ちくま日本文学029 夏目漱石 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 190
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425294

作品紹介・あらすじ

一人の真面目な江戸ッ子。とびきり上等の日本人。

感想・レビュー・書評

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  • 毎度ながら、ちくま日本文学の編集・構成は素晴らしいなぁと感心する。

    江戸っ子として生まれ→教師として生きるも見栄ばかり張って格好がつかず→幽玄の美しい世界にさまよい→本当の臨死体験を経て→自分本位、個人主義という考えをようやくしっかりとつかむ

    ひとつの流れ、漱石という人の生涯を貫いているものが、読者にそれとなく伝わるような構成にちゃんとなっている。

    『坊っちゃん』を久しぶりに読んだら、昔はただの娯楽小説だと思っていたのに、小説のお手本のように完成された素晴らしい作品で感動してしまった。

  • 「坊っちゃん」★★★
    「吾輩は猫である(抄)」
    「夢十夜」★★★
    「思い出す事など(抄)」
    「私の個人主義」★★

  • 江戸っ子だなぁ

  • 坊っちゃん
    吾輩は猫である 抄
    夢十夜
    思い出す事など 抄
    私の個人主義

    夏目漱石は以前に「こころ」を読んだことがあって、やや読むのに難しい印象があったが、今回の「坊ちゃん」「吾輩は…」は軽快でおもしろい。

    坊ちゃんのまっすぐな性格、羨ましい。
    清のように信じていてくれる人がいることも。

  • 2016年3月新着

  • 夢十夜だけ読了。

  • 「文豪・夏目漱石」

    <マイ五ツ星>
    先生:★★★★★

    <収録作>
    『坊っちゃん』
    『吾輩は猫である』(抄)
    『夢十夜』
    『思い出す事など』(抄)
    『私の個人主義』

    <お気に入り>
     吾輩は椀の中を覗き込みながら、早く誰か来てくれればいいと念じた。やはり誰も来てくれない。吾輩はとうとう雑煮を食わなければならぬ。最後にからだ全体の重量を椀の底へ落すようにして、あぐりと餅の角を一寸ばかり食い込んだ。このくらい力を込めて食い付いたのだから、大抵なものなら噛み切れる訳だが、驚いた!もうよかろうと思って歯を引こうとすると引けない。もう一辺噛み直そうとすると動きがとれない。餅は魔物だなと疳づいた時はすでに遅かった。……(『吾輩は猫である』より)

     余は、病に生き還ると共に、心に生き還った。余は病に謝した。また余のためにこれほどの手間と時間と親切とを惜しまざる人々に謝した。そうして願わくは善良な人間になりたいと考えた。そうしてこの幸福な考えをわれに打壊す者を、永久の敵とすべく心に誓った。
      馬上青年老  鏡中白髪新
      幸生天子国  願作太平民
       ……(『思い出す事など』より)

     元来をいうなら、義務の附着しておらない権力というものが世の中にあろうはずがないのです。……(『私の個人主義』より)

    <寸評>
    明治~昭和の著名な文豪の作品を、480ページほどにしぼった『ちくま日本文学』シリーズ。先に紹介した『鹿男~』で『坊っちゃん』を再読したくなったこともあって、漱石を手に取ってみた。

    『坊っちゃん』『吾猫』とオーソドックスな2作品から始まり、後半はなかなか渋めなチョイスが光り、漱石の足跡をかくも見事にまとめている。

    中でも『夢十夜』は「こんな夢を見た」という十編の読みやすい掌編でありながら、漱石の他の小説に通ずる様々な顔が見られて、何度も読み返したくなる作品群だ。
    ここはあえて紹介はとどめておきたい。
    きっとお気に入りの掌編に出会えるはずである。

    そして自分の死に瀕した胃潰瘍の病床の様子を、詩歌を添えて綴ったエッセイ『思い出す事など』と、その後死の2年前に学習院大学で学生たちに向けて講演した内容を綴った『私の個人主義』は、ある種のメッセージ性を伴って“漱石先生”の思いを現代に伝えてくれる。

    教壇生活も長かった漱石の一言一言が、奇しくも教壇に立つ身である自分にとって、偉大な先達の教えとなって、忘れられないものとなるであろう。

    ちなみに大好きな作品である『こころ』が数年前の“読者が選ぶ新潮文庫”第1位に選ばれたときは、なんとなく嬉しい気持ちになったものである。

  • 意外と笑要素が多い。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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