自衛隊最強の部隊へ-CQB・ガンハンドリング編: 牧歌的訓練からの脱却。第40普通科連隊を変えたガン・インストラクター

著者 :
  • 誠文堂新光社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784416519516

作品紹介・あらすじ

(まえがきより)
2003年8月、私は九州・小倉の陸上自衛隊第40普通科連隊の連隊長を拝命しました。
そして、そこでイチローさんに出会いました。
ガン雑誌ですばらしい作品を発表するフォトグラファーとしても有名ですが、イチローさんは、何より、
アメリカではガン・インストラクターとしてFBI(連邦捜査局)などとトレーニングを続けている、
卓越した技術と最新の情報を持っている人物でした。
会って、その立ち振る舞いを見た瞬間、私はイチローさんとタッグを組むことができたら、真に強い部隊ができると感じました。
これは、運命ともいえる出会いでした。
快諾を頂き、小倉の部隊は長期にわたって、イチローさんの厳しい、そして内容の濃いトレーニングを受けることになります。
それは、陸上自衛隊という組織がそれまで実施したことのない、実戦に直結したものでした。
そのため、乾いた大地に慈雨が沁み込むような充実した日々になったのです。

本書は、福岡県北九州市の小倉駐屯地に駐屯する第40普通科連隊が、
真に、戦場で必要となる戦闘技術を部外インストラクターから学んだ経緯を記録した
電子書籍『40連隊に戦闘技術の負けはない』を増補・再編集したものです。
どうしたら強くなれるのか…、その答えを求めて訓練に明け暮れた陸上自衛隊・第一線部隊の記録です。

感想・レビュー・書評

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  • 【ナガタイチローさんのこと】
     中学生のころ購読していた月刊『Gun』誌で、記事を書いていたのがナガタイチローさんだ(ターク・タカノさん、ジャック・タクボさんも思い出深い)。銃のレポートだけでなく、精力的にFBIやSWATのタクティカルスクールのレポートが掲載されていた。FBIのスクールでは、休憩時間にはドーナッツ食べ放題というトピックスも憶えている。

     早期に9㎜AutoであるS&W M59を制式拳銃として採用していたフレスノPDの記事も、エドマクベインの87分署シリーズで描かれる拳銃が、いつの間にか .38口径から9㎜口径に変わっていたこととリンクして印象に残っている。今考えると、警察関係者でもなくアメリカ人でもないフォトグラファーのイチローさんを受け入れていたアメリカ社会にも感心する。

    【本書のこと】
     本屋で何気なく手に取った本書に、自衛隊の部外インストラクターとして活躍されているイチローさんが描かれていた。主役は自衛隊の部隊だけど、イチローさんのキャリヤを知っている僕は、懐かしくて、うれしくて、青春を取り返した思いだ。
     自衛隊の市街戦を巡る現実に不安感を募らせる内容だけれど・・・

  • 借りたもの。
    2000年代初頭、第40普通科連隊が真に戦場で必要なスキルを外部インストラクター・イチロー氏から学び、会得していく。
    それまでの自衛隊の訓練が、ガンハンドリングなどCQB(近接戦闘)に必要なスキルの基礎がなっていなかったこと、実践で通用するスキルではなかったことに危機意識を持ち、向上させようとする著者ら隊員の姿が記録されている。

    世界の勢力図、安全保障の在り方が刻々と変化する中で、前世紀頃の想定のまま型通りの訓練だけだった事への危機感。
    特に2000年代初頭は911テロと自衛隊派遣など自衛隊の在り方そのものが問われ、転換期だった。
    時間軸ではロボットマナブ『自衛隊入隊日記』( https://booklog.jp/item/1/4054066704 )の直後くらい。

    それまで陸自で想定されていたのはロシア(旧ソ連)の侵攻だった。しかし、目下の脅威は北朝鮮――中・長距離弾道ミサイルではなく――の特殊部隊の上陸だという。
    報道では想像できない、戦略の片鱗を見た気がした。

    しかしそれまでの自衛隊には、世界標準のスキルが圧倒的に足りず、装備も不十分だった。

    イチロー氏から、ガンハンドリングなど戦闘の基礎に始まり、市街戦を想定した実践的な戦闘訓練を重ねてゆく。
    さらにはサバゲ―のプロチームとの戦闘訓練など。

    その中で戦闘の基礎は変わらなくても、トレンドが変わってゆくこと、装備の向上はどの国でもあり、日本はそれに遅れていることを痛感。

    最新の装備を揃えることを追い求めることが全てではないが、末端の兵士にそれらを充実させるのも必要ではないか…そのバランスを俯瞰で見ることが出来ている人がいるのだろうか?
    兵士と兵士がぶつかる前に、ミサイルなどが飛び交うのが現代の戦い方だろう。しかし、ミサイルの後に何が来るのか……
    伊藤祐靖『自衛隊失格:私が「特殊部隊」を去った理由』( https://booklog.jp/item/1/4103519916 )とはまた違う視点が、私には新鮮。

    具体的なスキルの話は特にない。
    自衛隊の問題意識が繰り返し言及されていた。そしてそれを改善させていくプロセスが紹介されている。

    特に著者は、偶然TVで自衛隊の訓練映像をを見て「全滅する!」と危機感を持ち指南を買って出てくれたイチロー氏への敬意に溢れている。

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著者プロフィール

■二見 龍(フタミ リュウ)
元陸上自衛隊幹部。現在は民間企業に勤めながらブログやSNS、ユーチューブでの情報発信から書籍の執筆まで、多岐にわたり活動している。

「2022年 『君にもできる刃物犯罪対処マニュアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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