どんな肉でも旨くする サカエヤ新保吉伸の全仕事

著者 :
  • 世界文化社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418193189

作品紹介・あらすじ

新保氏を取り上げたNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」(2019年5月8日オンエア)は驚くほどの視聴率をたたき出したという。肉の職業について多くを語るのはどこかタブー視されてきたわが国で、滋賀県草津市に店をもつ精肉店主人が、なぜここまで注目されているのか。以前は近江牛を看板にしてきた「サカエヤ」はレストラン「セジール」を有し、全国から絶え間ない来客がある。清潔で美しくスタイリッシュなその店の主人新保吉伸氏は食の雑誌でも特集される孤高の肉の職人。牧畜の現場とも通じ、東西の人気シェフから圧倒的な支持を受ける著者が、その精肉や熟成の独自の考え方と、そこに至った足取りを本書で明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 「ステーキレボリューション」という映画を観たあとの影響で、新保さんの本も読んでみたけど、映画で一貫して訴えていたメッセージとはまた視点が異なっていて、個人的にもこの業界についての知識が全くない分、めちゃくちゃ面白かった。さっそく、明日サカエヤさんと取引をしているお店に出向いて、新保さんの手によって熟成させた経産牛の味を堪能してみたいと思う。


    以下、興味深かったところメモ
    ・日本の肉が美味しくなくなったのは、真空パックで包装する技術が発達して、流通するようになったから
    ・真空パックで流通するようになったのは、日本の衛生面での意識レベルの高さが招いた弊害が大きい
    ・アメリカやオーストラリアからの輸入牛は、その肉の品質そのものよりも、真空パックの性能が違う。アメリカ産の肉質はよかったけれど、真空パックが緩く、旨み成分が漏れ逃げることが多い。オーストラリア産は、肉質は今ひとつだけど、真空パックがしっかりしている。
    ・一頭の枝肉をそのまま仕入れる場合、部位によってそれぞれ値付けを変えて、トータルで利益を確保する。
    ・仕入れ値は競りによって毎回異なるのに、売値は同じにしなければいけないから、工夫をしないとすぐに赤字になってしまう。だから、多くの業者は手を出さない。
    ・フランスは、各部位を巧みに各部位を使い分ける。ハムやソーセージ、パテやテリーヌと使いにくい部位も有効活用している。
    ・日本の精肉店のシャルキュトリーは、コロッケとメンチカツくらい。頑張ってるとこは惣菜とか弁当とか飲食店も営んで余剰部位をなるべく使い切る。
    ・いまの精肉店は、自動車業界やケータイのキャリア業界と同じで、益々窮地に立たされている。代理店とメーカーがぶつかるので、代理店がどんどん減っていく。
    ・ドライエイジングだけが熟成ではない。
    ・牛の健康状態は、肉だけ見ても専門家ですら分からない。その牛が健康かどうかは、肉だけでなく内蔵を実際に触る必要がある。肉でわかるのは瑕疵くらい。
    ・そして、肉と内蔵は流通がちがうので、同じ牛のそれを一緒に見て検討することができない。
    ・お金の価値がなくならない限り、肉と内蔵が一緒に流通することは難しい。
    ・サカエヤでは、食肉センターで仕分けをしている後輩がいるので、彼に聞いて、どの内蔵がどこの誰の牛なのか全て把握している。たとえば、金曜日に食肉処理をすると、その内臓牛の肉は月曜日の競りに出る。
    ・肉の美味しさは保存で決まる。魚も野菜も同じ。保存の意識が低い店で美味しい料理はない。

  • 文化放送
    「村上信五くんと経済クン」
    ゲスト 新保 吉伸 さん
    (2024年04月13日放送)
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  • ★本書を一言で、
    →肉うまさを決めるのは水分調節
    (普段の自炊で意識してみたいと思った)

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