地名の謎 (ちくま文庫 い 72-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428325

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  • 地名を探ると日本が見えてくる。




    「数え歌」のような地名を取り上げている。青森県東部から岩手県産北部へとよくこれだけ並んでいるなあと思う。一戸(いちのへ)町かから九戸(くのへ)町に至る。ただ、四戸(しのへ)は、青森県八戸市西部から名川町にかけての地名だったそうだが
    今では存在しない。





    思わずなんだこの地名は思うのが「十八女」だ。どこかの「喝だ!おじいさん」が言いそうな言葉だが、女性とは関係なかった。読み方はサカリだ。現在、徳島県阿南市十八女町になっている。





    地名は読み変えられていくそうで、例がいくつか上がっている。その1つが観光で有名な日光だ。もとをたどると捕陀落(ぶだらく)と呼んでいた。フダラクとは、仏教用語で梵語の「ポタラカ」にあたり、「観世音菩薩の住む山」を意味した。




    それが「二荒(ふたら)」、「二荒(にこう)」、「日光」へと変わっていった。





    今では人間の名前同様「キラキラ地名」もある時代。これからどうなっていくのかな。

  • 解説:泉麻人
    地名を見れば歴史・風景が読める◆各地に息づく魅力の地名◆人の営みが地名を変える◆苦心サンタンの新地名事情◆整然とした地名はお好きですか?◆日本列島をつなぐ点と線◆都道府県名の起源

  • 枕詞「飛ぶ鳥の」がアスカという地名(の表記?)に乗り移る。
    長い町名(嵯峨二尊院門前善光寺山町)、企業名そのものの地名、「イ」「ロ」「ハ」「ニ」「平」という町名、「中央」好きが高じて「中央東」「中央北」ができてしまった上田市の地名などなど。
    よくもこんなに面白い地名ネタを掘り起こしてきたものだ、と感心してしまう。

    本書は、地形的な特徴を名づけに使った「自然地名」の話から始まる。
    地名には地形、歴史が書き込まれている―という話から始まるのだが、実はそういう原理的なお話はほんの序盤だけ。
    地名は長年の間に、人間社会の様々な要求、欲望から変化を余儀なくされ、原理原則どこへやら、例外ばかりの様相を呈する。
    私にはそこがまた、面白かったりする。
    なお、古い地名はバス停の名前に残っていることが多いそうだ。

    今尾さんの本はこれまでにも何冊か読んだが、本書は比較的軽い感じではないだろうか?

  • 新書文庫

  • (*01)
    近代以降(*02)の地名の由来が主な対象となっており、特に昭和、平成の合併により生じた市町村名などの事例が多数収集され分類分析されている点で類書を凌駕しているものと思われる。
    地名研究の多くは、その地の歴史を遡るための一方法として実験されており、既に古名の発掘と保存と保護を含んだ研究としている。本書も過去への遡及的な分析の重要性を説いてはいるものの、面白さは、むしろ、歴史的な地名がどのように壊されて(*03)合わされて緩くされているかの、現代の地名破壊の過程への言及にある。市町村合併により現れた地名の苦々しさの事情は、当事者でない者には笑えてならない。

    (*02)
    鉄道と駅名については著者が得意とする分野でもあるのだろう、地名との齟齬や関連が興味深く読まれる。また、バス停と地名との交錯、企業の範囲や施設の範囲についても近代地名を読む上で欠かせない視点である。

    (*03)
    地名の壊れ方と命名が併行的に発生している事情については、「新地名9つのパターン」に詳しく、ここに挙げられている事例は近代のものであるが、近世以前の棄名と命名にも同様の事件が起こっていたことも推察される。

  • 一度行ってみたい瀬戸内海小豆島。しょうどしまと読むのだが古代ではあずきしまだったそうな。音読みに変えられたのは漢語調のほうがカッコイイからでは?とこの本では解説されているが、小豆好きとしてはあずきのほうが嬉しいなと。

  • 味のある地名に出会うと楽しい。私の地元の町も合併して、郡名と同じ町名になりました。画数の多い漢字を二回書かねばならない。ひらがなでないだけマシか。お隣は旧国名をフィーチャーした(笑)新市名になりました。

  • どうしてこの土地の名前はこうなったのだろう?という謎が解ける一冊。最近の地名は本当につまらなくなりましたね。地元の地名があると、思わずおおお!となります。面白かった!

  • 「ちくま文庫版あとがき」、平成の大合併による新自治体名は、相当なさけない。

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著者プロフィール

今尾 恵介(いまお・けいすけ):1959年横浜市生まれ。地図研究家、エッセイスト、フリーライター。中学生の頃から国土地理院の地形図に親しみ、時刻表を愛読する。音楽出版社勤務を経てフリーライターとして独立、イラストマップ作成や地図・鉄道関連の著作に携わってきた。著書に『日本の地名おもしろ探訪記』『日本地図のたのしみ』『ふしぎ地名巡り』(以上ちくま文庫)、『地名の楽しみ』(ちくまプリマー新書)ほか著書多数。

「2023年 『ふらり珍地名の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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