本取り虫 (ちくま文庫 む 5-2)

著者 :
  • 筑摩書房
3.29
  • (4)
  • (6)
  • (21)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 123
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480032041

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み

  • まさに私は今沢山の本に囲まれて安心している。

    読み続けたいし、
    読み続けるだろうし、
    読み続けなければいけない、
    と思う。


    死ぬまでにあと何冊読んで、何冊にゆさぶられるのか。
    考えるだけで口もとがゆるむ。


    他の人の本の歴史を知る機会は案外少ないと思う。


    偶発的に、必然的に。


    ちょっと恥ずかしいような、
    ちょっと気おくれするような。


    「本を読む」ことを知って、本当に良かった。

    と再確認した本でした。

  • 女性に好かれるエッセイを書く人だと聞いて読んでみた。

    1996年発行だから群さんは今より若かった。それでも取り上げられている本は、とても共感を持ったし、初めて紹介されているものは読んでみようかと思った。

    単に本の紹介でなく、それを自分の生活に取り込んで語られているところ、以前同じ本から同じような感動を受けたことを思い出し、ナルホドと納得した

    読書をただの絵空事ではなく、生活の中に浸みこませるような読み方は好きで、人によっては全く異なる読後感を持つことも察しられるが、群さんとは生き方や、受け止め方が当然異なった部分もあり、共通している部分もあって面白かった。

    森茉莉「贅沢貧乏」 群さんの目から鱗が落ちた本に入っている。「自分さえ気に入っていれば、人がなんてったっていいじゃないか」これがいい。「どんな状況にいても自分は自分だ」というのもいい。

    「檸檬」「山月記」の感覚的な読みもとても面白かった。初めて知ったのが学校の国語の教科書というのも出発は同じ。ただ、教科書を読んでよく分からなかったところが後年読み返し、中島敦の「虎」を読んで、これは人に対するおもいやりでもある。自分が好きになれない人を全く拒絶するのではなく、自分とは異質なものとして認めつつ、理解をするということを教えてくれているような気がする。哀しいだけでなく、一縷の救いがあるのだ。やっと私も「山月記」を読んで、じーんと出来るような歳になったのかと、しみじみとした。
    と書いている。

    「世間の約束事への挑戦」
    「妖婦の世界」
    「母娘の絆」
    などは生活に照らした想いが述べられている。

    「手作りの生活」
    私も手作りが好きで編み物や縫い物をする、中でも温かい色合いを染め出す草木染のくだりは、読んでいるだけで豊かな気持ちになる。
    日本古来の色や呼び名についての群さんの愛情が感じられる。

    森南海子さんの「手縫いの旅」にふれて、生活に密着した手作りの文化を書き起こして、温かい気持ちにさせてくれる。

    「古典ってこんなに面白い!」
    という章もある。言葉遣いや馴染みのない漢字も読みこなしていけばこんなに面白いものはない。昔も今も変わらない、女はどこまでも女だし滑稽さに手を打つ気持ちにも、変わらない人々の生活がある。
    古典は面白い、と書いている。

    自分の面倒は自分で見るという独立した生き方でありながら、私のように専業主婦を喜んでいる女にも、そうだそうだと思わせてくれる、読み甲斐のある、新しい読書の世界まで見えるエッセイだった。

  • やっぱり群ようこさん好きだー!!
    自身のことを語りつつ、本のことを話し、その余韻を残しながら、また自身のことを話す。
    これこそ「教養」というものなのだ。

  • おもしろい。
    猫関連の群作品をもっと読みたくなってしまいました!

  • 「作家は恥ずかしがり屋である」と僕は常々思っている。思い込んでいる。だから小説を書き、あの手この手で実に回りくどくそこにメッセージを込めるのである。その回りくどさ故に、読者は何年も経って初めて「ああ、あの物語はそういうことだったのか。」と気がつく経験も少なくないし、それはそれで衝撃的な記憶として印象深い効果を生むが、見方によっては何とも意地の悪い、嫌みっぽい説教でもある、と思えなくもない。しかし、その点エッセイなるものはかなり直接的に教えを説いてもらえているような気がして、個人的にはよく読む。文学批評の対象にもあまりならないから、なかなか気が抜けた文章の並びで、休日にぴったりなエッセイは、エッセイとして真っ当である。そしてこの『本取り虫』は表紙もなかなか愛嬌がある上に内容も実に素直で、僕はこの本にいろいろな本を教えて貰い、またそれを読む。そうやって読書の時間は尽きないのである、のかもしれない。

  • (メモ:中等部3年のときに読了。)

  • 「贅沢貧乏」 森茉莉、「東海道中膝栗毛」、「檸檬」 梶井基次、「ごはんの風景」 宮迫千鶴、「独り居の日記」 メイ・サートン、「崩れ」、「きもの」 幸田文、「ジョイ・ラック・クラブ」 エィミ・タン、「しょうがないひと」 原田宗典、「女のフィジオロジー」 Y・ヴェルディエ、「ローカルバスの終点へ」 宮脇俊三、「手縫いの旅」 森南海子、「森山よしみの裂あそび」、「裁縫おさいくもの」、「就職戦綿異状なし」 杉元伶一、「夢食い魚のブルー・グッドバイ」 玉岡かおる、「日本の書物」 紀田順一郎、「三島由紀夫のレター教室」、「トラッシュ」 山田詠美、「借りたハンカチ」 千刈あがた。。

    気になる。



    内容(「BOOK」データベースより)
    一生のうちに読める本は、そのうちわずかだと思うけれど、本を読むのをやめられない。『きんたろう』にはじまり『放浪記』『贅沢貧乏』『絶対安全剃刀』『独り居の日記』『女のフィジオロジー』…こうやって群ようこはつくられる。

  • ちょっと散漫。最初の何編かは読んでみようという気にはなったが。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

群ようこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×