ちくま日本文学008 太宰治 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425089

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  • 恥ずかしながら今さら太宰治の虜になった。こんなに軽妙な文章の作家とは。『女学生』『十二月八日』『ヴィヨンの妻』のようななりきり文や『津軽 抄』の「~暴露しちゃった」等々、解説者言う所の語り口の巧さにはまった。

  • 太宰治の短編17作品を収録した本作。『ヴィヨンの妻』を目的に手に取ったところ、他にも中身はぼんやりな作品が多く再読。
    個人的に太宰の私小説、特に“陽”の部分が色濃く出る作品が大変好みなことが読み進めて分かった。同時に自己批判をするフレーズも多く出てくるけれど、それもまた捻くれた本人ぽくて良い。以下印象的な作品を簡単に。

    『ロマネスク』…3作品からなる。思い通りにいかない人生を嘆くような哀愁。
    『満願』…たった3頁強の作品な上に抽象的、なのに情景が色鮮やかに浮かぶ。何度も何度も読み返したくなる。
    『津軽 抄』…太宰が旅行した故郷・津軽で級友と会う。印象的なフレーズが多数登場。特にラストはにやっとせざるを得ない。
    『親友交歓』…「私」のもとにやってきた「友人」は見事で、あっぱれで、好いところが一つもみじんも無かった。嵐のような困った男。
    『トカトントン』…突然聞こえてくるトカトントン。熱中は恥か。
    『桜桃』…頭では分かっているけれど行動に移せない。嫁と息子にあえて背を向ける男の不器用さ。
    『ヴィヨンの妻』…酒に溺れ他の女に寄り掛かる夫を持つ妻の心情。最後の一言に全てが詰まっている。『桜桃』の後のせいか、対のように読める。そういえば映画も良かった。

  • 頭の思考が ぐるぐる漏れ出る様な、不思議な著作。
    確かに乱れた感じではあった…

  • 黄金風景
    最後に感じられる敗北と許しが印象的な本。お景は心の底ではどう思っているのか。いい記憶として残っているのか、忘れたのか。これは主人公にとっていいことで、そうでなければならないというのが性格が出ていて面白い

  • 「満願」「黄金風景」「千代女」「ヴィヨンの妻」あたりをとくに面白く読んだ。太宰治は知っているようで、まだ全然知らない。この一冊で「津軽 抄」や「女生徒」「トカトントン」「桜桃」などの名前だけ知っている名作を次々に読めたので、太宰の話がそこそこできるようになったかも。

    はじめに挙げた四作は作品として面白いうえに太宰のイメージを次々に変えてくれた。太宰のことを私小説作家だと思っていたのが、フィクションを巧みに扱う私小説作家というようなふうに。
    「千代女」や「ヴィヨンの妻」は展開の面白さで読んでいけることもさながらそれだけでなく、「千代女」は語り口の面白さ、「ヴィヨンの妻」はふいに329文字もある一文が書かれていたりする(2の冒頭の一文目)。太宰の作品をどう好きになるかを選ぶとしたら、このへんの面白さのなかに映る太宰だけのオリジナリティーか。

    解説でも挙げられる「満願」、そして「黄金風景」は一瞬の風景の美しさ(そこに行き着くための登場人物のストーリーは必要なのであるが)が描かれたいい作品。サローヤンのなかでハチドリの小説がいちばん好きなのだが、それと同じ煌めきを見た気がする。ついに太宰も好きになれたやった。

  • 「魚服記」
    「ロマネスク」
    「陰火」★★
    「満願」
    「黄金風景」★★★
    「津軽抄」★★★
    「女生徒」
    「千代女」
    「十二月八日」
    「貧の意地」★★★
    「破産」★★
    「吉野山」
    「カチカチ山」★★★★
    「親友交歓」
    「トカトントン」
    「桜桃」★★
    「ヴィヨンの妻」

  • いつもそばにある本。

    スッと手にとりパッと開いた頁をサッと目で追うだけで幸せな気持ちになる。そんな本。

    この本の厚みがいいのかな。
    デジタルでは味わえないこの感覚がいい。

    仕事場のデスクでモーニング珈琲をやりながら、ヴィヨンの妻を読む。

    今朝も幸せだ。

  • 2016年3月新着

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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