地域学入門 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480074294

作品紹介・あらすじ

近代化で見えなくなった地域の実像を、生態、社会、文化、歴史の側面からとらえ直す。限界集落や地方消滅問題に挑んできた気鋭の社会学者による地域学のすすめ。

感想・レビュー・書評

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  • 西洋近代化によって希薄になった「地域」の生活環境や社会、歴史や文化などをよりよく知ることで、私たち自身を知り、私たち自身を高めることができると提言した書。

  • 【請求記号:361 ヤ】

  • ひろゆき的なものの逆。

  • <シラバス掲載参考図書一覧は、図書館HPから確認できます>https://libipu.iwate-pu.ac.jp/drupal/ja/node/190

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/769278

  • 地域調査についてのHow toが述べられる本かと思いきや、もっと大きなテーマについての本だった。現代社会において国家と個人が剥き出しで向き合う構造になり、本来自然発生的に生まれ出たその中間項である「地域」が急激に衰退している、という問題提起だ。特に明治維新後の150年間、日本は”近代化”(すなわち”欧米化”)を続けてきた。国際社会に国家として向き合う中で、かつては国があるが故に地域が存続すると同時に、地域があるが故に国も存続していたという相互に補完しつつあった国と地域の関係が、国のための地域、という一方的な関係に成り下がってしまった。そしてそれが少子化という、集団として最も避けなければならない問題を抱え、集団として目的を失してしまう自己矛盾を抱えることになっている。少子化が続くと集団を維持できない。国も地域もそもそも人間集団を維持するためのまとまりなのに、そのまとまりこそが集団を破壊する要因となってしまっている。

    私の感想としては、「個人」と「国家」の間にあるものが一括りに「地域」とまとめられていることにはやや違和感がある。その両者の間にあるものは、もっとグラデーションがあるものだろうし、「都道府県」「市町村」だけで区切られるものでもないだろうし、その多様なものを「地域」と単純に表現するのは十把一絡げでは?と。
    とはいえ、「個人主義というものは、一見そこから縁遠くみえる国家ナショナリズムと非常に親しい関係にある。それどころか、個人主義はしばしば容易に国家ナショナリズムに転換する。最も個人主義的なインターネットの言説空間で、最も強烈な国家ナショナリズムが台頭しているのはそのため」(p294)だと述べる筆者の主張はまさにその通りだろう。この150年間、軽視され続けてきた「地域」に再び光を当てようとする大切な試みだ。

  • 361-Y
    小論文・進路コーナー

  • 人と地域、地域と国家のあり方を歴史や地理、政治や文化といった様々な観点から見つめ直していきます。都市社会学、文化人類学、文化地理学などとも親和性がある内容なので、それらの領域に関心がある人が導入ステージに読む本としてもいいかもしれません。

  •  新書だからこそ手に取った、地域学という馴染みのない分野。地域研究を原点とするが、対象は自己の側、かつ個人と国家の中間にある「地域」とのこと。郷土史研究などと親和性がありそうだ。
     本書では地形など自然条件、社会、歴史と文化、近代化の中での変容という各アプローチから地域学を解説。学問としてではなくとも、散歩の途中に遺跡や歴史案内を見たり、地元密着の歴史博物館に行ったりするのも面白いかな、という気になった。

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著者プロフィール

山下 祐介(やました・ゆうすけ) 1969年生まれ。九州大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程中退。弘前大学准教授などを経て、現在、東京都立大学教授。専攻は都市社会学、地域社会学、環境社会学。著書『限界集落の真実』『東北発の震災論』『地方消滅の罠』(以上、ちくま新書)、『「復興」が奪う地域の未来』、『地域学をはじめよう』(以上、岩波書店)、『「都市の正義」が地方を壊す』(PHP新書)、『「布嘉」佐々木家を紡いだ人たち』(青函文化経済研究所)、『地方創生の正体』(共著、ちくま新書)、『人間なき復興』(共編著、ちくま文庫)など多数。津軽学・白神学の運動にも参加。

「2021年 『地域学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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