- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784434023965
作品紹介・あらすじ
同級生だった悟と裕子は親の反対を押し切って結婚。幸せに暮らす二人だったが、やがて裕子の身体に変異が現れはじめ、次第に背が小さくなっていった。原因の分からないまま不可思議な若返り現象は進み、やがて哀しい結末へと向かってゆく……表題作とその姉妹編voiceを収録。著者が妻のために書いたものがネットで12万人もの読者を掴むまでになった、切なく哀しい2編の恋愛物語。市川拓司出版デビュー作。TVドラマ化!
感想・レビュー・書評
-
好きな人と、おなじ時間軸で年を重ねられること。
それがどんなにしあわせなことなのかに、今
気づいた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(Separation ーきみが還る場所)
高校の同級生だった井上悟と五十嵐裕子。
2人は互いの両親の反対を押しきり、結婚する。
2人きりのしあわせな日々を過ごしていた悟と裕子だったが、ある日裕子の身体に異変が起こりはじめる。
そう、裕子の身体と精神は、すこしずつ若返っていったのだった…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中編「Separation」(☆4)と短編「VOICE」(☆2)からなる1冊。
どちらも、井上悟と五十嵐裕子を軸にした物語ですが、パラレルワールドのような感じで、2人のたどる道はそれぞれにちがっています。
「VOICE」は、主人公である悟があまりにも卑屈で自分を卑下していたため、その後ろ向きすぎる生き方にどうしてもなじめませんでした。
しかし「Separation」は、とてもとても悲しくて最後には号泣してしまいました。
読みながら映画「ベンジャミン・バトン」を思い出しました。(こちらもとてもいい映画です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
悟は年を重ねていく、けれど裕子は若返っていく。
ある日を境に、2人の時間は180度反対になってしまいます。
若返ると聞くと、とてもうらやましく感じるかもしれません。
しかしそれは、好きな人がいない前提でのことかもしれません。
ひとたび好きな人と出会ってしまったなら、しかもその人とちがう時間軸で生きるということは、こんなにもしんどく切なく、哀しいお別れが待っているのです。
読み終えてまず思ったのは、わたしは夫と時間軸が一緒の世界に生きられて、しあわせだなということでした。
そう思うと、わたしも夫もここに生きている、ただそのことがとても不思議になると同時に、ありがたく、涙が出てくるのでした。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議な夫婦の話と、うまくいかない男女の話。
-
愛と喪失の恋愛小説。市川さん的には一人の女声「裕子」のためだけに書かれた。市川さんの作品ではよくある「愛し合っている上での喪失の話」、と言ってしまえばそれまでですが感動しました。Separationは妻が子供に還っていってしまう話。事情だけに二人だけの世界があって、最後には希望があったので比較的に楽に読めました。ただ、その後のVOICEが愛し合っているのに、心は分かっているのに別れがあり、最後はとても悲しい結末だと感じましたし、少し泣けました。
-
『いま、会いに行きます』の作者、市川拓司さんのデビュー作品です。
-
2作品とも登場人物は同じだが、内容は全く違う作品。
この作家さん特有の、ゆったりと静かに流れていく恋愛物語。
特にVOICEは、展開が想像できやるせなさ感が募る。そして絶望していくところは切ない・・それ故に心に残る。
なんだかとてもよく分かるが、もどかしい。
バッドエンドで終わるせいか、今イチ評価があげずらかったのはそのせいか・・・・・・ -
読み終わったとき、ただ喪失感しか残らない。
収録されている2作「Separation」と「VOICE」はどちらも、2人が出会ったときがピーク、あとは緩やかに別れへと向かっていくのが、読んでいてたまらなく悲しく感じた。 -
十年前、高校の図書室で一冊埋もれるようにひっそりと存在感を発していて引き寄せられるように読み始めた本。
その頃、市川拓司さんは無名でいま会いにいきますも未だ世に出てなかったかな。今となっては有名になりすぎて少し寂しくもあったり…(笑)
とにかく、何これ⁈って衝撃的な話でした。切なくて苦しくて…
究極の恋愛小説ではないでしょうか。 -
大学生の頃ぶりに読んだ作品
当時の自分の世界を作っていた頃のような感覚とは違った今では感じ方も大きく変わっていた。
しつこいまでの形容が目に触ることもあるけど設定は面白いと思う -
切ない、その一言につきます。
-
悲しくて切ない。
読みやすくて、世界に入り込みやすい。