わかりやすい 高麗茶碗のはなし

著者 :
  • 淡交社
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473039354

作品紹介・あらすじ

〈「井戸」「蕎麦」など高麗茶碗の分類ごとに、特徴や名称の由来などをわかりやすく紹介します〉
〈高麗茶碗を初めて知る方にも、より深く知りたい方にもおすすめの一冊!〉

朝鮮半島で作られ、日本の茶の湯で用いられた「高麗茶碗」は古くから茶人に愛され続ける人気の茶碗です。一口に高麗茶碗といっても、20種を超える分類は複雑で、正確に理解するのはなかなかむずかしいもの。本書では高麗茶碗を「井戸」「蕎麦」といった分類ごとに整理して、豊富な写真とともに、特徴や見所、名称の由来などをわかりやすく紹介します。巻頭には高麗茶碗の歴史など、基礎知識をおさらいする頁を設け、巻末には日韓両国における高麗茶碗の写しもの制作について取り上げるなど、高麗茶碗入門者にも、より深く知りたい方にもおすすめの内容です。韓国での調査経験の豊富な著者による、平成24年『淡交』での人気連載に加筆を加えて、一冊にまとめました。

感想・レビュー・書評

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  • 茶道具に興味があって、美術館で見たり、本を読んだりしていると、「高麗茶碗」というのが別格の扱いをされていることがよくわかる。
    わかるけれど、じゃあ高麗茶碗っていろいろあるけど、なんなの?という疑問に答えをくれる一冊だ。

    多種多様な高麗茶碗の特徴や歴史がわかりやすく説明されていて、初心者にも理解しやすい。

    朝鮮半島で雑器として用いられていたものが茶の湯で愛用された、と理解していたのだけれど、実際の高麗茶碗の多くは、朝鮮半島に日本の藩が作った窯で「茶の湯」ように焼かれたものが多い、ということを知り、びっくりした。

    まだまだわからないことも多いようで、「今後の研究課題」となって、明確な回答がない茶碗もあり、面白いものだなあ、と思う。

    野村美術館の学芸部長ということもあって、合間合間に挟まれるコラムのエピソードも興味深い。

  • 茶道具のジャンルは便宜上のものに過ぎない。井戸茶碗は高麗茶碗の最高峰で、「一井戸 二楽 三唐津」と呼ばれるが、朝鮮では日常雑器に分類されるものであった。桃山時代にはルソンの壺が茶器として豊臣秀吉はじめ諸大名に重宝された。しかし、これは現地では便器として使われたものであり、本来のジャンルは便器になる。出羽米沢藩の重臣の中条至資には、古雅の風をそなえる菓子器を盃に転用した逸話がある(藤沢周平『漆の実のみのる国 下』文藝春秋、2000年、257頁)。ジャンルを超えた利用法をすることが創意であり、イノベーションである。各ジャンルの物を一通り揃えなければ茶会ができないものではない。それは先人の創意工夫に対する侮辱である。ジャンルに拘泥する主張は茶人らしからぬものである。

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著者プロフィール

野村美術館館長。芸術学博士。
専門は茶の湯文化学。
〔主な著書〕
『茶会記の風景』(河原書店、1995年)、
『近代数寄者の茶会記』(淡交社、2019年)、『茶人たちの日本文化史』(講談社、2007年)、『茶湯古典叢書四 金森宗和茶書』(校訂、思文閣出版、1997年)

「2021年 『現代語訳 不白筆記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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