たたかう植物: 仁義なき生存戦略 (ちくま新書 1137)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480068408

感想・レビュー・書評

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  • 植物は大人しい存在ではない。その生存戦略には驚かされる。
    たたかう相手として、植物相手だけでなく、その環境、病原菌、昆虫、動物、人間など様々なものに戦いを挑んでいるのだ。植物の専門家だけあって、その記述は詳細にわたり、植物のしたたかさに興味は尽きない。
    意思を持っているわけではないだろうが、戦いに勝ち抜いたものが残っていくことで、植物はその様相を変えていく。人間にとっては、食用であり薬であり、そして毒でもある。そんな植物の多面的な様は、子孫を残していくための結果にすぎないのである。
    植物に興味のある人には、おすすめの一冊。

  • 静かに平和に生きていると思っていた植物も、色んな敵とたたかって生き残っているということが分かった。
    植物だけでなくほかの生物の特徴なども学べて面白かった。

    みんな生き残っていくことに必死で自分中心に生きているのに、結果助け合いや共生出来ているのはすごいと思った。

  • 植物がいかにして自然界での生存競争に生き残ってきたか。その戦略を分析している。動物や昆虫の力をしたたかに利用して進化してきた様は実に見事だ。

    植物の進化は同時に動物や昆虫の進化でもある。どちらが先かわからないが、相手からの補食を防ぎ、あるいはその防御を突破し、お互いの利点を利用し合うことで自然界でのバランスが絶妙に取れた結果、生命が成り立っていることがわかる。

    あとがきがまた面白かった。かつて地球は二酸化炭素で充満し、そのため植物が大発展。結果酸素という「毒性物質」を大量に地球上に放出することで動物が過ごせる環境を作り上げてしまった。人類は二酸化炭素を排出し、植物が過ごしやすい環境を急速に作り、原始の地球を取り戻そうと行動しているのだ、と結んでいる。

    SF的な考え方だが、あながち荒唐無稽と言いきれないように思える。

  • 背ラベル:471.7-イ

  • 図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」

    クラブ・サークル名 園芸サークルfeat.スパイス研究会

    請求記号 Ti-1137
    所蔵館 岡山キャンパス図書館

  • 結構ライトな内容で読みやすい。植物目線だと違った世界が見えてくる

  • 中盤じわじわとおもしろくなる

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB19231178

  • 978-4-480-06840-8
    0245¥760E.

    たたかう植物
    仁義なき生存戦略

    ちくま新書1137.
    2015年8月10日 第1刷発行
    著者:稲垣栄洋(いながき ひでひろ)
    発行所:株式会社筑摩書房

    -----------表紙より-----
    植物たちの世界は、争いのない平和な世界であるように見えるかもしれない。しかし、本当にそうだろうか。こんなことを言ってしまうのはずいぶん無粋化も知れないが、残念ながらそんなことはまるでない。自然界は弱肉強食、適者生存の世の中である。それは植物の世界であっても何一つ変わらないのである。-----------

    カバー袖より
    じっと動かない植物の世界。しかしそこにあるのは穏やかな癒しなどではない!植物が生きる世界は、「周りはすべてが敵」という過酷なバトル・フィールドなのだ。植物同士の戦いや、捕食者との戦いはもちろん、病原菌などとのミクロ・レベルでの攻防戦も含めて、動けない分、植物はあらゆる環境要素と戦う必要がある。そして、そこから進んで、様々な生存戦略も発生・発展していく。多くの具体例を引きなk柄、熾烈な世界で生き抜く技術を、わかりやすく楽しく語る。
    ------------

    目次
    1 植物 対 植物
    厳しい競争社会 もっと光を 朝顔の観察日記 さらに早く、さらに高く 巻き方もいろいろ 薔薇の戦略 ついには手段を択ばない パラサイトという戦略 もう茎も葉も必要ない 世界一、巨大な花の正体 根も葉もない悪魔、見えない化学戦 独り勝ちは許されない 植物界のパワーバランス

    2 植物 対 環境
    戦うのも大変だ 戦わない戦略 弱い植物の戦略 サボテンのトゲの理由 ターボエンジンでパワーアップ 水分の蒸発を防ぐ ツインカムエンジンの登場 干されたときに根は伸びる 乾いたときに増える 雑草は弱い チャンスは逆境に宿る 逆境は順境である

    3 植物 対 病原菌
    健康グッズの立役者 体にいい植物成分 ある日の葉っぱの上 エリシターを巡る攻防 戦いの始まり 酸素は廃棄物だった 酸素が引き起こした進化 活性酸素の登場 決死の作戦 戦い終わって 様々な効果を持つ植物の物質 悪魔に乗っ取られた植物 悪魔の契約 どちらが操っているのか 植物自身も強くする 微生物と共生する 根粒菌との共生 血のにじむ努力 マメと根粒菌との出会い 見せかけの友情 共生によって植物が生まれた さらなる共生 あなたという名の生態系

    4 植物 対 昆虫
    毒殺の歴史 植物の化学兵器 ヨーロッパで窓辺に花を飾る理由 蓼食う虫も好き好き 毒を利用する悪い奴ら 徹底的に利用する 臭いにおいも効き目なし 弱い毒を使う 食欲を減退させる 昆虫の反撃 漁夫の利を得た人間 卵に化けてだまし通す 点滴にSOS ヒーロー登場 用心棒を雇った植物 住居付きで雇います 害虫の反撃 敵さえも利用する だまし合いは得なのか

    5 植物 対 動物
    巨大な敵の登場 恐竜の食害を防ぐ 恐竜時代の終焉 草を食べる恐竜 有毒植物が恐竜を追い詰めた 新たな敵の登場 優秀な敵だからそこ 毒に対する草食動物の進化 どうして有毒植物は少ないのか? トゲで身を守る 鬼を払うトゲの謎 イライラするのも植物のせい 草原の植物の進化 草食動物の反撃 イネ科植物の防衛戦略 困難を利用するイネ科植物の方法 食べられて成功する 裸子植物の登場 新時代の到来 青は止まれ、赤は進め パートナーを厳選する レモンの酸味にも工夫がある 再び、毒を利用する やはり子房は食べさせない リンゴの工夫 動物も利用する

    6 植物 対 人間
    果実を食べる哺乳動物 人類の誕生 植物を利用する人類 毒さえも利用する 植物と子どもたちの利害の一致 弱い毒でリフレッシュ 毒なしには生きられない 毒成分が幸福を与えてくれる理由 作物の陰謀 新たなる敵の登場 草取りを克服した雑草 草むしりをすると雑草が増える? 人間に寄り添う戦略 人間が作り出した植物、雑草 除草剤の開発 スーパー雑草の登場 敵もまたあっぱれ


    半分くらい読んで 時間切れで返却
    相互貸し出しのため 手元に来るまで時間がかかり、延長貸し出しもできなかったから残念
    本自体はとっても読みやすく面白く興味深い。
    メモしながら読んでたら遅くなっちゃったw
    地球がガンガンに凍るたびに命は変化し(変化したものだけが生き延びた)現在に続いている。
    もっと勉強しておけばよかったぁ。

  • 棚番:A13-05

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著者プロフィール

稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ):1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わる傍ら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する記述や講演を行っている。著書に、『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察録』『身近な虫たちの華麗な生きかた』『身近な野の草 日本のこころ』(ちくま文庫)、『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『イネという不思議な植物』『はずれ者が進化をつくる』『ナマケモノは、なぜ怠けるのか』(ちくまプリマー新書)、『たたかう植物』(ちくま新書)など多数。

「2023年 『身近な植物の賢い生きかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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