ナレッジ・マネジメント (ハーバード・ビジネス・レビュー・ブックス)

制作 : Harvard Business Rev 
  • ダイヤモンド社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478373279

作品紹介・あらすじ

競争力を高める知の醸成。情報化組織、知識創造企業、学習する組織…知的資産を創造し共有するマネジメント。

感想・レビュー・書評

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  • 学習なくしてスペシャリストはなりえない。いかに学びの場を用意できるかがポイント。

  • 「技能的な知識を体系的に洞察するという領域には達しない。なぜなら、そのような知識は一度も形式化されたことがないからである。これでは組織全体に影響を及ぼすことは容易でない。」(p.46)→「一度も形式化されたことがない」知識は「組織全体に影響を及ぼすことは容易でない。」
    ラーニング・ヒストリーは「信頼感を築く」のに「優れた効果をもたらす」。「過去に自分の意見が無視されたと思い込んでいる人たちは、自分の意見が文書に記録されているのを見て、どんな立場の誰がその意見を言ったのかにかかわらず、自分の意見は正しかったのだという思いを抱くことになる。自分が孤立していると感じていた人たちは、自分自身と会社のためによりよい未来を築きあげようと努力しているのは、自分一人ではないのだと確信するようになる。そして最後には、ラーニング・ヒストリーにともなうグループ・ディスカッションが、集団で一緒に考える新たな場を提供してくれる。それによって、一人でかかえこんでいた心配事や不安、憶測にまつわるもやもやを吹き飛ばし、もっと高いレベルでの信頼関係を構築することができるのである。」(p.193/194)
    「過酷な競争と、とどまるところを知らない技術革新を特徴とする企業環境のなかで、企業内研究の役割とはいったい何か。また大企業は、最近のイノベーションを適切に吸収し、これを迅速に新製品に結実させるために何をすべきなのか、という問題である。」(p.210)「過酷な競争と、とどまるところを知らない」教育「技術革新を特徴とする」学校をめぐる「環境のなかで、」学校内研修「の役割とはいったい何か。また」学校「は、最近の」教育技術「イノベーションを適切に吸収し、これを迅速に新」教育課程「に結実させるために何をすべきなのか、という問題である。」と読みかえることは正に可能である。

  •  ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文の中から、ナレッジ・マネジメントに関するものが選ばれて、まとめられている。ナレッジ・マネジメントというもの全体を知るためでなく、ナレッジ・マネジメントの考え方をより深めていくために読むための本。以下は各論文の感想。
     情報が組織を変える(ピーター・F・ドラッカー)…情報化が如何に組織を変えていくか。まず、情報の中継を行うだけの中間管理職は不要になる。価値ある情報は、トップが吸い上げるだけでなく、現場の前線に居るスペシャリストによって保持・活用される組織へと変革していく。という内容の論文。よく耳にする知られた内容だが、この論文ではそれに加えて、中間管理職が不要になった結果、将来のトップを育てる環境が無くなってしまうという問題についても言及されている。その解決策として、組織の中で未来のトップを育てるのではなく、企業グループの子会社の経営者を親会社のトップとして活用していく方法が提案されている。僕の感想は「それは難しいかな」という気がした。適した代替案を持っているわけではないのだが、何かもっと考えていく必要があるような印象を受けた。
     知識創造企業(野中郁次郎)…こちらの論文は「形式知」「暗黙知」の話。共同化→連結化→表出化→内面化のプロセスを通じて、知識が組織内に展開されて行くという内容で、この内容はナレッジ・マネジメントが取り上げられる際に必ずといって良いほど耳にする。この論文自体は初めて読んだのだが、改めて読んでみたという印象を受けた。それほど頻繁に紹介されている内容ということが言えると思う。
     優秀なプロフェッショナルの学習を妨げる「防衛的思考」(クリス・アージリス)…単純に読んでいて面白い論文。コンサルタント達にプロジェクトの問題点について意見交換をさせたところ「顧客が悪い」「マネージャの管理が悪い」「組織(コンサルティングファーム)の仕組みが悪い」ということばかり言うだけで、自分達の内面的な問題点に目を向けようとしないとことが紹介されている。このように建設的に物事考えられない風土の組織は多いと思う。本論文では、この問題点の解決策として「トップから変化すること」が提案されている。これを逆説的に読むと、トップが自分達の内面的な問題に目を向けていない会社は、このような風土を持っていると予想することができるように考えられるのでは無いかと感じた。業績予測の下方修正を行った際に、環境変化などの問題ばかり上げて、自分達経営者自身の企業の舵取りに対する問題点検証とその対応策が示すことのできない会社。そんな会社は、全社的に「防衛的思考」が蔓延している可能性が高いと考えられるように思う。
     ラーニング・ヒストリー:経験を企業に生かす法(アート・クレイナー、ジョージ・ロース)…この論文で取り上げられているイプシロン・プロジェクト。このプロジェクトは組織のルールを無視し、取り組んだ結果非常に良い結果をもたらす。遂行過程では、組織からルールを守るように強制されてしまうが、結局のところ、隠れてルールを無視して進められていく。その結果、成功を納める。ルールを破ることが、このイプシロン・プロジェクトのように良い結果をもたらすとは限らないが、組織はこの結果から学ばなければならないことがたくさんあるのだろう。しかし、このような論文の事例は危険な事例でもあると思う。組織が凝り固まって身動きがとれなくなることも問題だけれど、ルールを守らないことの危険性も同時に存在するのだから。
     企業を「創造」する為の企業内研究(ジョン・シーリー・ブラウン)…ゼロックスのPARC(PaloAltoResearchCenter)で行われる研究及びその研究が実際の商品にどのように生かされてきているか。印刷物を出力するプリンタが、イノベーションによってコミュニケーションツールへと進化する。その進化の過程をたどった内容は興味深く読むことができた。
     プロフェッショナルの知的能力のマネジメント(ジェームス・ブライアン・クイン、フィリップ・アンダーソン、シドニー・フィンケルスタイン)…知的能力中心の組織。「組織を逆転させる」という組織の考え方は、末端に居るプロフェッショナルが中心となって活動し、その上司はプロフェッショナルをサポートする立場をとるという考え方。これを意識していた訳ではないが、実際には私は、人に仕事を依頼する際にその人が最高のパフォーマンスを出せるようにサポートしていく働きかけを意識している。このような働きかけが、知的能力を発揮するよい方法であるという考え方が存在することで、自分の意識に少しの自信を持つことができた。
     その他、「学習する組織」の構築(デイビッド・A・ガービン)、創造的摩擦を活用するマネジメント(ドロシー・レオナルド、スーザン・ストラウス)という論文が収録されている。

  •  出版が2000年12月と、およそ10年前の本であることから、情報技術についての情報については、すでに解決、改善されていることはあるが、基本的な知識の共有については、非常に為になった。

     著者は複数の学者が担当し、第1章P.F.ドラッカー「情報が組織を変える」では、実に少ないページで、情報の意味と、組織のあり方について語られている。

     第4章クリス・アージリス「優秀なプロフェッショナルの学習を妨げる「防衛的思考」」においては、プロフェッショナルとしてのコンサルタントとと、その発注側との企業とのギャップが何故おき、埋まっていかないのかという、むなしさが書き記されている。

     後半になってくると、情報管理の技術的なこととなり、現在のネットワーク環境ではすでに実現できることが多く、すでに過去の本となっているところもあるので、できれば再度編集され直してもらいたい本である。

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