百姓から見た戦国大名 (ちくま新書 618)

著者 :
  • 筑摩書房
3.54
  • (17)
  • (29)
  • (49)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 388
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063137

作品紹介・あらすじ

武田、上杉、北条…数々の群雄が割拠し、しのぎを削った戦国時代。飢饉と戦争で疲弊した百姓は、社会的危機には公然と「世直し」を求めた。生き延びるために、ときに大名の戦争に参加し、また、隣村との境界争いなどにも武具を携えて参集した。いっぽう大名は、百姓に礼を尽くした施策を講じて領国の安定を図った。庶民の視点から乱世期の権力構造と社会システムをとらえなおす。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 3.7

  • 村と戦国大名は相互主義的な関係であった。明治以降の官尊民卑の固定観念を払しょくする。

  • 面白かった。今までは教科書に書いてある、通り一遍的な理解しかしてなかったが、住民との関係で領国経営のあり方を描いた本を初めて読んだ。ただ、資料が北条氏に偏っている(北条氏しかない?)のは残念。

  • めっちゃ面白かった。
    北条氏の統治システムを中心に書かれており、百姓と領主の関係がよくわかる一冊。

  • 2020/3/5
    戦国大名の統治について、百姓や農民の視点からそのあり方を述べた一冊。
    戦国大名たちからの視点ではなく、百姓、農民からの視点であるというところが画期的、
    内容はかなりコアなために難しいものもたくさんあったけど、大筋は2つに分かれていて、1つは、百姓、農民の世界では室町時代あたりからは常に飢饉に晒されることが多くて隣村や近隣の村とのトラブルが絶えない戦争状態が長く続いていたこと。2つ目は、そうした村同士の争いに次第に権力者が介入していうことになっていく。その過程で、北条氏の統治方法に目を向けながら、幕府の権力に従うのではなく、領国を統治する戦国大名に従っていくという構図がどうして出来上がっていったのかを検証していく、というものである。
    当時の百姓たちは惣を形成していたというのは学生の頃に勉強する内容ではあるが、それが具体的にどういうことなのかというのがこの本に書いてある。
    川の水や山の資源を巡っての諍いはかなりあったようで、権益を得るために仲間集めに必死になったり結構大変だったんだなあと。
    また、北条氏の統治方法を見ていくと、そうした村の争いを大名に判断を委ねる仕組みである目安制を作ることで争いをしない方向に持って行くことや、戦国大名の領民から、御国という概念を生み出して、大名のために、国のために、という思いが人々の間に生まれるようになっていったり、現代の戦前のような感じなっていたり…ということにも深く解説がなされている。
    新しい視点を持たせてくれる内容である。

  • 前半が深刻な飢饉を背景として、戦争や戦争中の略奪が頻発する話。後半は検地、裁判、楽市など大名が領国経営を発展させていく話が北条氏におもに注目して論じられている。
    著者は明言してないが、深刻な飢饉・戦争が経営ノウハウを発展させる土壌になったということだろうか。「では、なぜそれができたのか」ということがさらに気になった。

  • 戦国の百姓ってなるほど、戦争と背中わせだったのねと。そういう世の中を終わらせたのが信長から家康に至る三傑の偉大さであり、かつ自由をも奪ったのがわかる。

  • 室町が楽しい!時代の前提がわかると社会現象に説明がつくし、一つ一つ腑に落ちると面白味が深くなる
    飢餓⇒食料確保⇒争い(戦国時代といわれる背景)
    徳政も出される背景を考えれば納得ですね

  • 2006年刊。著者は駒澤・立教両大学非常勤講師。◆藤木久志氏に代表されるように戦国・織豊期に関し、単なる国盗りゲーム的な時代分析から、大名の民衆支配の構図・原理の他、関係性の実相を具体的に解明することで時代相を明らかにする方法論へ、研究動向が変容した。著者もあとがきで認める方法論に、本書も沿ったものである。つまり織豊期よりも前、いわゆる戦国大名における社会システムの実相を史料から明らかにしようと試みている。◆個人的に補完すべきは、中世終期(応仁の乱前後)の惣村の有り様と戦国期の村との連関であろうか。

  • 昔の村、領主の関係は任侠の世界だね。興味深かった。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年、東京都に生まれる。1995年、駒沢大学大学院人文科学研究科博士後期課程満期退学。現在、駿河台大学法学部教授。著書に『中近世移行期の大名権力と村落』(校倉書房、2003年)、『戦国大名 政策・統治・戦争』(平凡社新書、2014年)、『百姓から見た戦国大名』(ちくま新書、2006年)など。

「2021年 『戦国「おんな家長」の群像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黒田基樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×