- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478102718
作品紹介・あらすじ
音楽ビジネスが予言する世界の「これから」とは──。米大統領の経済ブレーンを務めた経済学者が明かす!!
感想・レビュー・書評
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ミュージシャン、マネージャー、コンサートの興行会社等々へのインタビューや取材を元に、ロックを中心としたアメリカの音楽界を経済の面から分析した本。平たく言うと、ミュージシャンとその周辺の人たちや会社のお金事情がどうなっているのかという事。
著者は経済学者でプリンストン大の教授であったことに加え、オバマ大統領の経済ブレーンも務めていたらしいが、2019年に59歳の若さで亡くなっている。
アマゾン、アップル、スポティファイ等のストリーミングや、YouTubeの登場で、アーティストの主たる収入はCDやレコードの売り上げではなく、コンサートとストリーミング配信料およびグッズ等の補完物等の売り上げとなったとの事。
レコード/CDやストリーミングおよびコンサートの売り上げの配分比や、印税率など、推定値ではあるがかなり突っ込んだ台所事情が載っていて面白い。
日本でもおそらく、事情はアメリカと同様で、アーティストはライブと物販が収入の主たる部分を占めているのではないだろうか。そしてこのコロナ禍でライブが以前のようにできなくなった昨今、よっぽどの大物でない限りかなり苦しい状況に置かれているものと思われる。
残念ながら著者はもう知ることは無いのだが、日本においてはCDに握手券や投票権が付いていることで、一人が何十枚、何百枚と購入し、膨大な売り上げ数を稼いでいた、とか、地下アイドルのチェキ販売等、ディープなアイドル事情も知ることができたなら、本書の改訂時、あるいは続編刊行時に取り込んでもらえたかもしれないと思うと残念でならない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者はオバマ政権の経済ブレーンだった経済学者だが、2019年に58歳で自殺している。つまり、これは遺著である。
邦題の印象から、〝ロックをフィルターにして、わかりやすく経済学を学べる入門書〟みたいな本を期待して手に取る人が多いだろう。
だが、そういう本だと思って読むと肩透かしを食う。たしかに随所に経済学用語は出てくるが、経済学を学ぶ本としてはほとんど役に立たない。
これはそういう本ではなく、ロックビジネスの舞台裏を経済学者の視点から分析・紹介する「音楽産業論」なのである。
そして、〝ロックの産業としての構造〟の側面をさまざまな角度から解説した本としては、すこぶる充実している。今後、この分野に本書を超える本は出ないのではないかと思えるほどだ。
ロック(を中心としたポップミュージック)が好きな人なら楽しめるし、資料的価値も高い一冊。 -
多くの人々にとって身近なロック/ポップ音楽が、ビジネスとしてどのように生み出され、流通しているのかを経済学の手法を用いて分析することにより、アートとしての価値が貨幣価値へと転換する仕組みや課題を明らかにした一冊。
今日の音楽業界では音響、録音媒体、ストリーミングといった技術の発達に伴い、多くの顧客に低コストで商品を届けることができる「規模の経済性」が高まる中で、より差別化され非代替性のある一部のスーパースターがバンドワゴン効果によって市場を席巻する「勝者総取り」の傾向が強まっており、これには「需要と供給」バランス、コスト構造、価格差別、補完材といった伝統的な経済理論に加えて、「ファン心理」といった情緒による意思決定などの行動経済学的要素、さらには偶発的な運の力も大きく影響していると著者は分析する。
”青春時代の思い出”や”ここ一番の集中したい時”といった形で人々の感情に作用し、時に社会的ムーブメントにもつながるほどに大きな本質的価値を考慮すれば、著者は音楽の経済的価値は相対的に低く、とても「お買い得な商品」であり、昨今のコンサートチケットの高騰や価格差別はこのギャップを埋める動きとして理解を示す。多くの観点が詰め込まれすぎて冗長感はあるが、データに基づく分析は読み応えがある。
「うちの業界は特殊だから」と言って、経済学や経営学の「定石」が適用できない理由にする人は多いが、音楽業界こそ「特殊な業界」の一つであり、その業界をしっかりと「定石」を使って分析することで、「何がどのように特殊なのか、それがどこに、どのように影響を及ぼしているのか」がより明確になり、そこから、より汎用的に適用できる示唆が得られるという意味で興味深い。一点だけ欲を言えば、著作権の議論においてブロックチェーンに関する言及がないのが残念。本書上梓後に他界した著者が存命ならば是非見解を聞いてみたかった。 -
音楽を聴きたくなった
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スター=才能➕運
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音楽のビジネスが近年どのように変わってきたかを、研究結果を裏付けにしながら論証し、経済学の普遍的な事象を抽出する本。
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娯楽である音楽に対して、経済的な目線は持っていなかった。
しかし、この本で音楽市場にも、サブスクリプションサービスの台頭もあり、他の市場と同様に資本主義、グローバリゼーションの波が急激に高まっている事がわかる本。
勝者総取りの世界、技術の進歩によるソロ化、コロナ禍でのライブ激減からみると、バンド業界は厳しい現実。
この本に対しての評価。
少し訳が読みにくく、冗長な表現が多いのと、『ロック』と言ってる割にはポップ層も多く、わからかい固有名詞が沢山でてきたので、ある程度音楽に詳しい方向けかと。
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音楽の支出は世界全体で500億ドル (2017年)
世界のGDPの0.06% 世界のエンタテインメントの2%
配信サービス印税 100万回あたり2000~3000ドル
スポティファイ売り上げの60%を印税として払う
レディオヘッド In Rainbows
最初の1か月 100万人のうち60%は支払いゼロ、40%が平均6ドル支払う
それでも過去のデジタル配信合計より多い儲けに
アメリカ人の80%が普段音楽を聴く 平均2~4時間 うち1/3がストリーミング
ミュージシャン21万人 被雇用者の0.13%(2016年アメリカ) 半数が大卒
バンドメンバー数 ビルボードTop100 1976年4.5人が 2016年には3.2人
コラボ作曲 1980年代以降作者が2倍 曲づくり細分化
スーパースター市場 規模の経済
トップ1%のコンサート収入 26%が35年後2017年は60%へ
バンドワゴン効果 2017年3320万曲ストリーミング 人気は人付き合いで決まる
これから変わらないものは何か? 戦略を立てられるのはそっち(ジェフ ベゾス)
録音された音楽への支出、1位アメリカ。2位日本はCDに執着のため。
自国バイアス減少へ。
音楽は、早くて便利なものへ。人と人との付き合いが伴うもの。
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音楽を聴きながら作業をすると人生の幸福度があがる。音楽はそんなにも本質的なんですよみなさん。山形さんからの望月さんwatcherとしては必読!