マーケティングの教科書――ハーバード・ビジネス・レビュー 戦略マーケティング論文ベスト10
- ダイヤモンド社 (2017年12月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478104408
感想・レビュー・書評
-
本書のメッセージは次のとおりです。
マーケティングは、全ビジネスパーソンが果たすべき基本的業務なのです。そして、本書で示すようなマーケティングの考え方を習得しておくと、収益性の高いビジネスを実現できます。
厳選された10本の論文が本書で超一級の執筆者のラインアップになっています。
第1章 営業とマーケティングの壁を壊す
フィリップ・コトラー、ニール・ラッカム、スジ・クリシュナスワミ
・某メーカーの設計部門は、完成した設計仕様書を製造部門に渡すだけでなく、早期段階からその意見を取り入れることで時間とコストを節約できる。
・営業とマーケティングの発展四段階 ①独立独歩、②役割責任を分担、③連携、④統合化
・マーケティング部門と営業部門を融合すればうまくいく
第2章 セグメンテーションという悪弊
クレイトン・M・クリステンセン、スコット・クック、タディ・ホール
・顧客はなんらかの「ジョブ」を処理する必要があるだけだ。
・マーケターがそのジョブを理解し、それを肩代わりする商品、それに関連する購入体験を設計し意図した使用目的を補強する製品を作ることができればそのジョブを処理する必要性に気付いた顧客は、お金を支払ってその商品を買う。
・広告はそのジョブの性格を明らかにし、より多くの人々に処理すべきジョブの存在を気が付かせるうえで貢献した。
第3章 マーケティング近視眼
セオドア・レビット
・最も重要なことは、企業が売ろうとするものが、売り手によって決まるのではなく買い手によって決まるという点である。
・まず第1の出発点 ー 顧客から始めよう
・顧客にすれば、この製品がどのように生産されているかということはどうでもいいことだ
・2つの基本的なルール、企業の課題は何かを突き止めて問題の定義をする、次のその問題を解くための仮説を立てる
第4章 マーケティング再考
ローランド・T・ラスト、クリスティーヌ・ムーアマン、ゴーラブ・バーラ
・顧客生涯価値を最大化することに焦点を移さなければならない
・サービスの質を高水準で維持するだけでなく、長期的な顧客リレーションシップの深耕を後押しするものだからである
・製品志向の企業を顧客志向へと抜本的に変えるのは難しい
第5章 顧客ロイヤルティを図る究極の質問
フレデリック・F・ライクヘルド
・利益成長の指針となるのはたった一つの質問だった
・それは「この会社を友人や同僚に紹介したいと思いますか」
第6章 「つながり」のブランディング
デイビッド・C・エデルマン
・インターネットはブランドに対する消費さの関与の仕方に大きく影響を与えている。
・マーケターは従来のやり方ではもはや立ち行かなくなっている。
・消費者の購買意思決定の旅(CDJ:sonsumer decision journey)というモデル
・そのプロセスは、①検討、②評価、③購入、④享受・支持・きずな
・マーケティング部門の新たな役割は、①全体調整者、②情報配信者、③情報管理者
第7章 ブランド評価の新手法:ブランド・リポート・カード
ケビン・レーン・ケラー
・ブランドには10の特性がある
・ブランド力は最終的には顧客心理、すなわち顧客がそのブランドに関連してどのような体験をしたのか、何を得たのかによってきまる。
第8章 ブランド・コミュニティ:七つの神話と現実
スーザン・フォルニエ、ララ・リー
・ハーレーを救ったのはブランド・コミュニティの構築だ。
・ブランド・コミュニティの7つの神話と7つの現実
・コミュニティへの責任、関与、支援を通じて、大きなリターンをもたらすブランド・コミュニティを深耕することができる。
・そこからメリットが得られることは間違いない
第9章 女性の消費力が世界経済を動かす
マイケル・J・シルバースタイン、ケイト・セイヤー
・女性は大きな不満を感じている。過去100年の間、女性の市場影響力と社会的地位は著しく向上したが、女性はいまだ市場や職場で過小評価されている
・女性顧客が魅力的なターゲットである業界は6つある。食、フィットネス、美容、衣、金融、医療
第10章 法人英豪は提案力できまる
ジェイームズ・C・アンダーソン、ジェームズ・A・ナルス、ワウテル・ファン・ロッスム
・顧客バリュー・プロポジション(提供価値)は法人営業の世界で頻繁に使われる言葉の1つである。
・バリュー・プロポジションの提案方法は3つある。①すべての長所を列挙する、②他者より優れた点を列強する、③顧客ニーズに特化する詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日比谷
ノキア -
マーケティング近視眼
p76 (産業の)成長が脅かされたり、鈍ったり、止まってしまったりする原因は、市場の飽和にあるのではない。経営に失敗したからである。失敗の原因は経営者にある。〜鉄道が衰退したのは、〜自社の事業を、輸送事業ではなく、鉄道事業と考えたために、顧客をほかへ追いやってしまったのである。〜輸送を目的と考えず、鉄道を目的と考えたことにある。顧客中心ではなく、製品中心に考えてしまったのだ。
p93 マーケティングと販売は、字義以上に大きく異なる。販売は売り手のニーズに、マーケティングは買い手のニーズに重点が置かれている。販売は製品を現金に替えたいという売り手のニーズが中心だが、マーケティングは製品を創造し、配送し、最終的に消費させることによって、顧客のニーズを満足させようというアイデアが中心である。
p98 生産にかかる限界コストさえ低くすると、何とか利益がでるという考え方は大変な思い違いで、会社をだめにする。〜自社の既存製品しか目に入らないため、その製品が陳腐化しつつあることに気づかないのである。 -
マーケティングについて網羅的に書かれているわけではないが、最新の有用な論文が数多くあり読む価値はあると思う。このハーバードビジネスレビューの論文集シリーズ、ほかのものも読んでみたいと思った。
-
改めて顧客志向であることが重要で、顧客から選ばれるためのノウハウは詰まっている。
少し難易度は高いが咀嚼すれば、実務に役立つと思う。
-
セオドア・レビットの論文を読みたくて手に取りました。本書は複数のマーケティングの大家の方論文集の体で、丸々読んだとしてもまだらな知恵しかつかないように思うので「教科書」というよりは「副読本」。
-
マーケって何だっけ?って基礎の復習に。
特段の目新しさはなくパラ見。
この本でもクリステンセン出てきたけど、未だにジョブ理論が何でそんなに売れているのか分からない。。まあ大事なことなんだけどさ。
CDJ(カスタマーディシジョンジャーニー)は覚えておこうと思った。消費者の行動はAIDMAみたいな一方向のものではなく、過去の経験も踏まえつつも都度判断が生じている。
ーーーーーーーーーーーーー
追記。
マーケティング近視眼が1960年の論文と知り、そりゃ目新しさはないわなと思った。逆にいえば今他の本でもだいたい同じような事を指しているからマーケティング分野の原著に近いのかも。