澁澤龍彦文学館 (8) 世紀末の箱

制作 : 出口 裕弘 
  • 筑摩書房
3.67
  • (1)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 6
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480200082

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • レニエ目当てでシリーズ全12巻から狙い撃ち。「世紀末」に俄然わくわくした。
    「さかしま(抄)」「彼方(抄)」「大伽藍(抄)」「黄金仮面の王」「少年十字軍」「美神の館」「碧玉の杖(抄)」「残酷物語(抄)」を収録。

    ユイスマンス3連発ですでにかなり面白い。抄録なのに。そしてここで初めて読んだのだけど、こういう内容だったんだね……?という意外な驚きを覚えること頻りだった。趣味の横溢というのか、オタク心をくすぐるものがあると思う。
    安定のシュウォッブを経て、「美神の館」の戯けた悪趣味にも驚いた。ビアズレーってこういうこともしていたのか。楽しそうで何よりです。
    目当てのレニエは、ともすれば江戸川乱歩の怪奇幻想が始まるかと思われた「華麗な館」と、時を経た屋敷に在るものの幻想に破滅するデカダンな「生けるノッカー」。どちらも小品ながら黄昏のメランコリックな危うさが香る。
    抄録の多さに消化不良を起こすかと思いきや、取り上げ方が小気味よいのと、簡潔かつ行き届いた解説が十二分に作品の面白さを伝えていて気持ちよく読めた。そのうち全部読みたい。特にレニエとリラダン。水声社刊の新訳『残酷物語』を積んでいる一方で、齋藤磯雄訳も気になる。

全1件中 1 - 1件を表示

J.K.ユイスマンスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×