- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480425898
感想・レビュー・書評
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こんなに大真面目に
論じられたのでは
粛々 ふむふむ
と 読み進めるしかないですね
田中優子センセイ
の 男女の交合い大講義
とても 楽しく興味深く
読ませてもらいました
本文中に出てくる
そのモノの描写だけではなく
男と女の人間の関係性を描いている
という論評には
なるほどと深く感じ入りました
いつの時代でも
どの国でも
男と女が存在する
この地球では
普遍的な事象なのでしょう詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
春画のからくりというタイトル通り、春画の見所、解説、解釈、変遷が見事にまとまっています。
なるほど、そういう解釈をして楽しむ(エッチな気分になる、という意味ではなく、単純に笑う)ものなのかと、春画の奥深さを感じます。
春画は笑いの種として親しまれていたようですが、いや多人数で見るのも恥ずかしいし、しかもそれを笑いに変えるとなると、僕にはなかなか理解できません。それだけ性に奔放だったのでしょう。
死が日常であった時代だからこそ、生=性も日常的なものとしてあったのかもしれません。
大学時代の卒業旅行で秘宝館に行きまして(笑)そこにはもちろん春画があったのですが、本書のような解釈が添えてあったら、もっと違った視点から見れたのに……と残念でなりません。絵師の意図を汲み取る鑑賞者の教養を求められます。表現者と鑑賞者、送り手と受け手のルールが存在し、故に門外漢などが見るとその魅力が半減し、大衆受けの不毛な作品に成り下がってしまいます。これは春画に限らないことですが、送り手と受け手のギャップによって、本来評価されるべき作品も評価されなかったり、また逆のことも言えます。それで言えば、春画は評価されて(単なるポルノ作品として扱われなくて)良かったです。
ふと思ったのですが、じゃあ現代のポルノ作品で、後世にまで受け継がれそうな『芸術性の高い』ポルノ作品はあるのでしょうか?
『見える・見えない』や『隠す・隠さない』によるエロティシズムとは鑑賞者に想像力を働かせる余地を残しているため、そこに更なるエロスを感じることができる。確かにそうですね。『脱げばいいってもんじゃない もっと色気出して』と言われたら、隠す表現がどうしても重要になってきます。
なかなかに面白かったのですが、挿絵がカラーだったらもっと良かったのに……と思わずにはいられません。
僕の評価はAにします。