国破れて著作権法あり ~誰がWinnyと日本の未来を葬ったのか (みらい新書)
- みらいパブリッシング (2023年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784434317095
作品紹介・あらすじ
YouTubeに先んじること3年。2002年5月、Winnyは誕生した。天才プログラマー・金子勇の人生と日本のイノベーションの未来を葬ったものの正体とは?そして日本に残された道はどこに?著作権法に精通した国際IT弁護士として活躍する著者が、現在の日本経済の停滞と敗因に「著作権法」という切り口から鋭く切り込む。さらに天才プログラマー・金子勇とWinnyの悲劇を繰り返さないために、そして、ここからの日本が再生するために、残された道を指し示す。巻末特別インタビューには、「Winny事件」弁護団の事務局長を務めた、『Winny 天才プログラマー金子勇との7年半』の著者、壇俊光弁護士が登場。事件の背景や当時の裁判についてなどがリアルに語られる。
感想・レビュー・書評
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私には難しくて、あんまり理解できなかった
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P2P技術が著作権侵害の幇助罪に問われたWinny事件(最高裁で無罪確定)がわが国の文化産業にもたらした負の影響について述べている。サブテーマとして警察・検察の取り調べ批判も。わが国の著作権法にもフェア・ユースの導入を提唱している。
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最近映画化されたWinny事件を題材として、日本の著作権の現状について論じている本。
日本はこの30年間1人当たりの平均GDPが一人負けの状態だが、それには様々な要因がある。日本人の性質(面倒くさがり=変えることに消極的、足を引っ張る、ヒラ目キョロ目)、政治家の劣化、メディアのレベルの低さ、などが挙げられるが、それ以外にも著作権という法律(ルール)に根本的な欠陥があったことが、この本を読んで理解できた。そりゃ、メガベンチャーなど生まれないわ。
日本の司法の酷さについては知っていた。
今だに人質司法で不当な長期勾留をしている国だ。警察取り調べの際の弁護士立会いも認められていない。証拠より自白がすべて。さらに、裁判官と検察官が仲良しこよしで、本来は「権力を持っている(立場が強い)検察を裁く」場である裁判の根本からズレた仕組みで運営されている。司法サークルの仲良し達。だから有罪率が99%。
狂ってるとしか言えない。
この状態で、最高裁判所の判事だけが有能なわけはなく、世間とズレた見識で判決を下してるわけだ(もちろん、中には有能な人もいるだろうが、それはどんなグループでも同じことだ)。この人たちには、物事を革新していこう、という気概が一ミリもない。まだ法律が未整備な領域で、如何に余計な規制をしないことで、今後国民にとってフロンティアを維持できるか、発展させられるか、みたいな思考もない。だから著作権も権利者側の視点にしか立たない(立てない)。
著者は日本にフェアユースを導入しようと頑張っておられる。それは応援したいし、素直に尊敬する。しかし、加速主義しかない、と考えている自分にとっては、一度日本は社会システムごと崩壊した方が良いという結論は変わらない。為政者、官僚、既得権益者(ステークホルダー)は死ぬまで変わらない。
この本読んで、その思いをまたさらに強くした。