結果を出すリーダーはみな非情である

著者 :
  • ダイヤモンド社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478021477

感想・レビュー・書評

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  • 以前、学生時代に受けた企業採用説明会のゲスト講演者が富山さんで、その話が辛辣だが面白かったことを思い出して読んでみた本。

    富山さんがこの本で言いたいと思われるポイントは冒頭で完結に述べられているので時間がない人は冒頭だけでいいかもしれない。

    ①若いうちから経営者の視点(与党の視点)で物事を考えること
     野党的視点・スタンスは楽で気持ちいいかもしれないが、それでは実際に権力に握ったときに何をしないといけないのか、組織の動かしかた等が見につかない。常に与党的立場で状況を整理し、自分がリーダーだったらどうするか、という視点で考え、実行する。
     実行に移せないような環境であれば、今の権力にある人たちの行動、彼らを何が動かしているのかをよく観察・洞察すること。それがのちのち生きる。

    ②責任転嫁しないこと/引き受け戦うこと(=ストレス耐性を高める)
     ①と近いが、責任転嫁しないこと。失敗もそうだが、不作為による失敗(無能)を上司や部下に責任転嫁しないこと。
     また、そうした機会から逃げないこと。
     戦った経験がない人間は、立場が上になったからと言ってすぐ戦えるようになるものではない。

    とりあえず、今の私に響いたのはこの2点。
    -----------------------------------------------------------------------------------
    本題とは別なところで、他に読んでいた本との兼ね合いで面白かった記述。

    日本的革命の要諦として「イデオロギッシュなものがエンジンとなることは滅多にない。もっとあいまいな、空気のようなもの、さらにはその背景にある個々人の実利と情緒、すなわち、合理と情理が重なり合ったところにおいて空気が一変し、改革は付和雷同的に加速する」
    「昨日まであれだけ主義主張を振りかざして抵抗していた人たちが、いつの間に課全く逆のことを言いだす」p189

    これが日本的ムラ社会の特徴らしい。
     

  •  ちょっと刺激的なタイトルなので手にとってみました。ミドルリーダーをテーマにしたリーダーシップ論です。
     「論理的思考力」「合理的判断力」「戦略・組織論」等、章立てとしては特段目新しくはないのですが、現代の日本企業の沈滞に対する危機感を基軸に、変革の時代の担い手として企業のミドルマネジメント層をターゲットに据えた、著者の実践的なアドバイスが開陳されています。
     「ミドルリーダー」への教科書的ではない具体的な示唆には首肯するところが数多くありますが、それら以外でも、著者流の物事の捉え方は、綺麗事に止まらずなかなか刺激的でしたね。

  • 『結果を出すリーダーはみな非常である』読了。
    ★3つ
    元産業再生機構CEO冨山さんの本。
    この本の題名はどうなんだろう。インパクトを狙いすぎでは?(笑)
    内容としては、大きく下記の感じか
    ・特に日本では課長クラスのミドルマネジメントが重要。課長クラスがんばれ
    ・論理が大事だが、正論では通じないところは、こうやって乗り切れ

    多少参考にはなりつつもやや違和感があり★3つ。

    その理由はあとがきを読んで分かりました。
    『いわゆるリーダ論、ミドルマネジメント論には古今東西にさまざまな素晴らしい著作がある。
    それら名著で指摘されている事柄とは、極力重複しないテーマを選択した。ちょっとすると
    内容に偏りがあるっじゃないかな?」と感じた人がいるかもしれない。』
    あ、なるほど。
    他の本をメインにしつつ、補足としてこの本を読むのがよいのかもしれない。

  • トップリーダーを目指して日々経験を積み、鳥の目・虫の目の視点で、戦略的に論理的に考え、信念を持って行動する。今の組織にあるような足し算的なモノの考え方ではなく、引き算的なモノの考え方をする。経験を積み、ストレス耐性を高める。

  • 課長クラスのミドルリーダーが果たすべき職責を語る本書。組織の論理がよく理解できる。
    とにかく上に行くためのマインドセットを持っておくか否かでその後が変わるということを思い知らされた。

    ・現場レベルの意思決定とトップリーダーの意思決定は違う。常に大きな目線で。

    ・課長が1番誰かのせいにすることができる。(部下にも上司にも)そこから逃げないで、自分で引き受けてストレス耐性高めて行くことも大事。

    ・訓練としての論争
    →実際に、自分が決断する立場になった時、判断能力の弱い人間になる。意見を戦わせることから逃げるな。


    ・与党マインドを持って、社長の視点で既に考え、行動すると言うマインドセット
    →野党で批判ばかりするのは簡単。しかし、そう言った人間は自分が火の粉を被る心づもりはなく、いざ自分がリーダーになった時に何もできない。

    ・部下評価では成果と能力をわける。能力は将来花開くこともあり、そこを評価してあげることは大事。

    ・比較優位と比較劣位
    →認識できているか?

  • 捨てることの重要性を再認識。
    京セラの稲盛さんはすごいらしい。冨山氏がすごいという人の考え方を学ぶことは価値があると感じた。

  • サンクコストとサンクタイムの内容は参考になった。

    他の内容は知っていることばかりだった。

  • ・社長と副社長の距離は、副社長と平社員よりもはるかに遠い。
    →TOPとno.2の差は果てしない。一度TOPを経験しないといけないな。

    ・人を使うことに長けていない人は、ケミストリーや好き嫌いが先に来てしまう。
    →好き嫌いじゃなく、使えるか使えないか。使うのか使わないのか。

  • ・現場のリーダーシップと真のリーダーシップ(ジレンマ局面)は異なる
    ・課長らしい課長になってはいけない
    ・エアラインと半導体の経済構造の話は膝を打つ
    ・欧米と日本のガバナンスの違い

    ・4,500万でも子供1,2人暮らしていけるって感覚はずれてる
    ・ミドルリーダーが日本では大事ってのは昔から言われる話
    ・言葉遣いは汚い
    ・自分を平気で優秀と言ってしまうあたり、私とは合わない

    ・現場主義は正しいが、現場が権力を持つのはダメになる
    ・経済構造、そのビジネスが儲かるか否かの決定要因を把握する

  • 理想論+現実的な実践論の組み合わせによる、地に足のついた企業改革本。
    変革期におけるミドルリーダーのあり方をよく示しており、10年近くたったいまでも通用する内容だと思う。
    ただ、「非情」どころか「情に訴えたコミュニケーション」を主張するなど、タイトルに偽りがあるのは売らんかな主義なのでマイナス。
    また、改革ミドルリーターの例として国鉄改革3人組の事例を挙げてるが、JR西の井上とJR東海の葛西の「天皇」と呼ばれるほどの老害ぶりを知った上での記述なのだろうか。井上に至っては福知山事故を生み出した企業土壌を作ったことに疑いは無いのに。

著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。2020年10月より現職。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長、パナソニック社外取締役、経済同友会政策審議委員会委員長。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、国土交通省インフラメンテナンス国民会議議長、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)、『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(いずれも文藝春秋)などがある。

「2022年 『両利きの経営(増補改訂版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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