知的経験のすすめ―何んでも逆説にして考えよ (青春文庫) (青春文庫 か- 1)
- 青春出版社 (1993年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784413090032
感想・レビュー・書評
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片手間にやった感がなくはないが、やはり文豪の文章は輝き方が違う。
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芥川賞作家、開高健が1980年代に東京新聞に連載していたエッセイを集めた本。
「オーパ!」に代表されるような良い意味で汗臭い文体の著者だが、戦争によって打ちのめされた経験が相当に強い影響を与えたことが想像される。
それでもたくましく開花したのは、エピローグに書かれてある「手と足を使いなさい」を地で行っていたからなのではないだろうか。心の危機が訪れたとき、頭だけで生きようとするのではなく、手と足を使う工夫を考える。含蓄に富む言葉である。 -
・教育の別名は経験と考えてよろしい
・心で心を鍛えることは必要だし,避けられない.しかし自身の手と足で何事かを教え込んだ心をどこかに参加させておかなければ,無限の鏡の行列を覗き込んだと同じ結果になる.
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なんども読んでるけど、ここ最近また開高健の文章ブームが来ているので再読。幼少期に考えていたことを綴ることで、教育を語る一冊。過去を覗くとき点でしかないが、そこにも当たり前のごとく時間が流れていたことを感じられる。え、そんなことが?というような自分にとっての衝撃は誰にでもあり得ることで、しかしそれが衝撃であったと反芻し認めることはなかなかできないことである。わたしの好きな表現者はみな一様にして、立ち上がり外へ出よという。わたしはそれらを部屋でゆっくり読むという矛盾に浸し噛みしめる。
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サブタイトルは「何でも逆説にして考えよ」。東京新聞に連載されたコラムだが、開高先生ほどの人にとってさえ、こうしたコラムは実は簡単では無く、苦しみ捻り出しつつ書いていることが分かる。そのためには、脳を鍛え直すためには、どうしたらよいのだろう。おそらくその答えが「逆説的に考えるとこ」だったり、頭で無く手や足を動かして考えろ、ということなのだろう。簡単に言えば、だが。
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【本の内容】
「頭だけで生きようとするからこの凝視の地獄は避けられないのです。手と足を忘れています。それを使うことです。スポーツでもいい。畑仕事でもいい。それを使うことです・・・」
作家・開高健が自身の豊富な経験をもとに綴った、珠玉の言葉の数々。
心で心を鍛えることも必要ですが、自身の手と足で何事かを教えこんだ心をもっと大事にしないと・・・・・
[ 目次 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
学生向けなのか、深さが足りないように感じた。
開高氏のファンだけに少し残念。
だけど、学生時代の作家を知れる貴重な本。 -
2013年2月16日、読了。
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20年ほど前に読んだものを、時間つぶし的な感じで読み返してみました。
開高氏は学生時代によく読んでいました。
本書は「教育」をテーマに、東京新聞に連載されていたエッセイをまとめたものですが、教育について直接的には、殆ど語っていません。代わりに、氏の若いころ経験した様々な事が語られています。ですから一般論的なことは書かれていません。
ただ逆に話が具体的な事(氏が年少であった戦前、戦後の生活でのエピソード)なので、かえって読みやすいかもしれません。各編も非常に短いですし。
氏の文章は独特の言い回しがあり、また、まどろっこしい感じの文章だったりするので、ちょっと癖があり、合わない方がいるかもしれません。
僕は、今回読んでいて、この独特のリズムを懐かしがりながら、サラッと読み流しました。
今度は氏の代表作である「夏の闇」でも読みかえしてみようかな。(ちなみにこの「夏の闇」は小説です。)