ニーチェ全集 7 (ちくま学芸文庫 ニ 1-7)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480080776

作品紹介・あらすじ

。激しい発作と苦痛に襲われた1879年、ニーチェはバーゼル大学の教授職を捨てて、生涯最も日の差さぬ暗欝な冬を影として過ごした。翌年、憂愁と沈痛に満ちた思索の森の深奥にも一条の曙光が射しこみ、ニーチェは再び自己の思想の視野を回復しはじめる。『曙光』は厭世的・批判的分析が大半を占めるが、午前の新しい光が注がれた最終章「第五書」の穏やかな肯定への意志に彩られた全体の調子は、やがて来たるべき正午の思索への予感と予兆を指し示している。

感想・レビュー・書評

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  • 「若き人々への言葉」よりは分かりやすいけど、やっぱりアフォリズムというのは取っ散らかっているように思えて読みにくい。哲学思想ほぼ素人なので、よくわからないところがいっぱいある。
    倫理とは風習であって、倫理的な人というのは、それに服従しているだけ、確かにそうかもしれない(私は、「空想的な因果関係」とっても好きですけどね)。キリスト教は道徳の名のもとに過剰で盲目的な服従を、それに従いえない人間に苦しみを与える、そうかもしれない。私は「クリスチャン」として育てられたので、それは本当に、よくわかるのだけど、有神論者でもあるので、ニーチェのキリスト教の排斥には反駁したくなる。
    ニーチェは同情は弱さであって、自分の憂苦を取り去るだけのものとして切り捨てるし、愛は利己心で偽りと言うけれど、虚栄心を拒絶して自分で自分を肯定しろと言うけれど、そうして自分の精神を徹底的に灰にして、一体何が残るのと思う。そのように高潔であることは素晴らしいかもしれないけど、欺瞞と感じるその全ては自然に生まれた人間の感情ではないの。人は群れる生き物であって、そのように生きている人々を激しく否定しても、人はそこから離れて生きることは難しいでしょう。ニーチェのように自分を蝕んで病みながら、一人で孤独に苦しみぬいて真理を求めることをしなければ、そこに行きつけない。
    キリスト教道徳から離れ、真理を求めてそこまで苦しまねばならないなら、既存の道徳の与える苦しみの中で安息する人々を否定することはできないでしょう。キリスト教は奴隷のために作られた、そうでしょうとも。ほとんどの人は奴隷であることに異議を唱えないし、真理を求める強さはないのだから。

    私は弱い人間だから、ニーチェの激しい批判には距離を感じてしまう。読んでいて思ったのは、「それは、そうかもしれないけど…」か、「それはわからないけど…」のどちらかばかりだった。合わないのかもしれない。

  •  
    ── ニーチェ/茅野 良男・訳⦅全集 7 曙光 19930901 ちくま学芸文庫⦆
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480080775
     
    (20231018)

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