在日米軍基地の収支決算 (ちくま新書 256)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480058560

作品紹介・あらすじ

日米安保条約と日米地位協定のもと、現在の日本には一三四もの米軍基地が散らばっている。瀟洒な将校住宅、隊舎からゲストハウス、レストラン、ナイトクラブ、バーに至るまでの施設設備費用には、日本政府による「思いやり予算」という公的資金があてられており、電気・ガス・水道代だけでも年間二九八億円もの負担が生じている。米軍基地はなぜ縮小されないのか。税金はどのように使われているのか。基地周辺の地域では何が起きているのか。米軍基地の現在を追う。

感想・レビュー・書評

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  • 基地ゴミや空の問題、岩国基地の問題など、知らないことも多くて勉強になった。ただ、2000年発行の本なのでもう17年前の本ということになり、現在はどうなんだろうと気になった。

    本書を読んで、沖縄などの基地の周辺住民にとっての耐え難い問題を何とかしてあげてほしいと感じた一方で、本書ではふられていないもう一方の立場、政府や米軍側の考えがわからないので、一歩ひいて国防はどうあるべきか、という視点で書かれた本を次に読んでみたいと思った。

  • 2000年刊。少し古くアップデートが必要だが、いわゆる日米地位協定の偏頗性を知るにはもってこい。本書の感想はひとこと、「日本は米国の属国」という事実だけだ。まず、米軍による環境破壊、例えば劣化ウラン弾の貯蔵・実弾発射訓練(低線量被爆問題)、軍艦の整備・補修に伴う廃棄物・ゴミの垂れ流しを指摘。のみならず、航空管制権につき米軍に広範な範囲が割当られるだけでなく、自由な拡張が可能で、これらは米軍占領の遺物。さらに、岩国基地の沖縄化、果てなく拡大する思いやり予算、アメリカ租界とおぼしき治外法権類似の状況を指摘。
    これら、特に思いやり予算の拡大は、沖縄返還時の密約や大平政権以降、特に中曽根政権の施策による。のみならず、環境破壊に関し情報の不開示という致命的欠陥がある。百歩譲って、なるほど「思いやり予算」に関しては自前の軍隊を完全整備することとの費用比較から妥当性があるとしても、環境破壊・航空管制権の問題・治外法権類似の状態は、到底是認できないだろう。一部、独と比較されているが、その差は歴然だし、フィリピンですらもう少しまとも。また岩国基地の問題や民間航空機と米軍機とのニアミス問題はもっと知られるべきと思う。
    本書では小泉政権の議論はされないが、これら偏頗的な日米地位協定は、いわゆる長期政権下で行われてきたことから推測すれば、アメリカに尾を振る人物が長期政権を持てた、米国陰謀論もむべなるかな、と思ってしまう。しかも、このような偏頗的な扱いを強いられるのは、結局、米国以外の四方各国との適切な関係が構築できていないことに基づくのではないか、そんな気がしてくる。

  • 第Ⅲ章の思いやり予算の研究だけ拾い読み。
    思いやり予算というものを知らなかったので驚きの連続!
    だいぶ昔のデータだったので、今思いやり予算がどうなってるのか知りたいと思った。。

  • [ 内容 ]
    日米安保条約と日米地位協定のもと、現在の日本には一三四もの米軍基地が散らばっている。
    瀟洒な将校住宅、隊舎からゲストハウス、レストラン、ナイトクラブ、バーに至るまでの施設設備費用には、日本政府による「思いやり予算」という公的資金があてられており、電気・ガス・水道代だけでも年間二九八億円もの負担が生じている。
    米軍基地はなぜ縮小されないのか。
    税金はどのように使われているのか。
    基地周辺の地域では何が起きているのか。
    米軍基地の現在を追う。

    [ 目次 ]
    第1章 在日米軍基地の現況(全土基地方式;冷戦後の変化;BUR、QDR、ナイ・リポート ほか)
    第2章 日本の基地のいま(“基地汚染”に蝕まれる日本列島;見えない基地;岩国基地 ほか)
    第3章 思いやり予算の研究(われらの“思いやり”がつくった光景;日米地位協定の構造;金丸長官のネーミング ほか)

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著者プロフィール

前田 哲男(まえだ てつお) 弁護士。東京大学法学部卒業。主な業績に、『音楽ビジネスの著作権 第2版』(共著、著作権情報センター、2016年)、「翻案の概念」『知的財産・コンピュータと法──野村豊弘先生古稀記念論文集』(商事法務、2016年)など。

「2021年 『〈ケース研究〉著作物の類似性判断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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