- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784414403534
作品紹介・あらすじ
非行を対人関係における暴力という枠組みでとらえ、非行臨床の現場における実践と、米国における新たな非行理論による理解とを武器に、今、非行少年に社会としてどう働きかけるかを模索した書。
感想・レビュー・書評
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今年の3月末に観た演劇のあと、その演劇脚本家とこの著者とのシンポジウムがあり、その中でも紹介されていた著書で興味を持ち読んでみた。非常に面白かった。
やはり少年院まで来ちゃうような子たちは、そもそもが「被害者」で、その後「加害者」になるというパターンが多い。その後の教育と矯正のプロセスはまさに「育て直し」。
しかし正常な「信頼関係」の築き方を学び損なった彼らにそれを学ばせ直すのは容易ではない。
こちらの人間力を問われるわけだが、真っ当な慈愛で真っ当に向き合うことができれば希望がないわけではない。
この「真っ当」に向き合う強さと慈愛を持つことを世の大人たちが責任と考えるようになれば、少年院という極まで来る人数も減り、学校でのいじめも減り、子どもたちも安心できるだろうな…、と感じさせる。
故にこの問題、世を憂うというようなデカさで安易に考えてはいけない。
まずは今このとき、目の前の、自分の所属する環境内で起きているいじめなどを見て見ぬふりしている「自分に」気づくことが重要だろう。そして、できる行動に勇気を持つこと。
ここを直視しない限り、世を憂いているだけでは何も変わらない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
相手に共感することができる子は被害の相から加害の相にはいけない。
という知見が得られた一冊。
更生プログラムでも共感する力は重視されてるみたい。
でも被害者でも加害者でもない境地にはどう到達すればいいのだろう?
また読み返して考えたい -
何度も手繰る。先だってまた手繰った。
なんでだろう、笑える。
この笑いなかずんば、非行少年とその家族は前へ進めない。
被害者から加害へ。どこでどう、でんぐるか。
またちゃんと書く。
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10年前の本だが2003年に一度読んでいた。あまり記憶はなく、書かれていることは新しかった。矯正教育や非行臨床に携わる人の入門として最適だと思うし、犯罪心理学の基本的なところを押さえたい人のテキスト的な意味もあろう。10年前と今の議論のありようを比べてみて、この本の記載はいささかも古くない。つまり10年間少年非行の考え方と対応はほとんど変わっておらず、変わったのは少年法ばかりだということだ。さて人々の意識はどうか。