- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480073686
作品紹介・あらすじ
なぜいま中国政府は内モンゴルで中国語を押しつけようとしているのか。民族地政学という新視点から、モンゴル人の歴史上の問題を読み解き現在の紛争を解説する。
感想・レビュー・書評
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[memo]
内モンゴル自治区で、2020年秋の新学期から、小・中・高におけるモンゴル語教育を停止する政策が発表。
https://www.ganas.or.jp/20210923innermongolia/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020年夏、中国政府は内モンゴル自治区の教育からモンゴル語を排除し、中国語を母語として押しつけることを決定した。香港やウイグルでの弾圧が注目を集めるなか、内モンゴルでの民族政策の実態とは? 主に元朝以降のモンゴルと中央アジアの歴史、内モンゴルで起こった民族紛争などから読み解く。
内モンゴル出身の著者は、一貫して中国(漢人)がモンゴル人を抑圧してきたという立場のため冷静に読む必要がある。(植民地だったモンゴルの宗主国として、日本は積極的にこの問題に取り組むべきだとする主張には疑問を覚える。)
しかし、なじみの薄いモンゴルや中央アジアの歴史や内モンゴルでの民族政策を知るにことができるのは有意義。チベットやウイグルと同じように、内モンゴルでも漢人の入植・開発が進み、言語や文化が抑圧されているのは記憶しておく必要がある。
自国優位の中華思想は、遊牧民との戦いに負け続けてきたコンプレックスの裏返しだとするのは興味深い。 -
東2法経図・6F開架:B1/7/1546/K
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著者は「民族地政学」という概念を挙げる。地政学に加え、ある民族の固有の領土が分割されたり、当事者の意向に反する形で他の国民国家に編入されたりした時の抵抗などの活動、とのことだ。
近代以前のモンゴル人史は自分に予備知識がなく頭に入りにくかったが、それでも、ユーラシア大陸での広い展開、「中国の少数民族」の枠に入れようとする中国政府への著者の強い怒りが感じられる。インド、パキスタン、アフガニスタン、イランは本書では全てモンゴル帝国の継承国家とする。またカザフ、ウズベクのテュルク系はモンゴル人と親縁関係とする。場所によりチベット仏教に加えキリスト教やイスラム教の受容もある。党中央に対し遊牧・牧畜地域の特性を主張したウーランフーには割と好意的評価。
他方、歴史なのか現在の評価なのか、また突然著者自身やその一族のエピソードが挟まれていたり、構成が整理されていないとも感じた。著者はモンゴル人と中国の関係については焦点を絞った新書を既に何冊も出しているので、本書は包括的な内容にしようとしたのだろうか。
なお、「スーホの白い馬」は、中華民国の役人=「悪い殿様」を祖父に持つ著者には愛憎半ばする思いがあるようだ。1950年代に社会主義中国の政策に沿って改竄された物語、と著者は推定している。 -
「内モンゴル紛争 危機の民俗地政学 楊海英 ちくま新書 2021年」ウイグルに目が行きがちだが、内モンゴルのモンゴル族(人)も中国で虐げられているという話。モンゴルと宗教や、パンテゥルク主義思考(モンゴル、カザフ、ウイグル)、ソ連、満州国との歴史など非常に面白いが虐殺の数字の信憑性が疑問
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しらないこといっぱい