです。

  • 叔父藤原道長との政争を経て太宰府に赴いた隆家。
    そこに異民族刀伊が襲来する。
    戦いは最後だけで、生い立ちから詳しく。
    道長花山院、一条天皇から紫式部、清少納言等平安オールスター登場。
    「神々もご覧あれ、われこの国の雅を守るために戦わん」

  • かなり戦シーンの激しい作だが、一方で主人公の一途な想い、何のために戦うのか、が作中に溢れていて、好きな人は好きだろうなぁと思わせる作品。
    楽しめました。

    自分の子と、刃を交えるってのは、男のロマンなんだろうか?

  • 歴史小説苦手なのに、高校生の時、作者の名前の美しさに惹かれて、たまたまこれとって読んだらめちゃ面白かった。もっと葉室麟作品読みたいんだけど、これしかまだ読んでない。何せ日本の歴史小説苦手なんで

  • 刀伊入寇です
    葉室鱗です(蜩ノ記)
    面白いことうけあう
    こういう主人公を描く作者は力がある
    運命的な描き方…伝奇小説・半村良か?

  • エンターテインメントだから、と言って進めてくれた人がいました。たしかにそんな風なところもあり、史実にも基づいている平安時代の物語は、よくできていておもしろかったです。

    主人公藤原隆家という貴族のことは知りませんでしたが、藤原道長と叔父甥の関係とわかれば、なるほどと思います。平安中期、あの『枕草子』の清少納言や『源氏物語』の紫式部なども登場するのが、なお親しみがわくというものです。

    藤原氏というのは権力争いを身内一族でやっていたのですね。その世界は『源氏物語』から『平家物語』までおなじみですね。

    しかし、この物語はそれだけではなく異民族の日本襲来という、今日的な課題がもされている点が珍しくも面白くもあり、普遍性を醸し出していますね。そして主人公は藤原隆家という貴族らしからぬ、むしろ武士台頭の前兆のような人物像です。

    ただ勇ましい人物や闘争のみでなく。葉室麟らしい情緒もたっぷり、空想も自由自在。わたしはこの一冊が葉室麟さんの作品では一番好きになりました。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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