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  • Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701103

作品紹介・あらすじ

口伝えや書き伝えによって継承されてきた「世界のはじまり」に関する物語は「創造神話」や「起源説話」と呼ばれ、天地の誕生、最初の人間、動植物の由来等が記されている。これらの物語では、魂や運命や自然といった我々の周りにある理解しがたいものの大元が、遥か昔の人間によって様々に描かれている。本書では、20人の専門家たちが各地域における神話や伝説を紹介し、画家・阿部海太の絵と一緒に「世界のはじまり」を物語る。*「まえがき」より一部抜粋ここに収められたのは、さまざまな「この世のはじまり」です。口伝えや書き伝えによって継承されてきた「世界のはじまり」に関するこれらの物語は、「創造神話」や「起源説話」と呼ばれ、天や大地の誕生、はじめて生まれた人間、動植物の由来などが記されています。これらの神話と呼ばれる物語には、書物になる以前の簡素で荒削りな話も数多くあります。日常のなかで語り継がれ、時代が過ぎるにしたがって、物語の細かな部分が消えていき、ときには、物語の結末すら失われていくことがありました。私はこういった神話や伝説を研究していますが、こんなふうに質問されることがたびたびあります。「なぜ、今、こんなに古い物語を読む必要があるのですか?」「なぜ、こんなに不完全な物語が必要なのですか?」「神話を読む意味を教えてください」と。あらためて考えてみると、これはとても難しい問いで、何が正しい答えなのか、正直なところ分かりません。ですが、自分のまわりを見渡した時に湧き起こる「理解しがたいもの」への関心が、神話や伝説を読みなおすきっかけだったと思います。その「理解しがたいもの」はたくさんありましたが、とりわけ不思議に思ったのは、「魂はどこからやってきて、どこへ帰っていくのか」ということでした。そして、自分たちの努力ではどうにもならない「運命」についてでした。私は、そういう「運命」のおおもとを説明してくれるのが、「この世のはじまり」についての物語だと考えています。(中略)この本の二〇人の執筆者たちは、収録されている神話や伝説が語られている地域の文化、言語、芸術、歴史、社会を専門としています。ページごとに、地域固有の特徴と、神話に共通するイメージを感じ取っていただけると思います。この本には、すべての地域のすべての神話が語られているわけではありません。ですが、この本を通じて、「神話」の姿の一部を知ることができるのではないかと思います。手に取っていただいたみなさんの想像がかきたてられ、時空の無限の広がりを感じていただければ嬉しいです。本書が、読者のみなさんの「神話」への関心の入り口となることを願っています。

感想・レビュー・書評

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  • 世界様々な地域と時代から集められた
    「世界のはじまり」の物語。
    見開きのイラスト・神話3ページ・解説とキーワードで
    1ページの構成で、20の神話が紹介されている。
    大いなる天空、広大な大地・・・そして人間。
    我々はどうして他の生き物と違うのか?
    我々はどうしてこの世界に生まれ、生活しているのか?
    我々は死んだらどうなるのか?魂?
    自然はどうして、恩恵や試練を与えてくれるのか?
    異なる地域、時代、生活であれども、
    遥か太古から、人々は考え、神話を練り上げ、
    伝えてきました。
    それは、人間の想像の豊かさであり、創造力でもあります。
    「世界のはじまり」・・・闇、混沌、光の誕生、
    死せる神から生まれる諸々等、
    20の神話にはそれぞれの特性が現れています。
    また、遠い離れた地域の神話に、闇から光、洪水等、
    なにかしら似通った話があるのも面白かったです。
    理解し難い事を考え、想像する人間の英知が、
    数々の神話に込められていると感じました。

  • 小学生の頃、ギリシア神話が好きでよく読んでいたことを思い出しました。いろいろな地域、民族、時代の創世神話を紹介されていますがどことなく共通点があるものも多く、ひとの思いはどこか遠く深いところで繋がっているんだろうなと興味深く読めました。

  • ・アメリカ大陸の豊富な食糧資源のなかで、トウモロコシは「奇跡の作物」と呼ばれるほど、多くの実をならし、栄養価が高く、乾燥や貯蔵も容易であった。人々の主食としてマヤ文明発展の原動力となったトウモロコシは、神聖視された。トウモロコシから人間が創造されるという神話・伝承はマヤだけではなく、メキシコ・中米に栄えた先スペイン時代の文化にも広く認められる。

  • 各話5~6ページの分量にも関わらず、印象的な絵と親切な解説つきです。世界の神話とあるだけに、様々な地域の神話が選出されています。共通点も特異点も多く、もっと知りたいと思えました。

  • どこの神話もある程度ぶっ飛んでるな…と、改めて

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著者プロフィール

神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート協力研究員。
専門は伝承文学、ドイツ文学、ドイツ民俗学、神話学。著書・論文に『はじまりが見える世界の神話』(植朗子編、阿部海太絵、創元社、二〇一八年)、『鬼滅夜話 キャラクター論で読み解く『鬼滅の刃』』(扶桑社、二〇二一年)、「子どもの神話における穀物霊と家霊」(説話伝承学会『説話伝承学』、二〇一八年)。

「2022年 『人はなぜ神話〈ミュトス〉を語るのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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