- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422212142
感想・レビュー・書評
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殺人そのものの歴史というより、殺人と法廷、殺人と文学、殺人と映画、といったような殺人から派生する様々な事象を解説(?)した本。
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いつの時代も、殺人は起きてきた。殺人の歴史。
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ここ数日、ニュースで尼崎事件の報道を見ない日はない。これだけの残酷極まりない事件、怖い怖いと言いながらも、詳細が気になってしまう。
テレビでの殺人報道に激怒しながらも、横には読みかけの推理小説が置かれている、なんてことはよくあることだ。やはりアクション映画を見ればスカっとした気分になるし、戦闘の無いRPGでは味もそっけもない。殺人は、私達にとっておぞましいものであると同時に、好奇心の対象でもあるのだ。
この本には殺人鬼(殆ど西欧人)の名前がたくさん出てくる。殺人に纏わる絵画や写真も豊富である。しかし、単に数々の殺人事件を羅列しているだけではない。殺人事件に対し、その報道のされかたや、文学、映画などに与えた影響など、様々な角度から焦点を当てている。
なぜ我々は殺人にある種の魅力を感じてしまうのか。イギリスの哲学者であるエドマンド・バークはこんなことを言ったそうだ。
「他人の不幸と悲しみは、われわれに喜びをもたらす。しかも、その喜びは強烈である」 -
うーん…。
「殺人の歴史」より、「殺人をめぐる社会史」とでも言うべき内容。新聞、小説、映画など、殺人という事象を受けて展開された諸相を扱っている。終章はほぼ、こういった記事類の翻訳紹介に終始。
自国偏重になりがちなフランス人著者には珍しく、英米の事情をちょっぴり取り上げているところが珍しく、特筆すべき(笑)点であろうか。
あ、本書にはたった1人、日本人も登場する。
言わずと知れた、おそらくはいまだにフランスで最も著名な邦人であろう「あの人」だ。
2012/6/14読了