イノベーションと起業家精神 上: 新訳 その原理と方法 (ドラッカー選書 7)

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478320853

作品紹介・あらすじ

本書は、イノベーションと起業家精神を生み出す原理とその方法を示している。起業家の性格や心理についてではなく、その姿勢と行動について述べている。

感想・レビュー・書評

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  • ・経済活動の本質は、現在の資源を将来の期待のために使うこと、すなわち不確実性とリスクにあるからである。
    ・起業家の責務は「創造的破壊」である
    ・起業家精神こそ最もリスクが小さな道である。
    ・起業家精神にリスクが伴うのは、一般に起業家とされている人達の多くが、自分がしていることをよく理解していないからである。つまり方法論をもっていないのである。
    ・イノベーションのための7つの機会
     (1)予期せぬ成功と失敗
     (2)ギャップを探す
     (3)ニーズを見つける
     (4)産業構造の変化を知る
     (5)人口構造の変化に着目する
     (6)認識の変化をとらえる
     (7)新しい知識を活用する
    ・開発研究は、的を小さく絞るほどよい結果が出る
    ・人口の重心の変化に伴い、時代の空気が変化する
    ・イノベーションに対する最高の賛辞は「なぜ、自分は思いつかなかったのか」である。

  • ドラッカーの本をしっかりと読んだのは初めてだったが、非常に現実的な論調であることに少し意外な驚きがあった。イノベーションという言葉から連想するのは何か新しいアイデアや発明を思いついて成功することだが、ドラッカーは逆説的にこの手のイノベーションはもっともリスクの高いものであると断言している。イノベーションの機会は大きく7つあり、信頼性と確実性の高い順にならべると、1.予期せぬ成功と失敗の利用、2.ギャップを探す、3.ニーズを見つける、4.産業構造の変化を知る、5.人口構造の変化に着目する、6.認識の変化をとらえる、7.新しい知識を活用する、となる。つまり、新しい知識を活用するイノベーションは派手だが、もっともリスクも高く時間もかかる。逆に予期せぬ成功や失敗を利用するのは平凡で目立たないが、確実で時間もかからないということだ。さらにイノベーションを成功させるには、単なるひらめきではなく、目的意識をもって、7つの機会を分析するなど体系的な仕事として取り組みことが必要であるということだ。
     この本を読んでイノベーションというものをきちんと地に足のついた取り組みとして再認識をすることができた。上巻の最後の締めくくりとして、非常に興味深かったことは、イノベーションを成功させた人たちに共通しているのは「リスクをおかさない」保守的な人たちだというのである。リスク志向ではなく機会指向であると。

  • 組織で働く人で、自分の所属している部署やその成果物を素晴らしいものにしたいと考える人の必読書ではないでしょうか。

    イノベーションの処方箋はいかがわしいものが多いという印象(といってもそんなに広く読んでいるとは言い難いですが)を持つ中、さすがにドラッカー氏は分析の視点の独自さというよりもっともさで、更に取上げられている例といい、選りすぐり感が高いです。

    氏の定義するイノベーションという単語は、発明というよりは日本語のカイゼンに近いものであって、実はこれが実効的に大きな成果を生み出す可能性が高いものであるという指摘は目からウロコ。それを生み出す機会(英語ではどの単語だったのか知りたいところですがやはり、oppotunityですね)については、可能性の大きさから言って「予期せぬ成功や失敗」がもっとも高いというのは、「自分はイノベーションとは無関係或いは才能がない」と思っている人に朗報なのではないでしょうか。原因は、わからなくてよいそうです。

    氏の著作は、どれもこれも目からウロコで新鮮ですが組織内で自分のカイゼン案が「通らない」「しょぼい」等といつも苦戦している人たちは一回これを読んでおくと万軍の味方をつけたような気持ちになれます。

  • イノベーションは、富を創造する能力を資源に与える。起業家精神とは、気質ではなく行動である。しかも、その基礎となるのは、直感ではなく、原理であり、方法である。起業家自身が自覚しているか否かにかかわらず、あらゆる仕事が原理にもとづいている。起業家精神もまた、原理にもとづく。起業家精神とは、変化を当然のこと、さらにいえば健全なこととすることである。つまり、諸行無常を受け入れ、それに立ち向かうことである。
    まとめると『イノベーション 7つの機会 分析し 行動加え 価値を創造』といったところでしょうか?

  • イノベーションも起業も、才能や気質に因るものではなく、その原理と方法がある、ということを教えてくれる。中でも、アイディアが、イノベーションの機会として、成功する確率が最も小さく、失敗する確率が最も大きいと明言しており、ならば何が成功確率を高めるのか?それが明記されている。
    訳文が若干読みにくい。

  • 脳の中のある場所は、ドラッカーしか刺激できないのではないか?と思う。私にとって年を経るにしたがって、理解が深まり、信頼が増していく人。

  • 良書は何度読んでも新しい。

  • イノベーションのための7つの機会

    1.予期せぬことの生起
      ・予期せぬ成功は腹が立ち気づかれにくい。
      ・予期せぬ失敗が起こったら、現場に出てよく見聞きせよ。
      ・予期せぬ外部の変化は大企業ほど対応しやすい

    2.ギャップの存在
      ・業績ギャップ・・・需要の増大と業績の工場が結びつかないときは機会がある。
      ・認識ギャップ・・・努力の方向性が間違っているときは機会がある。
      ・価値観ギャップ・・・供給側の価値と需要側の価値が異なるときは機会がある。
      ・プロセスギャップ・・・不安を耳にしたときは機会がある。

    3.ニーズの存在
      条件)1.何がニーズであるか明確に理解されていること。
          2.イノベーションに必要な知識が手に入ること。
          3.問題の解決策が、それを使う者の仕事の方法や価値観に一致していること。
      ・プロセスニーズ・・・知的発見によって既存のプロセスを補う。
                   前提)1.完結したプロセスについてのものであること。
                       2.欠落した部分や欠陥が一か所だけあること。
                       3.目標が明確であること。
                       4.目標達成に必要なものが明確であること。
                       5.「もっとよい方法があるはず」との認識が浸透していること。
      ・労働力ニーズ・・・労働力不足が認識され機械が求められる。
      ・知識ニーズ・・・開発研究。

    4.産業構造の変化
      ・外部の者にとってはチャンス、内部の者にとっては脅威。
      ・変化の兆候・・・急速な成長、市場のとらえ方の変化、
                 いくつかの技術の合体、仕事の仕方の変化。
      ・単純なものが成功する。

    5.人口構造の変化
      ・リードタイムが予測できる。
      ・総数よりも年齢構成が重要。

    6.認識の変化
      ・実態よりも認識の変化が先立つ。
      ・一時的な流行にすぎないものもある、タイミングよく小さく着手せよ。

    7.新しい知識の出現
      ・出現から実用化までリードタイムが長く、およそ30年。
      ・必要なものの分析、戦略、マネジメントが必須。

    なすべきことは、1.機会の分析、2.現場の調査、3.単純かつ具体的なものへの集中、
    4.小さなスタート、5.トップを狙う、ことである。

    装丁:川畑博昭

    最近はやりのドラッカーです。
    イノベーションに必要なことが今では大企業となったベンチャーの例を挙げながら
    丁寧に説明されています。
    上の面白くない講義ノートみたいなのでは伝わらないところがたくさん。
    なので是非読んでみてください。

    起業はハイリスクでもなんでもない、
    むしろ刻々と変わっていく時代の流れに逆らって
    古いものにしがみついていることの方がリスクが大きい
    という考えにどきっとしました。
    でも一度成功したやり方は安心感があるし
    なんてったって楽ですよね。なんてことを考えているから成長しないのか。

  • ドラッカーの本が優れているというのは、まず前提という上で。(笑)
    アメリカはどうやって雇用を創出したか?
    は、要は中小が多く出た。ということらしいですが。
    組織の重要性、組織の改革の重要性などが説かれております。…でも、組織の改革って難しいですよね。…難しいから、こういう本が出るのでしょうけれど。

    後は、
    予期せぬ成功は腹が立つ。
    とか。随所にでてくるそういうフレーズが、真面目に言っているのか、ユーモアなのか。面白いです。ドラッカーさんはきっと、お茶目なヒトに違いない。(笑)

  • [ 内容 ]
    本書は、イノベーションと起業家精神を生み出す原理とその方法を示している。
    起業家の性格や心理についてではなく、その姿勢と行動について述べている。

    [ 目次 ]
    序章 起業家経済
    第1章 イノベーションと起業家精神
    第2章 イノベーションのための七つの機会
    第3章 予期せぬ成功と失敗を利用する―第一の機会
    第4章 ギャップを探す―第二の機会
    第5章 ニーズを見つける―第三の機会
    第6章産業構造の変化を知る―第四の機会
    第7章 人口構造の変化に着目する―第五の機会
    第8章 認識の変化をとらえる―第六の機会
    第9章 新しい知識を活用する―第七の機会
    第10章 アイデアによるイノベーション
    第11章 イノベーションの原理

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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