漢字が日本語になるまで ――音読み・訓読みはなぜ生まれたのか? (ちくまQブックス)
- 筑摩書房 (2022年7月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480251343
作品紹介・あらすじ
中国から伝わった漢字は、日本語にとってかなり不便な文字だった。日本人はどう工夫し使いこなしてきたのか。ことばの奥深さに迫るタイムトラベルに出かけよう!
感想・レビュー・書評
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円満字さんのファンなので、はじめは前にも読んだことある内容だなあと思いながら読んだ。
中学生向けの本だから、わかりやすいよう、とっつきやすいよう、文体にも気を配って書かれている。
しかし、簡単で知ってることばかりだったかというとそんなことは全くなく、通読すると、やっぱり「なるほど!」と思うことが多かった。さすが。
国語の教科書に書いてあるようなこと(漢字のできかた:象形・指示・会意・形声、二字熟語の構造:修飾語タイプ・目的語タイプ・類義語タイプ・対義語タイプなど)の説明もスッキリとわかりやすく、面白い。
私が一番面白かったのは、なぜ同音異義語(こうしょう、など)が多いのかというところ(そのメリットとデメリットも)。
同音異義語の大量発生は音の数が圧倒的に多い中国語から日本語になる上で避けられないことだったが、「そのことによって、日本語が、文字によって表される情報に頼りがちな言語になったことは否めない。音読みがよく使われるオフィシャルで抽象的な内容をあつかう文章の場合は、漢字に依存する度合いが特に大きくなる。」(P96)
確かに、耳で聞いてわからずに、字面を見て納得することは多い。(幼い頃から全盲の人はどう理解するのだろう。点訳する場合はどうするのだろう、と気になった。)
日本人が漢字に様々な工夫を加えて日本語にしていったことが伝わり、「おわりに」ではしみじみと感動した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国語の真似をしてできた音読み、中国語を知らない人にも分かりやすいようにした訓読み、そして新たに生まれた日本独自の音読みや日本独自の漢字。
歴史系書物に弱い私でも漢字の歴史を興味深く思えた一冊。
「外国語を学ぶことは、ものごとのとらえ方のちがいに触れる異文化体験」は、確かに。
英語以外にも外国語に触れていきたい。 -
漢字に興味を持った子ども向け。
文体が易しいので興味があれば小学校高学年から読める。
大人が読んで、漢字練習に嫌気がさした子どもに豆知識として教えてあげるのも良いと思う。 -
「ことばの奥深さにせまるタイムトラベルに出かけよう!
かつて中国から日本に伝わった漢字は、日本語にとってかなり不便な文字だった。日本人はどう工夫し使いこなしてきたのか。音読みと訓読み、同じ訓読みをする漢字、名前の漢字、同音異義語、二字熟語の5つのストーリーにのって、タイムトラベルを始めよう!」
著者:円満字二郎(えんまんじ・じろう)
1967年生まれ。大学卒業後、出版社で国語教科書や漢和辞典などの編集を担当。2008年に独立。現在はライターとして、漢字の魅力をわかりやすく伝える辞書やエッセイなどを執筆している。著書に『語彙力をつける 入試漢字2600』(筑摩書房)、『漢字ときあかし辞典』『漢字の使い分けときあかし辞典』(以上、研究社)、『難読漢字の奥義書』(草思社)など多数。 -
昔の人の努力や工夫があって今の日本語がなりたっていることがよくわかりました。
中国語の勉強をやりかけて怠けていましたが、再開してみようかと思います。 -
音読みと訓読みの違いについて。名前の漢字や漢字の成り立ちがわかりやすく説明。
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漢字が日本で使われるようになった経緯を丁寧に説明した本だ.万葉仮名を発明し、その余韻が歴史的仮名遣いに残っているのは、日本人の創意工夫の産物だと感じた.さらに日本で作った漢語を中国が導入することなど、興味ある話が楽しめた.
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言葉の成り立ちには興味あり。言葉遣いには一家言、みたいなスタンスでいたい。それにしても、”こうしょう”。カウとかコウとか、シヤウとかシヨウとかセウとか。現代語での発音は同じでも、古語とか中国語にすると、それぞれ違ったものになるんですね!そんな目で辞典を引いてこなかったから、正直目から鱗でした。こういう新たな知識が嬉しいですわな。