ちくま日本文学全集 12 三島由紀夫

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 55
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480102126

感想・レビュー・書評

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  • 三島由紀夫の、主に初期作品を中心に編んだ選集というだけあって、「親しみやすさ」が感じられる一冊だった。
    そしてそれは私の場合、「三島作品」への親しみやすさというよりむしろ、「三島由紀夫」への親しみを感じさせてくれた。

    私はこれまで『潮騒』と『金閣寺』しか三島作品を読んでおらず、その二冊にさっぱり「親しみ」を感じなかったので、これはうれしい驚きだった。
    三島はなんだか、付け入る隙がない、というより、読者に付け入る隙を与えまいとしているようだ、と思っていた。
    プライドが高いのは、大いに結構である。しかし、それを露骨に示されているようで、私はどうも面白くなかったのだ。

    けれど、この選集を読み、私は「なぁんだ」と微笑ましくなったのである。
    砕けたことを言ってしまえば、三島は人より自意識過剰で、恥ずかしがり屋で、それでいてロマンチストなのだな、と思ったのである。つまりは私と一緒だ。
    それで私は一気に、三島由紀夫の少年時の姿を垣間見たような気がしてしまったのだ。

    もちろん、文章の精度、描写の的確さ、そして考え抜かれた心理の綾は素晴らしい。「夜の仕度」「家族合わせ」などに見られるその硬質な心理描写には舌を巻いた。凄く嫌味な言い方になってしまうかもしれないが、よくまぁここまで理詰めで書けるものだ、と思った。
    三島はたぶんロマンチストで、情熱的な人なのだと思う。しかし彼は、それをそのままロマンチックに、抒情的に、表に出すことを自分に許さないのだろう。冷静に、あくまで理性的に、彼はそれを書きだしたかったのだと思う。
    だから太宰にも反感を持ったのだろうし、太宰のことを「嫌い」と公言したのもわかる気がする。

    私は太宰作品も大好きだが、三島のそういう気持ちにも共感する。この選集を読んで、そういう感情を持てたことが、自分にとってもっとも大きな収穫だったと思う。

  • ちくま日本文学全集012

  • 「喜びの琴」がサスペンスしてて面白かったです。
    琴の音が何を指すのか理解できずじまいでしたが。

    最期の印象のせいでものすごく硬派な人のイメージでしたが、いくつか含まれているエッセイを読むとイメージと違って劣等感持ったり舞い上がったりしているのを読んで親しみがわきました。

  • 2011/2/17購入

  • 050908-1101

  • 三島由紀夫編。「夜の仕度」「家族合わせ」で見た女はいくら小さくても女だった。若さゆえの不安定さと脆さ・強さが際立っていた。「告白するなかれ」はちょっと耳に痛い話。

  • 080412(a 080811)

  • 真珠に毎朝毎朝、魅せられたのでした。文章の、構成の緻密な巧さでは三島由紀夫の右に出るものはいないと思う。

  • 賢治と同じ文学全集なのに、何故か名前が出てこない。
    文学全集012番は三島由紀夫。今だ読書中。
    綺麗な日本語だし、表現する言葉が多彩でじっくり読もうと思っていたら、全然進まなくて。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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