ゴロゴ板野の現代文解法565(ゴロゴ)パターン集 増補改訂版

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  • アルス工房
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434129285

感想・レビュー・書評

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  •  冗談のようなタイトルだけど、中身は案外まっとうな受験現代文の参考書。少なくとも同じ作者が出している古典単語の本よりは鋭い。古典単語の本の方が笑って楽しめるという意味ではずっと上だけど。

     要するに、受験現代文の解き方を、公式化して教える本である。類書はたくさんあるけど、居直ったようにコンパクトなまとめ方が特徴である。

     こういう公式化というのを嫌う人もいるけど、僕はどちらかというと好きだ。というより、必要になってしまっているのだと思う。いや、受験という意味ではなくて。
     たとえば、僕らはたくさんの人と関わることによって、「こんな顔をしたら、その人は怒っているんだ」とか判断しているはずだ。しかし、仮に生まれてからずっと携帯電話でしか他人と接したことのない人がいたとすれば、その人はそういう判断は出来ないに違いない。だから、「目が三角になって青筋を立てたらその人は怒っているのだよ」ということを誰かに教わらなければ、たぶんまっとうな社会生活は難しいんじゃないかと思う。
     正直言うと僕は、現代の高校生にはかなりの割合で、文章を読むと言うことに関してそういうレベルの人がいるんじゃないかと思っている。で、この本に書いてあることはまさに、「目が三角になって青筋を立てたらその人は怒っているのだよ」というようなことで、日常的に文章を読む人であれば、おおむね無意識に感じ取っていることのような気がする。

     もっとも、芸術とかスポーツがそうであるように、「無意識に感じ取っていること」を他人に教えるのは難しい。まして、相手にそれを受け入れるだけの感性が乏しければ。そういう点で、この本はかなり頑張っていると思う。「ああ、そうだよね」と思うことが多かった。

     ただし、公式というやつは覚えるよりも使いこなす方がずっと難しい。具体的な問題に対して、どういう公式を当てはめればいいのかわからないなんてことだってざらにある。「公式」ってやつが成立するように本質的に出来ている数学だってそうだ。まして、もっともっと曖昧模糊とした人間の言語を扱う国語ならなおさらだ。そこのところを誤解して受け止める人にとっては、あるいは近道ばかりを探すタイプの人にとっては、なまじ割り切って作られているだけに、危険も多いような気がする「公式集」である
    2009/3/12

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著者プロフィール

板野博行(いたの・ひろゆき)
岡山朝日高校、京都大学文学部国語学国文学科卒。
ハードなサラリーマン生活から、予備校講師に転身。
カリスマ講師として、全国の生徒に向けての講義や参考書を執筆。
『信長公記』の中で好きなのは松永久秀。
著書に、『眠れないほどおもしろい源氏物語』『眠れないほどおもしろい百人一首』
『眠れないほどおもしろい万葉集』『眠れないほどおもしろいやばい文豪』
『眠れないほどおもしろい徒然草』『眠れないほどおもしろい平家物語』
『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』『眠れないほどおもしろい日本書紀』
『眠れないほどおもしろい徳川実紀』(以上、三笠書房《王様文庫》)の他、多数。

「2023年 『眠れないほどおもしろい信長公記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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