公立学校の底力 (ちくま新書 742)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064479

作品紹介・あらすじ

公立学校をめぐる世間の見方は依然厳しく、また政治経済両面からの影響においても逆風のなかにある。けれども、全国を見渡せばそのイメージを覆す学校が存在するのもまた事実。本書ではその中でも特に元気にあふれた一二の学校に光を当て、教師たちの取り組み、地域とのかかわり合い、そして生徒たちの息づかいをあたたかい目でレポートし、さらには"力のある学校"をつくるためには何が必要なのかを考察する。公立学校のよさを再認識させてくれる書である。

感想・レビュー・書評

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  • 「力のある学校」12校の紹介。概要の紹介という感じなので、なにか物足りない。ただ公立学校はまだまだ捨てたものじゃないと感じた。

  • 1.内容と感想
    いろんな意味で逆風の中にある「公立学校を応援する本」(著者まえがき)である。
    大部分が具体例、しかも大阪近辺の公立学校が多く出ているので、身近に感じる。対象の学校は、しんどい学校、しんどい子、しんどい層、同和地区の学校、荒れた学校などである。内容は不利な環境にある子ども達の学力向上、少人数指導、習熟度別指導などで、そこでの教師の奮闘ぶり、教師の成長、地域との協働、保護者による評価などについても書かれている。
     購入した頃に、学校運営協議会、コミュニテイスクール、学力テストについて関心が強かったので、興味を持って読め、参考になった。特に、学力テストを実施して、データに裏付けられた評価をしながら、着実に学力を向上させていることが確認でき、意を強くした。

    2.TFJ関西での活用
    ・対象がTFJの関心と似ており、寺子屋の運営に参考になるのではないか。
    ・著者が大阪にいるので、必要ならコンタクトしやすい。

    3.著者略歴:兵庫県出身。教育学博士(東京大学教育学部)。東京大学助教授を経て、大阪大学大学院人間科学研究科教授。専攻は、学校臨床学、教育社会学。

  • 学校単位での公立学校の取り組みを紹介している。
    とはいえ、特に目新しい物もなく、参考にもならない。

  •  日本の公立学校について12の事例を出しながら、述べていく。選択された学校に共通するキーワードとして、「力のある学校」である。具体的には「地域性」「平等性」「多様性」を実現できている学校のことを指す。どんな子供でもやる気をもつことができ、様々な学校活動に積極的に取り組めるようになっている。
     全ての子供たちが充実した学校生活を送れるようにするのは非常に難しいことである。本著に出てきた学校も「荒れ」を経験したところが多い。完成された仕組みはなく、これからも時代に合わせて改善していかねば成功できないのだと思わせる。
     気になる部分としては、全体としてうまくいきすぎな印象を抱かざるを得なかったところである。日本全体としてはこんなに恵まれた教育を受けられる学校の方が少ないはずだ。そして「力のある学校」を形成できるほど腕がある教師がこれから増えていくのか、が疑問である。優れた教育が受けられる子供の数を増やすためには教師の力が大きいと思わせる本著だったために、どのようにして力のある教師を養成していくのかにもう少し言及してほしかった。
     それでも現場を緻密に観察し、データも用いながら「力のある学校」とは何なのかを分かりやすく説明している本だろう。文章も平易で、自分の学校経験を思い出しながら良い教育とは何だろうと考えさせられる本となっており、一読の価値はある。

  • 【2012年4月3日再読】

    私が今、最も注目している研究者のひとりである志水宏吉先生の著書。

    ただ単に感情的に、自民党政権が作り上げてきた、
    イギリス流の教育改革に批判するのではなく、
    そういった中でも、同和教育を柱とした地道かつ真摯な取り組みを続けてきた、
    公立学校現場の現実をていねいに示すことで、
    これからの公立学校のあり方をわかりやすく解説した名著であると思う。

    こういった実践に基づく理論が一般的なものとして捉えられたら、
    公立学校は確実にいい方向に向いていくと確信しているのは、
    私だけではないはずだと思っている。

  • [ 内容 ]
    公立学校をめぐる世間の見方は依然厳しく、また政治経済両面からの影響においても逆風のなかにある。
    けれども、全国を見渡せばそのイメージを覆す学校が存在するのもまた事実。
    本書ではその中でも特に元気にあふれた一二の学校に光を当て、教師たちの取り組み、地域とのかかわり合い、そして生徒たちの息づかいをあたたかい目でレポートし、さらには“力のある学校”をつくるためには何が必要なのかを考察する。
    公立学校のよさを再認識させてくれる書である。

    [ 目次 ]
    逆風のなかの公立学校
    教育コミュニティづくり-金川小学校(福岡県)
    教師が育つ-布忍小学校(大阪府)
    「鍛える」学校文化-細河小学校(大阪府)
    ちがいを力に-東部小学校(静岡県)
    現場の底力-大庄北中学校(兵庫県)
    志のある学校-聖篭中学校(新潟県)
    効果のある学校-寝屋川第四中学校(大阪府)
    「みんな」でつくる-豊川中学校(大阪府)
    子どもが育つ-野市中学校(高知県)
    伝統と革新-松原第三中学校(大阪府)
    多文化共生の学校づくり-長吉高校(大阪府)
    ともに学び、ともに育つ-松原高校(大阪府)
    「力のある学校」をつくる

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 久しぶりにこんな低い点数付けます。
    もっと魅力的に書けないのかな、って思いました。・・・現場にいないからそう思うのかしら?

  • 分類=教育・公立学校。08年9月。公立がダメなら私立、ではなくて、それなら公立の蘇生が図られねばなりません。

  • 最近、この人はこういう傾向の本を出しますね。

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は教育社会学、学校臨床学。日本学術会議会員。主な著書は『マインド・ザ・ギャップ』(大阪大学出版会、2016)、『日本の外国人学校』(明石書店、2015)、『学校にできること』(角川選書、2010)など。

「2022年 『外国人の子ども白書【第2版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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