思弁的実在論入門

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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409031094

作品紹介・あらすじ

オリジナルメンバーによる待望の入門書

2007年4月27日、ロンドンで「思弁的実在論」は誕生した。最初のメンバーは四人。ブラシエ、グラント、ハーマン、メイヤスー。思考と存在の相関を超えた実在への志向を共有した彼らの哲学は、瞬く間に世界を席巻し思想界の一大潮流となる。本書はそのオリジナルメンバーの一人による、待望の概説書である。四人それぞれの著作に深く分け入り、要点を抽出。その可能性のコアを捉え、次世代に繋がんとする力作。

「思弁的実在論なんてものが本当にあるのか。あるとしたら、それは何か新しいものなのだろうか。この問いの一方ないし両方に対して、多くの批判者が「いいえ」と答えようとしてきた。しかし私の見立てでは、答えは、はっきり両方ともに「はい」である。」(本書より)

第一章 プロメテウス主義
第二章 生気論的観念論
第三章 対象指向存在論(OOO)
第四章 思弁的実在論
結論 思弁的実在論の二つの軸

感想・レビュー・書評

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  • 思弁的実在論に関する4つの思想を概説。
    ただ、本書にもあるように、それぞれはすでに一つに括れないほどに違いは大きい。一方で、それぞれの狙いは、相関主義に対しての批判を起点とした人間中心主義の克服の検討であるという説明が非常に分かりやすかった。

    本書では、4つの哲学を2軸で分類している。この分類をみるとブラシエが一番素朴に私には理解がしやすいが(直感的でブラグマティズム的な理解がしやすい)、この思想は強くニヒリズムに接近するようなので、この世界観での世界のとらえ方を、もう少し自分に寄せて理解したい。

    1.科学対形而上
    A:人間の認知に代わり科学(特に数学)を中心化(メイヤスー、ブラシエ)
    B:人間の認知に代わり(人間も含む)モノを中心化(OOO,グラント)

    2.2世界対1世界
    C:思考/精神的と世界/実在の間には越えがたい隔たりがあるとする(OOO,ブラシエ)
     →人間の世界理解には(原理的に)限界がある
    D:世界を直接認知できる(メイヤスー、グラント)
     →人間は世界を(原理的には)理解できる

  • むずかしかった。。

  •  思弁的実在論という哲学の潮流について、気になったので手にとってみた。ということで、これをまとめる能力はないのだが、強いていえば、これは反現象学と言えるのではないか。
    私たちは、何かを意識に上らせることによって知る。逆に言えば、意識と関わることなしに何かを知ることはない、というのが現象学の立場だろう。それに4人の哲学者、ブラシエ、グラント、ハーマン、メイヤスーの4人が対抗して主張するのが、思弁的実在論だ。それは、意識を離れても何かがあるという主張だ。
     この4人の内の一人、ハーマンがこの本の著者だ。この4人はそれぞれ独自に反現象学の立場に立ち、活動している。しかし、それぞれの思想も対立している。ハーマンは対象志向存在論(OOO)という立場にいる。ただ、私はこの人の説明がよくわからない。組み合わせ使った解説で、これこれの関係が時間で、これは空間…と言われても想像ができない。これは今後の課題。思弁的唯物論について興味があった部分をひとつ。
    「ここで指摘しておくと、最初の四人の思弁的実在論者は、ひとりとして共通のヒーロー哲学者を分かちもたなかったが、しかし全員がそれぞれにラブクラフトのファンであったことが判明した。その理由はそれぞれの場合で様々だが、私(ハーマン)自身の関心の由来は、ラブクラフトの怪奇小説がひとつの哲学ジャンル全体のための舞台をしつらえているとの見方にある。四月二十七日のトークで述べたところでは、「昨日のラブクラフト・カンファレンスの題が示していたように、実在論は常にある意味で怪奇的である。実在論とは、私達が実在に投影したのではない、実在のなかの奇妙さにかんするものだ。実在的存在によってすでにそこにある奇妙さであり、それゆえ、一種の、常識なき実在論なのだ」(P150 )

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著者プロフィール

グレアム・ハーマン Graham Harman
1968年アイオワ州生まれ。アメリカン大学カイロ校教授を経て、現在、南カリフォリニア建築大学特別教授(Distinguished Professor)。邦訳に、『四方対象 オブジェクト指向存在論入門』(岡嶋隆佑監訳、人文書院)、『非唯物論 オブジェクトと社会理論』(上野俊哉訳、河出書房新社)がある。

「2020年 『思弁的実在論入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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