どうすれば、売れるのか?―――世界一かんたんな「売れるコンセプト」の見つけ方
- ダイヤモンド社 (2017年4月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478102190
感想・レビュー・書評
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こないだの冬に伊万里に行った時のこと。
なんか陶器を使った小洒落た雑貨ないかなぁと大川内山の陶工を見て回った。
ある陶工では「こちらの陶器は30%引きになってます。これなんかわからないくらいの汚れなのですが、半額です」という売り方をしていた。
いやいや。欲しくないもんは、いくら安くても買わないよ。
結局買ったものは伊万里焼のスイッチカバー、ネクタイピン、小匙、バッグハンガーといったもの。
陶器の中でも、このデザインはすげぇ!めっちゃいい仕事!!とビビっと来た陶工では決して安売りしない。むしろ高い。
カップ一客一万円、さすがに手が出ない。
これは台湾の陶器の街、鶯歌でも同じだった。
質が良ければ物は売れるはずだという勘違い。
そんなわけねぇだろ。
欲しくないものを買うわけねぇだろ。
そもそも、それをお前、自分で買うんか?
スペック・要素・付加価値に重きを置いたマーケティングの勘違い。
では、どういったものが売れるのか。
本書では「ベネフィット・資格・真新しさ・納得感」の四点を挙げる。
どうすれば売れるのかなんて、営業だけが考えればいいんじゃないの?
いえいえ、実生活にも役立ちますよ。
買ったものに仕事をさせる。これはどの本で読んだんだっけ。
そのものを買うことによって、生活はどう変わるのか。
それを一瞬でも考えることは、お金の無駄遣い防止につながるのだ。たぶん。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
基本とのこと
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物のスペックうんぬんではなく、人は物を買った時に可能になるコンテンツに対して魅力を感じる。
なので、スペックが他社よりいいと言われても響かないし、そこを訴えても仕方ない。 -
図書館で借りた。
売れれば苦労しない -
木暮さんは富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートなどの大手企業を経て、独立されました。
学生時代に経済学の解説を書いた経験が基となって、出版の事業において大きな結果をつくられます。
これまでも多くの著書を発表され、コメンテーター、講演活動など幅広くご活躍されています。
本書はタイトルのとおり、商品やサービスがどうしたら売れるようになるのか、というテーマで書かれています。
売れる商品やサービスには共通するポイントがあり、とてもわかりやすく紹介されています。
【懸命に作っているのに売れないのはなぜ?】
まず、売れない商品に多く見られる傾向を、いくつか挙げています。
・質の高さや、スペック、性能の良さを押し出している
・商品説明の主語が、自分(売り手)になっている
商品の質は確かに大事なのですが、質が購入の決め手にはならないと木暮さんはいいます。
『"タウリン1000mg配合"だから買う』という考え方のお客様はあまりいないでしょう。
また、『うちの商品は最先端の技術を使って作られています』などと、つい売り手の目線で商品の特徴を語ってしまうことが多いのだそうです。
これは、『私の趣味は○○で、週末は○○をしていて、好きなものは…』と、延々と自分の話が続く自己紹介のようなものだといいます。
私も思わず、なるほど!と感じました!
【お客様が欲しいものは "変化"】
お客様(買い手)が気になるのは、
『その商品が自分にどういう「いいこと」をくれるのか?』
『そのサービスを使った結果、私がどうなるのか?』
であるといいます。
言い換えると、その商品(コンテンツ)によって
『あなたが望んでいた○○ができるようになります』
というように、買い手にもたらす "変化" を欲しているのです。
ライザップのCMを例に挙げて、『あなたが望む理想の体型を手に入れられる』という明確なメッセージが打ち出されていることを説明しています。
これもわかりやすいですね。
他にも、売れるコンテンツの特徴とその設計方法が詳しく紹介されています。
読了後に身の回りの商品を見てみると、新しい発見がたくさんあって面白いですね。
【相手が欲しがっている "変化" を伝える力 】
そして先日、木暮さんの講演を拝聴したときに、本書の内容に付随して次のようなお話をうかがいました。
これからの時代は、
【編集力】自分が持っている素材を、相手が欲しい形に変える力
【言語化】コンテンツの価値・魅力を、言葉でわかりやすく相手に伝える力
が求められるのだそうです。
お客様が求めているもの(変化)を、買い手の目線できちんと把握すること。
商品やサービスがもたらす価値を、言葉でわかりやすく伝えること。
木暮さんはご自身の経験を、
『たくさん失敗してきたし、考えるよりも半歩先に行動してきたから、力がついた。』
『コンテンツの価値を伝えられるように、一貫性を大事にしながら、実績をつくってきた。』
とお話されました。
私も複数の事業に取り組んでおり、それぞれのコンセプトを磨きなおす貴重な機会となりました。
専門的な内容がとてもわかりやすく説明されていて、非常に学びの多い1冊でした。
木暮さんの著書は、経済やコミュニケーションについて学びたい方に特におすすめです。 -
売るための方法論がとてもロジカルに説明されていて納得できます。
需要と供給がいかにマッチするかということなんでしょうが、この本で書かれているような落とし穴は確かに多そうです。
あとひとつ個人的に付け加えるならば「タイミング」というのもとても大切だと思います。 -
2017年16冊目。マーケティング以前の、「売れるものの作り方」。消費者は単なる「モノ」を買っているわけではない。どうやって人の心を動かすのか、完成したものを売る仕事にも役立つ視点が満載。
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・コンテンツが「面白そう」「それほしい!」と言ってもらえるようになるには、4つの要素が必要です。
・ベネフィット
・資格
・目新しさ
・納得感
・リクルート社では、ビジネスを作るときに「自分たちに何ができるか」の前に「世の中にどういう”不”があるか」を考える。
・どんな不満を抱えているか
・どんな不安を抱えて生活しているか
・どんな不快な思いをしているか
・どんな不便を感じているか
・類感マトリックス
・ポイントは、自分の商品・サービスを使った時の相手の変化を表現する
= これを使うと、相手の悩みが解決される・願望が実現できることを表現する
・相手の興味を惹きたいのであれば、主語を相手にしましょう。
「(自分のコンテンツを使うと)あなたがこうなります」