ヴィジュアルを読みとく技術 ――グラフからアートまでを言語化する (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.13
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本棚登録 : 143
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480074270

作品紹介・あらすじ

仕事で目にするグラフや美術館のアート作品など、視覚に訴えかけてくるものは多い。でも、それを読み取り、言葉にすることは難しい。そのための技法を伝授する。

感想・レビュー・書評

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  • ヴィジュアルについて「文章で」表現する際のフォーマットを、わかりやすく説明。「いとおかし」的に感覚で腑に落ちるだけでは、発信する表現にまではならない。細部を具体的に分析的に見ることが必要だが、そのときに、できるだけ多様な視点、角度、切り口でアプローチできるように引き出しを増やしておけば、より充実した視覚体験になるだろう・・・てなこと。
    パウル・クレーについての章が印象に残った。

  • ふむ

  • 最初は頑張って読んでたけどグラフの読み取りあたりからしんどかった…。文章自体はわかりやすいし、会話文や図式、実際の入試問題などもあって実践的でした。後半は自分の世界史や美術に関する知識が薄すぎて難しかったです。感覚を多様な分野の知見や経験と積極的に結びつけて豊かにしていきたいです…。

  • これは良かった。
    たとえ専門的でなくても、自分の視点からモノを眺め、少なくとも、何か出来合いでない言葉で表現できれば、「自分」という独特の体験を深く味わい、喜びを得ることにつながるはずだ
    これが全て!!

  •  「(自分の感覚は)言語情報という異質なメディアに変換しなければ、相手には伝わらない(p39)」。このメディア変換の方法論が、小学生の自由画やMBA入試問題、エドゥアール・マネやモンドリアンの絵画を題材に紹介されている。

     どの章も面白いが、第3章で著者自身のエピソードとして紹介されている、シカゴ大学大学院でのシカゴ美術館での講義が興味深かった。著者は美術作品に対する自らの印象をプレゼンする際、「英語という母語でない言語に翻訳することで、身体的・無意識的な了解を、意識的な理解として定着させる」ことができたという。発信者ではなく受け手としてではあるが、これと同じような経験は僕にもあって、同じ英語で書かれた本であっても、英語が母語の著者が書いたものより、母語が英語ではない著者の本を英語に翻訳したものの方がイメージがよく伝わって来る気がするのだ。やはりそこでは、翻訳者の抱いた印象をなんとか言語化しようという労苦が、より伝達媒体として優れたものを生み出すという、本書の著者が経験したのと同じメカニズムが働いているのだろう。

  • 岡野幸夫先生  おすすめ
    40【専門】707.9-Y

    ★ブックリストのコメント
    仕事で目にするグラフや美術館のアート作品など、視覚に訴えかけてくるものは多い。でも、それを読み取り、言葉にすることは難しい。そのための技法を伝授する。(出版社のホームページより) 「モノの見方」は感性的なもので人それぞれで良い、訳じゃなかった!

  • う〜ん、一言で言うと退屈な本だった。
    楽しさがないというかなんというか。
    各章末の対話文は全く必要ないと思われるし。
    さて次の本読もうっと。

  • うーん.

    絵画に限らず,言葉以外で表現されたものを言葉に置き換えるうえでは教養,知識,連想力,思考意欲がいるんだなあというのはわかるし,
    この本だからこその教えではないがアートって描いてないことを読み取るものだよなあと再認識した.

    で,この本だけど,正直面白くない.
    ある美術作品から歴史,その人の成り立ち,社会科学のあらゆる領域なんかから連想できることがらをならべて「こうじゃないか」と評論を作るに至るケースを並べているという内容なんだけど「それってあなたの感想ですよね?」感が拭えない.
    なんでだろう.やっていることが蘊蓄と連想ゲームでなんとかそれっぽいことを書きましたにしか見えないからかな.
    自分に同じことが真似できるかというと,そうではないので,調子に乗った発言だとは思うが,それでもやはり「あなたの感想ですよね」感が半端ない.
    (美術評論家でもない限りこの能力がないと致命的とも思わない)

    ====================

    絵を見るということは、絵から刺激を受け考え、さらにその先のイメージを膨らませること
    →描いてないことを読み取るのがアート?
     読み取るための材料として知識や教養、探究心
     美術史、技法、画家、当時の社会情勢、心境、状況などなど

    自分、絵を「写真的な静止画」として見てしまうのかな。空間的広がり、時間的広がり、文脈的広がりに想像が及ばない

    美術館はとは、モノに特殊な意味づけを与える社会的装置・メディアの一環
    美術作品かどうかは美術館に自己の作品を占有させることができるかという政治的闘争

    英語のヌード:裸体 崇高さ、美
    英語のネイキッド:はだか 決まりの悪さ、恥ずかしさ

  • ヴィジュアルを読みとくとは何をすることなのか。
    その考えを書いた本。

    how
    1.描かれている要素を丁寧にひろう。
    2.要素や関係性を把握する。
    3.解釈する
    ということを説明している。

    2と3の間には解釈をするための違和感のようなものを捕まえる必要がある。この違和感を捕まえるために必要なことが、知識であったり経験であったりする。

    ヴィジュアルを読みとくためのお作法というものがあって、それを無視してしまった単なる感想なんかはチープで恥ずかしいものでしかないということ。

    でも、単純に作家が生きていた時代や、作家の人生からのみ推測した解釈は、単なる知識のお披露目でしかない。知識は、作品を内在的に、作品の構成要素や関係性から、解釈するために使われなくてはならない。

    結局のところ、ヴィジュアルを読みとくとは、作品を内在的に知識に基づいて解釈すること、といえよう。

  • 吉岡友治『ヴィジュアルを読みとく技術』読了。
    たまにはあまり触れない分野をかじってみようと手を伸ばしやすいのは新書の魅力だか、端的に言って本書はかなり退屈。絵画の読み解きも著書の個人的な経験だったり、作家の断片的な背景から安易に想像しただけで浅い印象を拭えない。そして何より本文中で解説したのと同じ内容を謎の対話篇形式や論述問題への解答という形で再提示するのはどうにかならなかったのか。紙幅をかさ増ししてるだけでただただ退屈な印象ばかりが残った。

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著者プロフィール

吉岡 友治(よしおか・ゆうじ):1954年宮城県仙台市生まれ。東京大学文学部社会学科卒、シカゴ大学人文学科修士課程修了、比較文学・演劇理論専攻。代々木ゼミナール講師を経て、現在、インターネット講座「VOCABOW 小論術」校長。ロースクール・MBA志望者などを対象に文章、論理の指導を行うほか、企業でもライティング指導を行っている。著書に『東大入試に学ぶロジカルライティング』(ちくま新書)、『だまされない〈議論力〉』(講談社現代新書)、『いい文章には型がある』(PHP新書)、『その言葉だと何も言っていないのと同じです!』(日本実業出版社)『「眼力」をつける読書術』(東洋経済新報社)など多数。著者HPhttp://www.vocabow.com/

「2021年 『ヴィジュアルを読みとく技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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