- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784434253164
作品紹介・あらすじ
北海道命名150年!
振り向いてはいけません。前だけ向いて生きなさい。
北海道における畜産業発展に大きく貢献したエドウィン・ダンとその妻、鶴の愛の物語。
津軽の商家に生まれた鶴は、教育熱心な両親と双子の兄とともに何不自由なく暮らしていた。
やがて戊辰の役が終わり、母を病で失った鶴は北海道に渡る決心をする。
外国人技術者や政府の要人向けの、七重村郊外の峠下ホテルで働きはじめた鶴は、そこで
開拓使御雇農業方のアメリカ人エドウィン・ダンと知り合う。互いに惹かれ合い結婚し一児を
もうけるも、そんな二人に向けられる世間の目は冷たかった。時代の荒波に翻弄されながらも
一途な思いを貫いた一人の女性の物語。
感想・レビュー・書評
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実際の歴史上人物、そして北海道開拓の歴史の中の立役者でありながら名前こそ聞いたことはあれど、あまり知られていなかったエドウィン・ダンとその妻にスポットを当てた物語。
北海道開拓のための畜産業の発展の為に指導者としてアメリカから渡ってきたエドウィン・ダン。
主人公はその妻の鶴。
その当時、外国人と結婚することがどれほど大変なことであったか、どれほどの差別を受けていたのかを知りました。
そんな中、どこまでもお互いを信じ、愛し、支え合う姿に感銘を受けました。
北海道大学の「少年よ、大志を抱け」で有名なクラーク博士、黒田清隆、伊藤博文、西郷隆盛、五代友厚など、歴史上の良く知る人物も織り交ぜながらの物語、最後まで楽しめました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸の末期、弘前藩に双子で生まれた亀吉とお鶴。男女の双子は畜生腹から相対死にの生まれかわりとして生まれたと揶揄されながら育つ。鶴は馬に話しかけたり、すぐ仲良くなれる。松田鶴が15歳の時、馬のつながりでエドウィン・ダンと親しくなり、やがてプロポーズを受ける。実家からは理解が得られないものの、二人は事実上結婚、相の子のヘレンも生まれる。1888年(明治21年)に胃炎で没したエドウィン・ダンの妻、ツルの28年の生涯を描いた作品。なおエドウィン・ダンは北海道の酪農と競馬の父とされる。蜂谷涼「曙に咲く」2018.11発行。
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北海道開拓時代、いわゆる御雇外国人として農業・酪農の指導にあたったアメリカ人ダンとその妻であるお鶴の物語。明治初期の鹿鳴館の時代、外国人と結婚=妾という認識、ハーフ=あいの子という蔑みの対象だった時代に、自分の気持ち・愛情に正直にいきた鶴。厳しい開拓村のかんきょうの中でも、将来の日本のため、北海道のために働いたダン。不幸なシーンも少なくないが、読んでいて清々しい小説。これは道民として読んでよかった。「全ての美しきものは、心底にに溜まった澱を洗い流し、磨いてくれる。心が磨かれてこそ、己を鍛えられるというものだ」「振り向いてはいけない。前だけ向いて生きなさい」
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津軽の商家に生まれ、開拓使御雇農業方アメリカ人・エドウィン・ダンの妻となり、時代の荒波に翻弄されながらもを短い人生を健気に生きた鶴の物語。