江戸百夢 近世図像学の楽しみ (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426994

感想・レビュー・書評

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  • 大変楽しく読ませてもらった。特に広重の『名所江戸百景』は原典も見てみたい。

  • 近世の世界各地の図像から、著者の自由な想像力が展開されています。

  •  主に絵画(他美術作品含む)をめぐる美術エッセイ。江戸文化の片鱗から夢想するその時代の精神性や人物評はいきいきとして読んでいて愉しい。他方、記述の中に妙な政治思想的偏りの記述が散見するので気になっていはたが(特に『民族支配の世紀』の項や異様なまでの中国びいきのところなど)、文庫版あとがきから著者の政治思想的スタンス(「週刊金曜日」編集委員)を知る。そういう著者の気質であることが判れば、見え隠れしていたもののいろいろが腑に落ちる・・と同時に著作(著者)の興味は半減。
     『「春画」における性交は、開け放れた空間で行われることが珍しくない。性交はかつてこんなふうに、豊饒を意味する「めでたい」行為だった。』と謳いあげる針小棒大の思考に苦笑。

  • 江戸、といっても日本美術ばかりではない。
    江戸時代の頃の海外の美術作品も、少数ながら取り上げられる。
    文庫で安価に、扱いやすくなったけれど、やはり図像が命のこの種の本は、やはり大型のもので読みたい。
    田中さんの好みもあって、屏風の名所図会のような、都市図が多く取り上げられているが、こういうものは拡大して見たい。

    日本、琉球やアイヌ、中国、朝鮮半島、そしてヨーロッパと、近世社会の発展の中に美術作品を位置づけていくことがところどころであった。
    ただ、惜しいのはそれが初出誌の時数の制限で、もう少し詳しく読みたいなあ、と思うところで終わってしまう。
    まだ読んでいないが、『江戸の想像力』とかの方がいいのだろうか。

  • 2010年刊行(底本2000年。一部の雑誌連載1992年刊行)。江戸期の絵画・彫刻などに解説を付した書。興味深い書なのだろうが、こちらの文学的素養か不足し、本書に付いていく力量は持ち合わせていない。残念…。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/448042699X
    ── 田中 優子《江戸百夢 ~ 近世図像学の楽しみ 20000605 朝日新聞社 20100510 ちくま文庫》
     
    ♀田中 優子 江戸文化 19520130 横浜 /エッセイ/201404‥ 法政大学総長
    /サントリー芸術財団理事、大佛 次郎選考委員、開高 健賞審査委員。
    ── 《サンデーモーニング ‥‥ TBS》和装コメンテーター
     
    …… 机は、向かって前辺が後辺より長く(台形で)なければならない。
    http://blog.goo.ne.jp/adlibrary/e/8a9e3c62a259a6173583dab1006f7dba
     憂国図法 ~ 遠近透視図以前の日本画 ~
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%B1%F3%B6%E1%CB%A1
     
    (20140907)
     

  • 洋の東西を問わず、江戸時代と同時代の美術作品を百集め、堅苦しくない視点から解説してくれる一冊。
    ゆったりと美術館を回った後のように、読後には心に栄養が満ちていくのを感じる。
    江戸時代の日本人の美術に対するユーモアにはハッとさせられることが多い。誰も皆きっと、「アート!」とか「美術!」とか肩肘張ることなく、自由な発想で(それもきっと自由すら意識することなく)、ただ楽しさを追い求めている。羨ましい時代!
    江戸時代は様々な要素が混ざり合った「るつぼ」と作者は表現していたが、まさにそうだったのだろう。多くの絵画にも用いられているモチーフ、作者の言葉を借りれば「ぎっしり絵」のように、多くの人間(動物も)が行き交い、それぞれに騒ぎ立て、熱気がむんむんとし、汗が飛び散っている。そんな熱狂の時代、そしてその熱狂から生まれた美術作品は、エネルギッシュでとっても好ましい。
    特に気に入ったのは「あたま小紋」、国芳、「江戸のSF」 「溶解する花鳥」「蠱感する褒」など。
    質と量は比較されがちだが、「量による圧倒」がその作品の質を決定づけることもあるのだな、とこの本の中で語られる「百」という概念を読んで思いました。

  • 北斎展が面白かったので、江戸時代にもう少し沈潜してみたい。

  • なかなか知的。田中優子さんがこういう文章を書く人だとは知らず。アートと文化の交差点、そして江戸時代。自分とそれ程としが離れているやけではないのに、感心しきり。―-その後、2020年1月古書で購入。

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著者プロフィール

1952 年神奈川県横浜市生まれ。江戸文化研究者、エッセイスト、法政大学第19 代総長、同大名誉教授。2005 年紫綬褒章受章。『江戸の想像力』( 筑摩書房) で芸術選奨文部大臣新人賞受賞、『江戸百夢 近世図像学の楽しみ』( 筑摩書房) で芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞を受賞。近著に『遊郭と日本人』(講談社)、
『江戸問答』( 岩波書店・松岡正剛との対談) など

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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