現代語訳 論語 (ちくま新書 877)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065780

感想・レビュー・書評

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  • 覚えるまで読み返し、
    身につくまで実践し、
    人にその良さが伝わるまで語りたい。

    あくまで齋藤孝先生の解釈で訳されたものであるから、
    他の訳書も読んだ上で、そして最後は原文で読めるようになるまで何度も学び直して、一生をかけて習得しようと初めて思った。
    信、義、礼、孝、楽、恭その他の概念についても、詩経や書経を読んで学ぶことによって、
    論語を本質的に理解したい。

    旅のお供にこの本を選んで正解だった。

  • 君子とはどういう存在か。「仁」とは何か。学問を続ける意義は何か。
    論語は、これらのことを孔子が弟子や周囲の人物とのやり取りの中で表していく。そういう内容です。

    論語に触れたのは初めてでしたが、非常に分かりやすく現代語訳されており、内容がスッキリ入ってきました。

    孔子の考え方は、日ごろからすべてをまね、実行することは難しいかもしれません。しかし、頭の片隅に置いておくと、何かに迷ったり不安になった時、指針になってくれることでしょう。とは、訳した齊藤孝先生のお言葉。2千5百年前の言葉なのにもかかわらず、ハッとさせられる言葉の多いこと多いこと。人々が生きていくうえで抱えている問題は、何年たっても変わらないのかもしれません。化学の進歩ほど人間の内面は進歩してないのかな、なんて思ってしまいました。

    こんなことを言ったら怒られてしまうかもしれませんが、子路の張り切り方とミスがちょっと可愛くてつい和んでしまいました(笑)


    私が最も心に残った言葉です。選ぶのにかなり悩みました。
    「自分をわかってもらえないと嘆くより、人を理解していないことを気にかけなさい。」

  • 孔子の思考Q&Aという風な本。
    現代誤訳をしているため、読みやすいが、実生活に置き換える思考力とイメージ力がなければ活用が難しい。
    その能力に乏しいため、イマイチだった。
    ただ、理解が乏しいからこそ他の「論語」が読みたくなった。

  • トイレにおいておき、途中まで読んで積ん読状態に。。

  • 本書は、孔子の論語(の現代語訳)を紹介したものです。説話は全体を通してかなり重複しますが、印象に残ったものを項目別に並べて見ますと、

    ○学問
    ・『朋(とも)あり、遠方より来る、また楽しからずや』 (友人が遠くから自分を思い出して訪ねてきてくれる。実に楽しいではないか)
    ・自分を分かってもらえないと嘆くより、人を理解していないことを気にかけなさい
    ・15歳で学問に志し、30にして独り立ちした。40になって迷わなくなり、50にして天命を知った。60になり人の言葉を素直に聞けるようになり、70になって思ったことを自由にやっても道を外すことはなくなった。
    ・『故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る』 (古き良きことをわきまえ、新しいものの良さもわかる)
    ・『憤せずんば、啓せず』 (分かりたいのに分からず身悶えしているようでなければ、指導はしない)
    ・『丘や幸いなり、いやしくも過ちあれば、人必ずこれを知る』 (もし自らに過ちがあれば、誰かがきっと気付いて教えてくれる。幸せなことだ

    ・『過ちて改めざる、これを過ちと謂う』 (過ちをしても改めない、これを本当の過ちという)
    ・『止むは吾(わ)が止むなり。進は吾が往くなり』 (人が成長する道筋は、山を作るようなものだ。あともう一かごの土を運べば完成しそうなのに止めてしまうとすれば、それは自分が止めたのだ。それはまた土地をならすようなものだ。一かごの土を地にまいてならしたとすれば、たった一かごと言えど、それは自分が一歩進んだということだ)
    ・その地位、役職にいるのでなければ、その仕事に口出ししないことだ(分限を守るのが大切だ)
    ・『後生畏るべし』 (自分の後に生まれた者に(今の自分に及ぶかもしれないと)畏れるのは当然だ。ただし、45歳にもなって人の評判が立たなければ、もはや畏れる必要はない)
    ・40歳になって人から憎まれるようでは、おしまいだ
    ・『辞は達するのみ』 (文章は意味が伝わるのが何より大切だ)
    ・内から出た真心である「忠」と、嘘をつかない「信」を生き方の中心とし、自分より劣った者を友人にしないようにすることだ
    ・『道に志し、徳に拠り、仁に依り、藝(げい)に遊ぶ』 (正しい道に向かって進み、身につけた徳を拠りどころとし、私欲のない仁の心に沿い、礼・楽・射・御・書・教のような教養を楽しみ幅を広げる、学問を修めるとはこういうことだ)

    ○徳
    ・『徳は弧ならず。必ず隣(となり)あり』 (いろいろな徳は、ばらばらに孤立してはいない。必ず隣り合わせで、一つを身につければ隣の徳もついてくる。)
    ・過不足なく極端に走らない「中庸」の徳は最上のものである
    ・私は美人を好むように徳を好む人を見たことがない

    ○仁
    ・『巧言令色、鮮(すくな)し仁』 (口ばかりで外見を飾る者は、ほとんど仁がないものだ)
    ・仁とは私心のない知者である。仁とは心全体の徳である
    ・仁の人は難しいことを先にやり、自分の利益を後回しにする
    ・仁の人は他人の心づかいがあるので、自分が身を立てようと思うときは、同時に人も立て、自分が事を成し遂げようと思うと、同時に人が事を成し遂げるようにもする。他人のことでも自分の身にひきくらべて察する
    ・『知者は水を楽(この)み、仁者は山を楽(この)む』(知の人は快活に人生を楽しみ、仁の人は心安らかに長寿となる)
    ・『知者は惑わず、仁者は憂(うれ)えず、勇者は懼(おそ)れず』
    ・『仁に当たりては師にも譲らず』(仁を行うに当たっては先生にも遠慮は要らない)
    ・5つのことを世に行うことができれば、仁といえる。すなわち、①「恭」(つつしみ深い⇒人から侮られない)、②「寛」(人に寛容で心が広い⇒人心を得る)、③「信」(言行が一致して誠がある⇒人から信頼され仕事を任される)、④「敏」(機敏に実行する⇒功績が上がる)、⑤「恵」(他人に財を分かち与える⇒うまく人を使うことができる)

    ○君子
    ・『人知らずして恨みず、また君子ならずや』 (世の中の人が自分のことを分かってくれず評価してくれなくても怒ったりうらんだりしない。それでこそ君子ではないか)
    ・『君子固(もと)より窮す。小人窮すればここに濫(みだ)る』 (君子ももちろん困窮することはあるが乱れない。小人は困窮すると心が乱れて、でたらめなことをする)
    ・義を根本とし、礼法にしたがって行い、謙遜して発言し、誠実さをもってしあげる、これでこそ君子である

    ・君子には9つの思うところがある。すなわち、①「明」(はっきり見る)、②「聡」(もれなく聞く)、③「温」(顔つきは穏やか)、④「恭」(姿・態度はうやうやしく控えめ)、⑤「忠」(言葉は誠実で)、⑥「敬」(仕事には慎重)、⑦「問」(疑わしいことは問いかける)、⑧「難」(怒るときにはその後の面倒を思う)、⑨「義」(利得を目前にしたときは公正な道義を思う)

    ・君子は、人と言とを混同しない(発言が良いからと言ってその人物を抜擢せず、また人物が優れなかったりしても、その発言を無視したりはしない)
    ・一流の人物「士」とは、国家が危急のときは命を投げ出して事に当たり、利益を目の前にしたときは道義に反しないか考え、祖先などの祭祀に当たってはつつしみ深くし敬いの気持ちで臨み、喪には哀しみの心情をこめる
    ・自らの「命」(天命)が分からないようであれば君子とはいえない。「礼」(社会の規範)が分からないようであれば世の中で自ら立つことはできない。「言」(人の言葉の真意)が分からないようであれば、人を理解することはできない

  • 論語って、お説教が永遠と書かれているものだとばかり思っていたが、全く違っていた。先生と弟子の対話集だった。その対話が非常に面白い。なんだか行きつけの飲み屋での語らいみたいだ。いろいろなことを大いに語り合うことはお互いの理解を深め合うことに繋がる。素敵なことだ。
    研修の課題図書なので好んで読んだわけではなく、この歳になってこの程度のレビューしか書けないのは若干情けないが、ある意味儲けものだった。

  • 引用改造文
    富と高い知性は、人の欲するものであり、貧と低い知性は人の嫌がるものだ。

    友と敵の間に境界線を引き、友と親しく付き合い、敵を排除するなら、それも広く考えれば政治をしていることである。官職に就くことばかりが政治ではない。

    真理を求め、学問する身でありながら、着るものや食べるものが立派でないことを恥じる者とは、ともに語り合うことはできない。

  •  誰もが一度はどこかで聞いたことのある論語を読みやすい形で現代語でまとめられています。古典とはいえ現代社会に通ずることが多く、論語とはこんなにも魅力ある内容だったのかと再発見しました。

     孔子は2千5百年前以上の人物であるにも関わらず、孔子の言動がリアリティに溢れており、読者に熱く迫ってきます。孔子だけでなくその周囲の弟子達もそれぞれ個性があり、話を盛り上げてくれます。内容は孔子と弟子達の話のやりとりを中心にまとめられており、弟子達の難題を孔子がサラっと受け答えており、大変興味深いです。

     論語を読んで、漢字が秘めるポテンシャルを改めて感じました。例えば、「仁」という漢字、論語ではこう述べられています。

    先生はいわれた。
    「五つのことを世に行なうことができれば、仁といえるね。」
    子張(弟子)がさらにおたずねすると、こういわれた。
    「その五つとは、恭、寛、信、敏、恵だ。恭、つまりつつしみ深くしていれば、人から侮られない。寛、つまり人に寛容で心が広ければ、人々の心を得ることができる。信、つまり言行が一致して誠があれば、人から信頼されて仕事を任される。敏、つまり機敏に実行するなら功績があがる。恵、つまり他人に財を分かち与えるなら、うまく人を使うことができる。」

     仁という一字で多くの考えを表現しており、仁という漢字の持つ深遠さを感じます。

     他にも、「義」、「礼」、「孝」などのキーワードならぬキー漢字が頻繁に登場し、これらの漢字が論語の思想を形づくっていると思います。

     自分と孔子との出会いは、実は中学生の頃に遡ります。親から一冊の本を買ってもらったのがきっかけです。その本は、孔子(儒教)、キリスト(キリスト教)、ブッダ(仏教)、モハメッド(イスラム教)の4大聖人の生涯を描いた手塚治虫の漫画です。漫画と言っても、非常に濃い内容で分厚い本です。4人それぞれの生涯の中で、孔子が最も気さくで人間味があり、身近に感じていました。

     著書を読んで、登場する弟子達のキャラクターが手塚治虫の漫画と見事に合致していて、懐かしく感じました。特に粗暴な子路は、孔子にたびたび言動を注意されるけど優しさのあるどこか憎めないキャラで、論語の中でも孔子と子路とのやりとりは読者を和ませてくれます。それら背景知識も手伝って、著書を非常に興味深く読めました。

     孔子の思想である儒教は、現代においてもますます重要な役割を果たすと考えられます。勤勉に励み、人を思いやり、礼を重んじる、孔子の思想のひとつひとつが人格のある人間、平和な社会を創っていくのだと思います。論語という古典を、現代に蘇えさせてくれた著者に感謝です。いつまでも手元に置いておこうと思います。



     

  • 古典中の古典である論語のわかりやすい現代語訳。
    敷居が高いと思っていた論語を読むのにあたり入門書として最適。

    全体として、文章はわかりやすくなっており、読みやすい、
    しかしながら、内容は深く、一回読んだだけでは、理解することが難しいのが多数あるため、噛み砕く必要がある。

    そのため、ゆっくりと、何度も読む返すのがいいのだろうと思う。
    僕もまた、じっくりと読んでいこう。

    内容は全体として、学ぶということの考え方、姿勢、意欲等を考えさせられるものとなっており、「気づき」を与えてくれる一冊となっている。
    さすが、古典ともあって、当たり前や当然だろうというものもあるのだけども、そういったものをこうして、改めて気づけるのは古典としてのメリットであり、関連性を通して考えることも含め非常に良いことだと思う。

    貪欲に学んで行こうという意識にさせてくれる一冊。

  • いつかは「論語」…と思っていました。
    現代語訳だから読めた。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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