平安朝の生活と文学 (ちくま学芸文庫 イ 44-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480094285

作品紹介・あらすじ

豊かな国風文化を育んだ平安時代、その担い手だった宮廷の人びとはいったいどんな生活をしていたのか。本書は、『源氏物語』や『枕草子』などの文学作品をはじめ、さまざまな古記録を博捜し、当時の行事や日常を復元する。後宮の制度や宮仕えの動機から、住宅事情、食事と食べ物の種類、結婚と風習、懐妊と出産、美意識やその表現、美人の条件や教養、はては誤楽、疾病、医療、葬送、信仰などにいたるまで明らかにした、平安時代の女性生活百科の名著。国文学専攻の教師や学生はもとより、広く古典文学愛好家必携の書。通読するだけでも、当時の生活が澎湃として眼前に立ち現れる。

感想・レビュー・書評

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  • やっと読み終わったよ~
    長かった道のり!並行して他の本読んでたせいもあるけどほんとに長かった。浮気せずに読んでたらもっと早く済んだだろうに。

    タイトルと中身に惹かれて借りたわけだけど著者は亀鑑先生じゃないですか。なんか見覚えあるなと思ったら『源氏物語大成』の方だった…!
    発行が2012年と最近だったから「!?」ってなったけど亀鑑先生の昔の著作の復刻版だということで納得。

    内容は平安時代におけることが詳細に網羅されててすごいに尽きる。その代わり膨大すぎて頭に入らないという。
    残念だったのが第4章「後宮の殿舎」の「襲芳舎」のところで説明がメインの雷鳴壺より麗景殿や宣耀殿に住んでた女御の説明が主だったところが非常に残念だった。
    他の殿舎に比べて地位が低いというか。確かに私の知る中で雷鳴壺に住んでた女御の話は聞いたことないけど、だからこそ実際はどうだったのか知りたかったんやけども。何かで女御は住まなかったとも読んだ気がするので確認したかったんやけど元の本が60年も前に書かれたものやから当時の研究ではこれが精いっぱいだったのかもしれない。
    解説者の方も述べてたけど今の研究と比べると誤りや不足があるらしく、やはり巻末にでもどの部分が今と違っているのか示して欲しかったな。じゃないとどれをどこまで信じていいかわからない。
     
    亀鑑先生のこの多岐にわたる研究の集合は本当に素晴らしいです。また最後まで読み切れたのは文章表現が優しいからです。ガチガチの研究文章だったらもっと読むのがしんどかったと思う。
    また解説者の解説を読んで亀鑑先生のことを少し知ることができました。あといかにリスペクトしてるかも伝わってきました。

    読んでて「すでに知ってるし」って思ったとこもあったんやけどそれはひとえに亀鑑先生たち先人の研究の成果なんだと気付いた。先人の研究のおかげで今の私と私を構成するものがあるわけなんですね。

  • 私が持っているのは、昭和39年初版平成元年35版の角川文庫です。平安時代の貴族の衣食住から、人生丸ごと詳しく解説して、出てくる古典文学や文献もたっぷり紹介してくれる本です。古典文学を読む時参考にするもよし、普通に読んで「あー、あの場面あったあった」と記憶を新たにするもよし。コミックやアニメも平安時代ものが増えている感じなので、ますますお役立ちの本かも。

  • 平安時代に興味がある人なら楽しめるでしょう。
    女性の生活が中心となっていることが尚興味深く。
    また、平安時代の人々の繊細な感性にはただ、ただもう驚くばかり。
    面白い本でした!

  • ザ・平安時代女性生活辞典。でも分厚いわけではありません(329ページ)。暑さも大きさも、一般的な文庫本です。

    『万葉集』、『源氏物語』、『伊勢物語』、『大鏡』、『栄花物語』、『枕草子』、『紫式部日記』、『今昔物語』、『和名抄』、『延喜式』、『宇津保物語』、『本朝文粋』、『日本霊異記』、『古今著聞集』、『貞丈雑記』、『日本紀略』、『小右記』、『御堂関白記』、『西宮記』、『権記』、『続日本紀』などなど(順不同)、ここには書ききれないほどの歴史書や日記、作り物語などをもとに、平安時代の後宮および貴族の女性たちの生活がどのようなものだったか、がまとめられています。

    まず平安京の大路小路や門、どこにどのような建物や地区があったかなどの全体図から始まり、後宮のこと、宮廷の行事、住宅や食べ物、女性の誕生と成長、結婚と出産、服飾、調度、整容方法、教養や娯楽、疾病と医療、葬送や服喪、信仰まで、王朝女性の生活様式、風習、制度などが網羅されております。

    あくまで女性の生活に絞って書かれてはいますが、古典文学はもちろん、平安時代を舞台にした映画、ドラマ、小説などの作品を鑑賞するときの参考にするには持ってこいの本だと思います。

    ただ解説に、〈本書が初版から六十年もの歳月を経ていることによって〉、〈現在の研究水準に照らして不足や誤りが見られることも、当然である〉とあるように、しかも本書の初版発行は2012年、2024年の今年にはそこからさらに12年経過していますから(計72年!)、今ではもっと新事実や新解釈が生まれているでしょう。

    ストーリーになっているわけではないので、途中読むのがしんどくなった時もありましたが、テーマも例文も興味深く、この前読んだ杉本苑子さんの『散華』のさまざまな場面を思い出しながら、楽しく読めました。

    季節や自然を愛でる心、〈時には夜ふけるまで月を見たり、物語を読んだり、歌会をしたり、虫の音をきいたり〉してゆったりと流れる時間、また、〈静かな、しめやかな落ち着き、ほのぼのとした深さ〉のある、平安時代の女性たちの精神性が、私は好きなのです。

  • 主に女性側にフォーカスした生活風俗だった。今回は電車の中で読んだので、次は辞書片手に出典も読みながら読み進めたい。
    あと、男性の方のことも書いたこのような本はないんだろうか。

  • 貴族女性のライフスタイルをダイジェスト的に手際良く解説。

    学者内でも異論のある説については、紹介しながら、「そういう説もありますが、さあ、それはどうでしょうか」とやんわり横に置くのが印象的でした。

  • 平安京
    後宮の制度
    後宮の女性
    後宮の殿舎
    宮仕えの動機
    宮廷の行事
    公家の住宅
    食事と食物
    女性の一生
    結婚の制度・風習
    懐妊と出産
    自然観照
    女性と服飾
    服飾美の表現
    女性美としての調度・車輿
    女性と容姿美
    整容の方法
    女性と教養
    生活と娯楽
    疾病と医療
    葬送・服喪
    女性と信仰

    著者:池田亀鑑(1896-1956、鳥取県日南町、日本文学)
    解説:高田祐彦(1959-、東京都、日本文学)

  • ふだんは海外小説を読むことが多いのですが、たまにこういう著作を読むと、やはり日本文化っていいなあ、と感じます。この雅な時の流れ、と高尚なだけでなく、いや、雅なんて言葉の対極にありそうな人間臭い平安貴族たちの日常。それをさらりと書いてしまう池田亀鑑先生の姿勢こそが雅なのではないでしょうか? これぞ大学者という風格に満ちた一冊。和辻哲郎の著作を読んだ時に感じた清々しさを感じます。ただ、今の読者向きに再版したのであれば、出版社の方で引用原典の現代語訳を付けるなどのフォローを加えてもよかったのではないかな、という気もします。

  • THE・堅実。確かな一書。

  • なんという細かさ!これは文庫でありながらほぼ資料集。

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