学力をのばす美術鑑賞 ヴィジュアル・ シンキング・ ストラテジーズ: どこからそう思う?

  • 淡交社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473039798

作品紹介・あらすじ

〈美術鑑賞教育VTSで学力がのびた!〉
〈アート鑑賞で総合学力をのばす、アメリカ発の教育カリキュラム〉

「VTS——Visual Thinking Strategies」とは、フィリップ・ヤノウィン氏(元ニューヨーク近代美術館教育部部長)が開発した、アートを通じて鑑賞者(学習者)の「観察力」「批判的思考力」「コミュニケーション力」を育成する教育カリキュラム。対話を介してグループで作品をみる鑑賞方法を提唱するVTSは、算数、社会、理科など他教科へも応用できるメソッドであるところが特長です。日本の学校教育においても、対話型美術鑑賞教育が重要視され、その具体的な方法を説く教科書がもとめられています。わが国で対話型鑑賞を実践している京都造形芸術大学アート・コミュニケーション研究センターが翻訳した『VisualThinking Strategies』(ハーバード大学出版局刊行)は、まさに日本で唯一の鑑賞教育のためのテキストです。

感想・レビュー・書評

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  • 対話型芸術鑑賞(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジー)について書かれた一冊

    一般向けにはお勧めできないものの
    この手のテーマについて書かれた本はほとんどなく
    対話型芸術鑑賞の誕生背景や活用方法などを知るには良い本である

    知識を気にせず芸術鑑賞という体験をより良くしたい方にもオススメしたい

  • どうやら対話型鑑賞の源流らしい、VTSの提唱者による著書。(対話型鑑賞≠VTS)
    VTSという学びの手法を使うことで、子供たちの力を伸ばすことができると言う教育法。
    内容が難しいのですが、大元の考え方を知っておくのは大事。…ということで、実践する中で折に触れて読み返したいと思います。

  • 書かれていることが一貫していて読み易いが、その反面内容の浅さを感じた。

    事例をただ列挙している様で、最初の方が読めたらあとはもう読まなくてもよさそう笑
    VTSのメリットは分かったけど、筆者が論を進めるために必要な情報しか書かれていないので読者は懐疑的になります。うーん、根拠もっとください!

  • ?この作品の中で、どんな出来事が起きているでしょうか??作品のどこからそう思いましたか??もっと発見はありますか? グループでアート作品を鑑賞しシンプルな問いかけをすることで、子供の思考力・言語力・記述力・ビジュアルリテラシーを高められる。

    他者を信頼して聴く・考える・話す、という能力が今は必要になっていること、そしてそれは従来の各教科の学習ではできないということだと思いました。

  • 方法論としては非常に期待できるのだけど,この書籍はほぼケース報告で成り立つものだから,エビデンスの質としてはこれだけでは貧弱だと思います(「どこからそう思う?」と根拠を尋ねる方法であるはずなのに…」
    )。もちろん,実感は大事なのだけど,その意味では,教育方法の研究によくあるような「うまくいきました」という実施者の主観報告にとどまってしまいます。対照実験に相当するものは共同研究者である心理学者任せにしている感じがしますが,系統的な研究が行われているのか定かではありません。1群のプレポスト研究に留まっている可能性が高いかもしれません。

    ライティングに効果ありとする例も,よく書けた子や,プレからポストへの伸びがはっきりと分かる子から選択的に掲載しているだけのようにも思います。計量的な分析が必要でしょう。心理療法同様,その方法に効果があるのなら,より客観的に示すことが重要なはず。何らかのスキル向上を示すグラフすら掲載されておらず,科学的エビデンスを蓄積していかなければならないと思います。ホントは何の効果もない方法だったら,他にやるべきことに時間を割いた方がいい子どもが被害者になりますから。

    「長年培われてきた現行の指導法の影響力の強さと,アートおよび対話の教育的効果への理解不足のために,学習目標の達成にVTSが役立つということを,にわかには信じがたいのだ。(pp.169-170)」と書かれているが,VTSの効果に対する教師の理解不足ではなく,理解のためのエビデンスを出すことが肝要でしょう。それを棚に上げて,教師向けのVTSトレーニングプログラムを提供するというのは,エビデンスベースを嫌う (一部の) 臨床心理士と同じではないでしょうか。堂々と科学的検討をすればいいのに。下に取り上げた一節は,論理性というか,科学的な誠実さに欠けると思います。

    「アートの効用に対する懐疑心を払拭するには,教師自身がアートとの関係を深めることが重要だ。(p.171)」とか「VTSを理解するためには,集団による探求の面白さを理解する必要がある。(p.171」とか確かに大事なところだし,VTSが美術鑑賞のあり方を示す点で重要ではあるけど,根本は「子どもに美術鑑賞以外の学力への波及効果があるか」に対するエビデンスを提示できるか,効果があると信じる「信仰・宗教・神話」とは異なることをいかに示すかだと思います。さもないと,ファシリテータのコーチングやトレーニングもただ信者を増やしているに過ぎないということになりかねないです。「まず10回のディスカッションに参加したら5級」「その後,15回のディスカッションに参加したら4級」…のようなVTS商法にならない方が断然いい!

    「過去数十年間の統計は,教育の成果が地域や人種や収入などの人口統計学的な属性によって異なるという結果を示し続けている。(p.190)」と統計情報を議論に用いるということは,エビデンスによる説得力は理解しているのでしょう。ご都合主義と批判されないようにするには,VTSの効果を示すエビデンスによって説得力を増すことが必要だと思います。今のままでは,ケーススタディの羅列にありがちな「多量の文章で,言葉巧みに」の状態に過ぎません。

    なお,参照しろと掲げられているURLは現在はほとんど見られません。こういうことはままあるので,仕方のないことだと思います。

    ちなみに,アートの語源は「生きる術」なのだそう。リベラル・アーツは「自由に生きる術」ということになるのかな。


    *****
     美術鑑賞が筆記力を向上させるという考え方は一般的でないし,アートが学力を向上させるといわれている一方で,実際に授業に導入している学校は少ない。これは,学力向上への影響を示す根拠が十分ではないことも一因だろう。同様に,読解,筆記,特定の概念理解といった具体的なスキルの育成にも効果があることを示した実践例も多くない。かといって,アートを通じた学習効果が否定されているわけではない。裏づけとなる研究データが少なく,美術鑑賞と学力向上,そして鑑賞を繰り返すことで学習効果が期待できるという両者の因果関係を立証する情報があまりないというだけである。(p.168)

  • 「対話型観賞」を知りたくて。
    図工の観賞というよりも、アートを媒介にして、考え方を学ぶ体験活動。ポイントは特定のオープンエンドの問いとパラフレーズでのファシリテーション。年間10時間を計画的に組み込んでいこうと思えた。

  • 対話型鑑賞を勉強したくて、それ関連としては2冊目。

    アメリカでの実践例いろいろ。
    個人的には、先に読んだ「教えない授業」の方が日本での事例、問いかけ文言があり、より使用しやすそう、また、全体として重複感なく読みやすかった。

    対話型鑑賞の効果、特に美術だけでなく、他教科での流用の仕方も豊富。

  • 借りたもの。
    VTS(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ)による、俯瞰で物事をとらえ、細部に注意をはらえる洞察力を鍛えるカリキュラムの実践方法とその効果、美術に留まらず他学科へ活かせることを検証し、まとめたもの。
    主に小学生くらいまでの児童を対象にしたカリキュラムだが、これがMFAなどにも通じていると思う。
    主に90年代後半での試みだが、昨今、取り上げられているデザイン思考・アート思考の先駆けとなったプログラムではないだろうか?

    子供のコーチングやアドラー心理学の子育て術に通じるものがある気がする。VTSを通して、児童が自己肯定感を養われている様子が文章から伝わってくる。
    うまくいかない事例も包み隠さず取り上げ、どうすれば改選するかのヒントや試行錯誤もしている。

    奥村高明『エグゼクティブは美術館に集う』( https://booklog.jp/item/1/4895288951 )に通じる。
    子どもたちはアートの“世界”に入り込み、体感しながらそれらを学んでいる、感じている。

    ◆VTS公式ウェブサイト( https://vtshome.org/ )
    http://vtsj.acop.jp/

  • アート思考の流れで読んだけど、この本自体には小学校教育での活用方法しか載ってない

  • VTSを導入することが教育にもたらす効用について。VTSを通して児童の言語能力が発達していくのがわかるし、気づき論理的に推論したり、ピアの意見で考えに柔軟性が増したりする。

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著者プロフィール

元ニューヨーク近代美術館教育部部長

「2015年 『学力をのばす美術鑑賞 ヴィジュアル・ シンキング・ ストラテジーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

フィリップ・ヤノウィンの作品

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