紫の女 (実業之日本社文庫)

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  • 実業之日本社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408554525

感想・レビュー・書評

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  • 源氏物語になぞらえた短編集。
    源氏物語を知らない私でも読めました。
    シナリオ的に、ん?と思う部分もありましたが、エンターテイメントとしては楽しめました。

  • 2019年、2冊目は昨年末に購入、今年の初読み用にとっておいたモノ。

    性愛小説の女王、花房観音が、『源氏物語』を下敷きに平成の世に送り出した短編集。七編収録。

    今回はタイトルのみ紹介。
    『夕顔』
    『若菜』
    『朧月夜』
    『藤壺』
    『葵上』
    『紫の女』
    『光る君』

    ラスト、『光る君』以外は、久々、花房観音の濃厚コッテリ系官能が楽しめる、性愛官能系に振りきってます。

    『源氏物語』は中、高の教科書程度しか知らなくても充分に味わうことが出来る。かく言う自分も、約25年前に、現代語訳サラっと読んだ程度。

    花房観音と言えば、女性の情念ドロドロ系が得意とする処。しかし、もぅ一方で、人の本性、本質の部分で、「価値観の転覆」的なモノが個人的に好きなポイント。今回は後者に、ガッツリと比重が置かれている。三角関係的題材がほとんどだが、主人公からしたら、正三角形、二等辺三角形、直角三角形に見えていたモノが、立体的に見ると、歪つな三角形だったり、直線でさえなかったり、破線であったり、といった造り。

    官能場面の細々したトコを取っ払っても、十二分に読み応えあり。

    官能としても、中身としても、『紫の女』はどストライクな一編❗

    やはり、2019年も目が離せない作家の1人。総合評価★★★★☆は文句なし‼️

  • 「源氏物語」をモチーフにした現代版源氏物語といった感じの短編集。 この作品は、そんなに過激な描写はないけど、やはり京都という土地の持つ淫靡、妖艶、魅惑的というような感じが、花房さんらしくていい。 最後の光る君、鈴音からの言われようは少し気の毒な気がしないでもないけど、ここで心を入れ替えられれば、それはそれで素敵な男性になれるのかもしれない。

  • 花房観音『紫の女』実業之日本社文庫。

    『源氏物語』をモチーフにした男女の禁断の関係を描いた7つの物語。『夕顔』『若菜』『朧月夜』『藤壷』『葵上』『紫の女』『光る君』を収録。

    最近の花房観音作品の中では、かなりエロい。いずれの短編もひとしきり男女のエロい描写が描かれ、その中に『源氏物語』との逸話が紹介されるといった構成になっている。最近は官能というスパイスの効いた京都の魅力と文学の風を感じる小説が多かった花房観音なのだが、本作は初期の頃のドロリとしたエロさばかりが目立つ作品に仕上がっている。

  • 源氏物語が好きだ。光る君に憧れていたわけではなかったと気付いたのは、実は年を重ねてからだったが。彼は好き勝手をしているようで、結局何一つ思い通りにならなかったのかもしれない。ただ待つだけの時代でも女は強いのだ。で、この花房作品である。時代を移した現代で、佳人薄命と言われる夕顔も、初心だと思われた女三宮も、花房作品ではもちろん男の幻想の中の姿のままでいるわけがない。男性目線で書かれているためか、女を下に見ている男たちがなんとも小さく可愛らしく見えてくる。殊に男の妄想とファンタジーをバッサリ斬る最終章は圧巻。

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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