戦略参謀―――経営プロフェッショナルの教科書

著者 :
  • ダイヤモンド社
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478024461

感想・レビュー・書評

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  • 発行から7年遅れで読んだが全く色褪せることなく読めた。

    印象深いフレーズ 
    P254
    「企業は、働く者がそこで力を高め、自身の力を発揮して事業に貢献し、そして企業が市場に貢献する。結果としてその存在自体が意義のある会社として発展していく。こう考えるのが一番収まりがいいと思う。市場も企業も、そしてそこで働く者も皆が幸せなれるからだ。」
    P255
    「世の中に足跡を残してきたのは、保身に走った人たちではなく、道を開こうとあがいた人たちだ。どういう人性にするかは、自分で選ぶことだ」

    経歴が華々しいので、すかした感じかと思いきや、日本向けの共感しやすい内容で、小説としても結構楽しめた。(社長秘書が誰の味方か、については読み誤った。)

  • 書店にて、大前研一『企業参謀』を彷彿させる刺激的な表題につられ、思わず手に取り著者の略歴を眺め驚愕した。〜早稲田大学大学院理工学研究科修了〜中略〜マッキンゼーアンドカンパニーに入社〜おいおい、これは本当に大前氏の正式な後継者が現れたのではないか?しかも本書が処女作品だって??←ここから購入決断の思考に至るまでおそらく一秒も掛かっていないだろう。これが本書との出会い。これで期待を裏切られたら、そのショックは計り知れなかった事だろう。だが心配無用、おかげさまでショック死せずに済んだ。あまりにも満足してFBで著者に直接感想メールを送った程だ。

    本書には複数の登場人物が出てくる。通常、読者が自らの意識を投影させることが出来る人物は主人公一人。しかし本書では、五人ほど意識投影が可能な人物がいた。それぞれの立場から見る個々の物語は、彼ら自身の経済合理性の下にしっかりとしたロジックを構築しており、書籍としての空気を乱す輩は一人も出てこない。その彼らが織り成す経済活動を通じての日常は、きわめて目まぐるしく、また生々しく、いち企業の歴史を紡いでゆく。思惑の異なる登場人物が織り成す企業ストーリーをそれぞれの視点から楽しむ事が出来る書籍はそうあったものではない。

    物語りも然ることながら、さらには各章の最後にある『解説』、これが何にもまして面白い。以前、『ストーリーとしての競争戦略』の著者である楠木健氏が、著書『戦略読書日記』の中で頻繁に使うフレーズがあった。『“スキル”ではない“センス”という何か』それは、「世の中の成功している社長は、スキルではなくセンスで事業を行っている。」という趣旨の話しだ。そして楠木氏は、「この“センス”という概念を言葉で説明することは困難である。」としていた。ところが、本書はこの辺りをさらりと説明してのける。二代目の持つなんとも言えない“代表取締役担当者としてのセンスのなさ”そして、成功した創業者が行っていた“センスとしか言いようのない卓越した経営手腕。”この難解な二者間の関係性を、高速で回すPDCAで説明するあたり、著者には学問では無いなにか傭兵的な臨場感を感じずにはいられない。

    著者の作家としてのキャリアはこれから益々磨かれていく事だろう。しかし、物語としての完成度を求めてしまえば、それは池井戸潤氏を追いかけなければならなくなる。正直、著者にはそんなドラマチックジャンルを求めてはいない。いや、内容についても十分に面白いのだ。だが、それ以上にこの『解説』の価値観の殴り書きが矢鱈と僕の共感スイッチを点けて回る。ではなぜ★4つなのか。それは、「続編のほうが面白いですよ!」という著者からのFBメールが所以である。自ら上げたハードルを見事に飛び越える事ができるか否か、続編が待ち遠しい。

  • 経営企画の人向けの本。

    社長の最後の仕事はリーダーシップを発揮すること。

    問題解決は、現状把握、真因追求、解の方向性、具体策の比較検討、実行計画の明示の順で行う。

    PDCAを回せれば、すべての企業は経営できる。ちゃんとやるところまでみる。

    小説形式なのでスラスラ読める。
    会社は一人の創業者から始まり、徐々に社員に業務を委託し、最後に委託するのが経営企画。会社のことを考えること。

  • 人、性善なれど、性怠惰なり

  • 古き日本企業の危機からサクセスストーリーまで
    多分どこの企業もある話なんだけど、読み物として非常に面白かった。
    技術的な部分は控えめなので、特に経営に詳しくなくても面白く読める

  • マッキンゼー出身のコンサルタントによる企業変革に関するビジネス小説。

    よくある小説仕立ての書籍と同様に、全能の先生が登場し、この先生に教えを乞う若手社員がヘマをしながらも改革を進めて行くという話で、さほど目新しい感じも受けない。小説としての出来は普通、という印象。

    それでも、この本が素晴らしいのは、「経営企画部」とはどういうことをする部署なのか、その内容ではなく、その仕事をするにあたっての心持ち、気構えといったものを、厳しい言葉で述べてくれている点である。こういう本は今までなかった。

    [more]
    (目次)
    紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、陰謀家の阿久津専務の逆鱗に触れ、新設の経営企画室に異動に。だが、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の助力を得ながら、社長の補佐役として成長。社内の地雷を踏みまくりながら経営改革に取り組姿を描くビジネスストーリー。

    第1章 高山、最初の地雷を踏む
    第2章 「バケツの中身」が重要だ
    第3章 経費削減と経費低減は違う
    第4章 社員がやる気になる人事制度とは
    第5章 起死回生の販促プラン
    第6章 混沌のなか、海図を求める
    第7章 新業態を立ち上げる
    第8章 社内の「憑き物落とし」

  • 読みやすい経済小説。

  • ポイントがストーリー仕立てでまとまっていてよい。

  • ・企画というのは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、そこから、目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てるという一連の動作のこと

    ・言葉にして、時には分析もし、何がポイントなのかを抽出して人に上手に伝え、全社視点での動きをつくっていかなければいけない仕事

    ・戦略的な方向性に沿った実践力と、素早く的確な方向修正能力

    ・戦略的な方向性は正しくても、それを真摯に謙虚に実行できていない状況が低迷を招く

    ・判断がなされた時の、判断の前提を明確にしておくべき

    ・本来重要なのは、失敗を称賛する文化づくり。失敗することがいいわけではない。失敗から多くのことを学べるという事実を会社が受け入れるということ

    ・経営というのは、正しい企業文化づくりでもある

    ・PDCAが回っていない理由は、いくつも挙げられるが、その根にあるのは、「人、性善なれど、性怠惰なり」ということ

    ・実証主義の場合に、気をつけるべきは、それが因果なのか相関なのか、その混同を起こさぬように気をつけねばならない

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著者プロフィール

株式会社RE‐Engineering Partners代表、経営コンサルタント。
早稲田大学大学院理工学研究科修了。豊田自動織機製作所よりの企業派遣で米国コロンビア大学大学院コンピューターサイエンス科で修士号を取得後、マッキンゼーアンドカンパニー入社。大手電気、大手建設業、大手流通などの戦略策定や経営改革などに携わる。その後、大手企業の社長、役員、事業・営業責任者として売上V字回復、収益性強化などの企業改革を行う。08年、(株)RE‐Engineering Partnersを設立。

「2020年 『PDCAマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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