遺品整理屋は聞いた! 遺品が語る真実 ~消せなかった携帯の履歴、孤独死のサイン、女の遺し物…~ (青春新書INTELLIGENCE 220)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413042208

感想・レビュー・書評

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  • 「遺品整理屋は見た!」で、すでに十分メジャーな筆者であり会社だ。こうして新書という形でさらに多くの人の目に触れることは、喜ばしい。

    前半は、遺品が出てくることでネガティブな情報が露見した事例が立て続けに紹介されている。何もかも遺族に知らせるのがいいわけではない、というのが筆者の考えだ。

    凄惨な自殺現場などは「知らぬが仏」だろうが、故人の悩みや家族への恨みなどは、隠したとしても真実が消えるわけではない。一時的には怒りや悲しみをかきたてるかもしれないが、長い目で見れば知って良かった、となるケースの方が多い気がする。少なくとも、遺品整理会社の判断でその道を閉ざすのはどうかと思う。

    遺族が遺品を通じて故人に思いをはせるということが希薄になっている、との指摘があった。モノを粗末に扱う価値観が広まったことと、家族の結びつきが弱まったこと、両方があるように思う。途中紹介されていた70年モノの洗濯機の話を聞くにつけても、日本人の心は戦後長い時間を掛けて、随分と荒んだものになってしまったものだと感じた。

    キーパーズが遺品整理支援会社ではなく遺品整理代行会社としての側面を強めていくことになったら、寂しい話だ。そのためにも、吉田社長には今後とも遺品と向き合うことの意義をどんどん啓蒙していただきたい。

  •  キーパーズ代表取締役、吉田太一さんの本。「天国へのお引っ越し」をキャッチフレーズに、遺品整理業を行うかたわら、孤独死を防ぐ活動や講演などを積極的に行っていらっしゃいます。

     遺品整理をするなか、遺品と故人の人柄、遺族との関係など考えさせられました。喜ばれるどころか疎まれる遺品もあるのですね。
     遺産相続も遺産争続と言われるように、特別お金持ちでなくても遺族の争いっていうものはあるんだなあ……と感じました。

  • ありがたい仕事

  •  以前読んだ『遺品整理屋は見た!』の続編(ただし、本書とは別に『遺品整理屋は見た!』の2冊目も出ている)。日本初の「遺品整理専門会社」の社長である著者が、遺品整理の現場で自らが体験したエピソードを集めた本だ。

     正編はたいへん衝撃的で面白い本だったが、この続編は衝撃が半減。内容も薄い。はっきり言って「正編の出がらし」という感じだ。

     それでも、紹介されたエピソードの中にはいくつかハッとさせられるものもある。

     たとえば、65歳で孤独死した男性の部屋にあった、「サンドバッグ化した冷蔵庫」の話。
     その男性は、一人の部屋で冷蔵庫を蹴ったり、壁を殴ったりと、部屋にあるものに当たってはいらだちを発散させていた(と思われる)。
     殴られ、蹴られてベコベコにへこんだ冷蔵庫の側面に、著者は無惨な殴り書きの文字を発見する。そこには、「バカヤロー」「殺してくれ!」と書かれていたのだった。

     この「サンドバッグ化した冷蔵庫」が、見るからに粗暴な人やすさんだ暮らしをしていた人の部屋にあったのなら、さして意外ではない。だが、孤独死したその男性は、いつも明るく、きちんとあいさつをする人だったのだという。その落差、人当たりのよい男の内面に煮えたぎるやり場のない怒りにこそ、読者は慄然とさせられるのだ。

     また、著者は独居老人が餓死(!)したあとの部屋を整理した経験が、少なからずあるという。そのうちの一つでは、食べものが何一つない部屋の中に、「かじったような歯形がついた雑誌」があったとか……。ぞっとする話だ。
     不況とはいえ飽食がつづく21世紀の日本で、なぜ独居老人の餓死が頻発するのか? 著者はその理由を次のように推察する。

    《高齢になると、恥をさらしたくないという気持ちが強くなるのかもしれません。やせ我慢を続けるうちに助けを求める気力も薄れてしまい、最後は食欲さえも失ってしまうのではないかと私は思います。
     たとえどんなに貧しくても、「何日も何も食べていません。お腹がすいて死にそうです。何か食べるものをもらえませんか」などという言葉は、なかなか恥ずかしくて言えないのでしょう。》

     日本ではこれからますます増えるはずの孤独死。その実態の一端を知るために、著者の本は有益である。

  • 最後の方のソファーを整理する人のエピソード、村上春樹の小説にできるんじゃないかってくらい素敵。

    あと家族の思いに一切気づかず奔放に生きていた人々の話は、親でありかつ子である自分にとっては身に染みる。

  • 前作のような現場の物々しい話ではなく筆者がこじんをしのびどう感じたか、依頼に絡めた説教のようであり読んでいて飽きてしまった。

  •  
     軽口御免 ~ 死せる顧客の故人情報 ~
     
     弊社では、故人の遺品はもとより、名誉に関わる一切の個人情報を、
    たとえご遺族に対しても、けっして口外いたしません。もちろん、本や
    ブログでも公開しません。どうか安心して生前ご予約ください。
     
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4413042204
    ── 吉田 太一《遺品整理屋は聞いた! 遺品が語る真実 20081202 青春出版社》
    ~ 消せなかった携帯の履歴、孤独死のサイン、女の遺し物… ~
    http://booklog.jp/entry?keyword=%E5%90%89%E7%94%B0%E5%A4%AA%E4%B8%80&service_id=1&index=All
     
    …… “天国への引っ越し、手伝います”遺品整理会社スタッフ
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20071128
     最期の旅 ~ 遺品を処分できない人々 ~
     
    …… 定期的に操作しないと自動的にファイルを削除するプログラム
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20070925
     はてなの本 ~ 幕府を作りたいのですが ~
     
     吉原(遊郭)で知った者に出合っても、そ知らぬ顔で通りすぎる作法。
    http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3154.html
     武士は相身互い ~ 江口 光清の首を取った志賀 五郎右衛門 ~
     

  • なんと遺品整理屋という仕事がこの世にはあるのだ
    なぜあるのだろうか?昔はそんな職業は必要なかった なぜなら家族や知人が遺品を整理していたからだ つまり現代は遺品を整理してくれる人がいない人々の死がたくさんあるということだ
    この本はノンフィクションである 孤独でさびしく死んで行く人がいる 自らの命を絶つ人もいる この現代の日本において餓死で死ぬ人もいるのだ
    生きていることは当たり前 死ぬことなんて考えたこともない
    それはいいことだ 先人が作り上げてきた平和なのだ でも死生観がない状態ではどういう状態が生きていることなのか分からない
    平和な日本でも悲しい死に方をする人がいる そこから現代の死生観や人との付き合い方、家族との関係を考えてみるのもいいのではないだろうか

  • 「遺品」にスポットをあてた話で、こないだ読んだ文庫よりも衝撃度は少ない。
    なので、軽くさらっと読めてしまう。
    とても大変な大切なことだというのがうすく感じられてしまう。

    私にもしものことが起きて、絶対に見られたくない遺品は、ほぼ日手帳。
    中を見ずに燃やしてほしい。
    と、何かに残しておかないといけないな。

  • (欲しい!)/新書

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著者プロフィール

吉田 太一
1964年大阪生まれ。大阪市立桜宮高校の体育科の一期生。日本料理の板前を経て、運送会社に勤務。28歳で独立、引越し運送業を始め、2002年、遺品整理専門会社「キーパーズ」を設立して話題の人となる。以来、数多くの遺品整理現場に立ちあった経験から、孤立化していく生活スタイルの問題定義のた
め、DVD制作や講演活動などを行っている。2011年に映画化されたさだまさし原作『アントキノイノチ』(幻冬舎)原作のモデル。主著に『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(扶桑社)、『おひとりさまでもだいじょうぶ。』(ポプラ社)『私の遺品お願いします』等多
数。


「2013年 『いつか“遺族”になる時のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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