雨はコーラがのめない

著者 :
  • 大和書房
3.38
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本棚登録 : 816
感想 : 132
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479681564

作品紹介・あらすじ

かつて私は、しばしば音楽にたすけられました。いまは雨にたすけられています。私たちは一緒に暮らし始めて二年三カ月になる。はじめて雨に会った日のことは、忘れられない。凍えそうに寒い、十二月の、雨の日だった。そのすこし前から、私はまるで幽霊みたいに日々を暮らしていて、その日もまるで幽霊みたいに、雨だというのにデパートの屋上に煙草をすいにのぼった。なにしろ幽霊なので、雨に濡れても平気だった。なにがどうなってもいいのだった。その屋上に、雨がいた。

感想・レビュー・書評

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  • 江國さんの音楽の趣味がふんだんに盛り込まれた素敵なエッセイ。
    雨と音楽と暮らす素敵な日常。
    持ってるCDが出てきたときは読む手を止めて、CDをセットしてしまいました。

  • 洋楽がたくさん出てくるけど、さっぱり分からない。洋楽好きな人にとっては、とてもおもしろく読めるんじゃないかな。
    音楽を聴きながらお酒を飲み、愛犬とたわむれるなんて、うらやましい生活だなー。

  • 妙に吸引力のある変わったタイトルだと思ったけれど、一行目を読んで納得。
    雨はオスのアメリカン・コッカスパニエル。
    江國さんの愛犬の名前だったのです。
    でも、真相がわかっても色あせない、魅力のあるキュートなタイトルだと思います。

    愛犬と音楽についてのエッセイ集。
    最初に違和感を抱いて、ふと気付いたのは、私は、江國さんは音楽を聴かない人だと思いこんでいたということでした。
    これまで読んだ作品(…そんなに多くはないのですが)から受けた印象で、静かな、風の音や雨の音が似合いそうな人だという印象を抱いていたせいかもしれません。
    だから、こんなに音楽を聴く人だったことに少し驚き、でもどんな音楽を聴いているのか、俄然興味がわきました。
    江國さんの文章は、この音楽を聴いていないのは、とてももったいないことなのじゃないか、と思わせる誘惑に満ちています。
    おかげで本書を読み終えるときには、私のスマホのメモにはたくさんのCDや曲の名前が並んでいたのでした。

  • 雨の無邪気な描写に思わずクスッと笑ってしまうことが多かった。
    自分もある程度音楽が好きだと思ってきたけど、この本を読むと自分はまだまだなんだなって思わされた……。
    ここに出てきた音楽、いつか全部聴いてみたいと思う。
    そして、私はよく、人をいろんな面から見て「この人はどういう人なんだろう」と考えて疲れることがあるけど、良くも悪くもその人は自分が見ている人でしかない、ということに気付かされた。

  • 雨はコーラがのめないというタイトルの意味ってなんだろうと思ったら、雨は江國さんの愛犬のこと。
    雨と江國さんの好きな音楽は一緒らしいので、よく音楽を一緒に聴くみたい。
    私もシンプリー・レッドが聴きたくなって手に入れました。
    音楽と本がよく合う本。

  • “雨”は雄のアメリカン・コッカスパニエルで、江國さんの愛犬、2歳の出会いから、白内障で目が見えなくなってしまった今(6歳)までの、“雨”と時々の音楽をめぐるエッセイです。江國さんは私より10歳ぐらい若いはずですが、音楽の趣味はかなり重なって(偏って)います。本の真中あたりで、門あさ美の『セミヌード』が出てきたときには、正直驚きました。かつて私も彼女のすべてのアルバム(もちろんLPレコード)をもっており、愛聴盤でした。しかし、門あさ美という歌手をご存知の方がどれぐらいおられるか???
    同じく江國さんの代30回直木賞受賞作、『号泣する準備はできていた』も読みたいところですが、市立図書館で調べたら、552件の予約があり、これを借りて読むのは至難の業です。

  • 触発されてamazonでCD探し。
    hi-posi、madonnaを。

    すーぐに影響されるんだから
    と自画自賛。

    音はないならないでもいいんだけど
    気持ちを
    上げも下げもしてくれるし、
    聞いてたときの空気を
    想いださせてくれたりも。

    雨という名の犬と音楽。
    なくてはならないものだったんだと。
    江國さんにとって。

    装丁が葛西薫さん。イイ感じ。

  • 愛犬・雨と音楽のエッセイ。
    穏やかな時間が流れている。

  • 雨という名の愛犬(アメリカン・コッカスパニエル)と一緒に音楽を聴くことについて。
    私は犬を飼ったことはないけれど、「一緒にいても、実は全然別の世界を生きているのかもしれない、と思うことがある。」という言葉に犬と暮らす驚きや、楽しさ、そして寂しさ、全てが詰まっているのではないかと思った。

  • 愛犬と音楽の話。著者とは同年代なのでよくわかる曲もあれば、聞いたこともないアーティストもいて、YouTubeで検索しながら曲を聴き、本を読んだ。ウテレンパとARICOを知ることができたのが収穫。近頃は犬を見てもときめかないが、久しぶりに犬と遊びたくなった。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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