百年の誤読 (ちくま文庫 お 59-1)

  • 筑摩書房
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (483ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424945

作品紹介・あらすじ

稀代の本読み2人が、20世紀100年間のベストセラーを読みつくす!徳冨蘆花の『不如帰』や与謝野晶子『みだれ髪』から始まり、渡辺淳一の『失楽園』、五木寛之の『大河の一滴』まで。明治・大正の文豪から昭和の重鎮までを、俎上に載せて語りつくす。意外な本に感動したり、今読むと驚くほどつまらない作品だったり…。読書の喜びを教えてくれる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 時には、それは言い過ぎだろうと思う時もある。下品過ぎる物言いの時もある。が、概ねお二人の評価は正しい。と、感じた。

    振り返ってみると未読の作品が多いので、60年以降のものはさておき、明治大正の物はぜひ読みたい。

  • タイトルの『百年の誤読』というのはガルシア=マルケス『百年の孤独』の捩り。

    徳富蘆花『不如帰』から『セカチュー』まで、1900年〜2000年までのベストセラーを、著者の2人が対談方式でバンバン切りまくるという企画で雑誌『ダ・ヴィンチ』にて連載されていたものを書籍化したもの。ちくま文庫から出ております。

    1章が10年分あって、その10年間のなかで売れた本をお2人が読み返して、「今現在読むべきかどうか」ということを主軸に議論している。
    対談ということもあって、まぁ読みやすい。細かく切れ切れになっているので、ちょっとした時間に取り出して読むにはもってこいな内容なのであります。

    とはいうものの、情報量はハンパではない。
    けっこう丁寧な脚注が細かくついており、おそらく脚注だけまとめても文庫1冊分になるのではないかというくらいのボリューム。
    このジャンルならばわざわざこの「〇〇(ベストセラー本)」を読まなくても断然〇〇を読んだ方がいいよねーと引き合いに出される本・作家を激しく読みたくなる欲望を掻き立てられる。

    そして、(笑)が飛び交いまくり、下世話な話題ものぼりまくる会話のなかでわかるお2人の読書量と知識量には脱帽。
    けっこうキビしめ…というか、ガンガンぶった切る。これって売れたけどほんとにみんな読んだのか?という素朴な疑問を提起したり、全く共感できない箇所を引用して「バカじゃねーの!?」って言ったり、トンデモ本のトンデモな文章に爆笑したり。
    でも、その分褒めている本は俄然読みたくなる。

    単なる読み物として本書をかる〜く読んでしまうのもいいし、もちろんブックガイドとして参考にしてもいい。1度通読してしまっても、その情報量の多さゆえ読み返すことも可能。
    手元に置いて損はない1冊かと。

  • 解説:呉智英

  • 名前だけ知っているが読んだ事がない本が出てくる。が、解説を聞いているだけで読んだ気になってしまう。本のエッセンスを解説してくれているのだ。だから、ぜひ読もうという本と読まないでもいいなという本に分類できる。

  • 20 世紀のベストセラーを、10 年ごとの区分で各 10 冊ずつ読み直してみるという、その苦労だけでも頭が下がる思いの一冊であります。
    How-To 本がベストセラーになる時代の前後でベストセラーになる作品の質が明らかに違いますね。(^^;
    こと、文学については売れればよいってもんじゃないってことでしょう。
    ま、ものがベストセラーでも、さすがに古すぎて読んでいられないような作品もあるようですが。

  • 20世紀100年間に発表されたうち、ベストセラー100冊を取り上げての書評対談集。おまけに21世紀にはいってからのものもいくつか。面白かった。これだけ見ると、70年代以降くらいになると、読むべきものは何もないのかって思えるくらいのブッタ斬り。かといって、何もかもをくさしているわけでは当然なく、素晴らしいものにはちゃんと素晴らしい評価がなされていて、ブックガイドとしても役に立ちそうな内容。世界編も読んでみたくなりました。

  • 辛口。
    よくこれ、連載できたなぁと。しかも、本の宣伝の雑誌「ダ・ヴィンチ」で。

    でも、これでダメだダメだと書いてある本も、読んでもみたくなってくるところが、いい批評だなぁと思いした
    ほんまにそこまで非道いのかよとか。そのひどさは好きそう(笑)とか。

    はじめは、豊﨑も男の人だと思っていたのですが(名前すらみずに読んでいたという)、女の人だとわかってから、面白さが増えた感じがしました。

    まあ、「バカの壁」とかは評価されすぎだろうとちょっと思いますけどね。
    つまらん本じゃないですか。

    ベストセラーになって、残っている本と残ってない本というのがあって、やっぱり、残ってない本というのはひどいものが多いんだろうなぁという、当たり前の印象ですね。

    題名が、いいよねぇ。
    でもまあ、わたしはすべてが誤読だと思っています。そして、それで良いのだとも。

  • 1900年から2010年まで、100年間のベストセラーに最強の書評家2人がツッコミまくる。もー、電車の中で読んでて何度くすくす笑いを抑えるのに苦労したことか。バカ本には容赦なく、しかしいい点はきちんと評価していて、書評家としての実力を感じるだけでなく、基本的にこの2人は、人間としてものすごくまっとうな人たちだなと思います。自分中心で他者に想像力が及ばない未熟な精神、女性や障害者に対する偏見、自分に都合よく事実や論理をねじまげる牽強付会をきちんと見抜いて批判できるのは、成熟した精神の読み手にしかできないことですから。
    それにしても、「読みやすいけどどっと疲れる」とお二人が言われるように、近年に近づくほどにベストセラーの質の劣化が激しくなるのは、まさに目を覆うばかり。その分水嶺が1960年代にある、というのは重要な指摘で、産業社会において求められる「人材」の育て方と無縁でないのかもという気がしますね。
    解説の呉智英がそのあたりの分析をつっこんでやってくれたらよかったのに、なんだこのつまんなさは。芸のない解説より、誤読ならぬゴトクをもってきた表紙の方がおもしろいぞ。

  • 感想は真似して書くなら「チャットでやってろ(笑)」

  • ベストセラーってなんなのさ!
    売れたからさぞかし素晴らしい内容なんでしょ?と考えている方。

    その認識を改めましょう。
    そして自分で面白い作品を探す目を養いましょう。

    その手がかりになる本。

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