科学はこのままでいいのかな ――進歩?いえ進化でしょ (ちくまQブックス)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 89
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480251404

作品紹介・あらすじ

科学技術で生活は便利になった。効率ばかり求める社会はどこかおかしい。私たちは生きものなのだから。進歩ではなく進化に、新しい未来のかたちを考えよう。

感想・レビュー・書評

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  • 小中学生にお勧めするためにまず自分で読んでみた。これは抜群にいい。ぜひ小学校高学年から中学生の子どもたちに読んでほしい。著者は、まずは同時代を生きてきた科学者として、生命科学の発展について語られている。そして我々が科学技術を使って効率よく、便利にと社会を変えてきたことによってどんな問題が現れてきたのかについて論じられる。生命科学から生命誌へ。機械論から生命論へ。進歩型から進化型へ。キーワードがたくさん登場する。日本は食料の自給自足ができない。いつからそうなってしまったのか、このままでいいのかと問題提起もされる。そして最終章、農業について語られる。「アグロエコロジー」こんな方法があるというのは初めて知った。マメ科植物を使って土に窒素を含ませることで、栄養のある畑を作ることができる。化学肥料を使うことなく。トウモロコシとインゲンマメとカボチャ、この組み合わせを「スリーシスターズ」と呼ぶらしい。これらをいっしょに育てる。収穫が増える。そういう取り組みがアフリカ各地やキューバなどで行われているとのこと。おもしろい。今後それが世界に広まっていく可能性がある。ぜひそうなってほしいし、日本にも同じような取り組みをする人々が出て来ることを願う。小中学生がこういう本を読んで、これからの科学のあり方、世の中のあり方についてしっかりと考えていって欲しい。我々人間は多くの生き物の中のほんの1種類にしか過ぎないのだという自覚を持って。

  • 「生きもの目線で未来を考えよう!私たちは生きものなのだから。
    科学で生活は便利になったけれど、効率や結果ばかり求められるのはどこかおかしくないかな? 何だか息苦しいよね。だって私たちは機械じゃなくて生きものなのだから。基本を変えずに、しかし驚くほどの多様さを生みだして38億年続いてきた「進化」を軸に、生きもの目線で私たちの未来を考えよう。」

    著者:中村桂子(なかむら・けいこ)
    1936年東京生まれ。JT生命誌研究館名誉館長。理学博士。東京大学大学院生物化学科修了。ゲノムを基本に生きものの歴史と関係を読み解く「生命誌」を提唱し、1993年JT生命誌研究館を創設。2002〜20年同館館長。『生命誌の扉をひらく』『自己創出する生命』『科学者が人間であること』『老いを愛づる』ほか著書多数。

  • 生命誌絵巻は何度も見ていたが、機械論からの展開を提案している点は素晴らしいと感じた.また、DNAの話で関係者の連なりの中で次々に意外な事実が見出されて、最終的に二重らせん構造モデルが生まれた歴史を語っているのが良かった.

  • 循環と多様性。生命論と機械論。色々な視点から考えることがよさそう

  • 科学全般に関する書かと思ったら、ほぼDNAとかゲノム界隈の話題がメインだった。へ~。

  • 生きものは細胞でできている。もちろん人間も細胞でできている。人間は特別な存在ではない。たくさんいる生きもののなかの人間ということを意識すれば、機械論から生命論に考え方を転換できるのでは。そうすれば現代社会の問題もよくなっていくのでは。

    そんな感じの本だった。
    難しくない言い方で、主題以外のところはあまり説明しないように、わかりやすくわかりやすくしようと展開してくれているのはわかったけれど、それでもやっぱり難しく感じてしまった。
    そもそも自分が機械論者なのかどうかもわからなくて、ネット検索で「機械論」を調べてみたらさらにわからなくなって、八方塞がりという感じ。超能力とか霊の話が好きな自分は機械論者ではないよう気がした。

    DNAの二重らせん構造が発見されたのは1953年で、約70年前のことだ。
    この70年で研究はどんどん進んでいるし、きっとこの先、たとえば70年後には新たな常識が根付いているんだろうな。そのとき自分はもう死んでいるだろうから、霊になって草葉の陰から見ていたい。

  • 誰もが薄々気付いていることを言葉にしてくれた本

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著者プロフィール

1936年東京生まれ。JT生命誌研究館名誉館長。理学博士。東京大学大学院生物化学科修了。ゲノムを基本に生きものの歴史と関係を読み解く「生命誌」を提唱。JT生命誌研究館を開設し、2002年より同館館長。『生命誌の扉をひらく』『自己創出する生命』(毎日出版文化賞)、『ゲノムが語る生命』ほか著書多数。

「2022年 『科学はこのままでいいのかな』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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