- Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480429728
作品紹介・あらすじ
第2部「コゼット」を収録。幼いコゼットを残して死んでいったファンチーヌとの約束を果たすべくジャン・ヴァルジャンは脱獄、コゼットを救い出す。パリに移り住んだ二人に忍び寄る警察ジャヴェールの冷酷な眼。包囲されたことに気づいて間一髪で逃げ出した二人をジャヴェールが追いつめる…。劇的なスリルとユゴーの宇宙的な夢想が、読む者の心を魅惑する。
感想・レビュー・書評
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とにかく「ワーテルロー」が長すぎる笑
ジャン・ヴァルジャンがコゼットを連れて逃げ出すところはスリル満点。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
無実の男のために徒刑因に逆戻りしたジャン・ヴァルジャンは、亡きファンチーヌとの約束を果たすべく脱獄する。
愛ゆえの逃亡劇がスリリングで、非常に面白い展開が続くのだが、歴史小説としての側面を持つ本作はところどころで遠慮のない脱線をしてくれる。第二部ではワーテルローと修道院のマニアックすぎる描写で辟易してしまった。これはこれで価値のある部分なのだろうけれど、「早く話進めろや」と思ったなら飛ばし読みもありかも。
とはいえ、ジャンとコゼットの運命に感情移入してしまうので先が気になり、一気に読めるストーリーだ。ジャヴェール警部という悪役も存在感があり、サスペンスを引き立てる。本巻のVIPはあのご老人。さぁこの後どうなる?
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原書名:Les Misérables
第二部 コゼット
著者:ヴィクトル・ユーゴー(Hugo, Victor, 1802-1885、フランス、小説家)
訳者:西永良成(1944-、富山県、フランス文学) -
モントルイユ・シュル・メールの市長として生きていた徒刑囚ジャン・ヴァルジャン。自分と間違われてジャン・ヴァルジャンとして監獄送りになりそうな男と救うため名乗り出る。「私がジャン・ヴァルジャンだ」と。自分が彼の立場ならどうする?どうする?なかなか答えが出ない。これは一巻の話。
二巻では、監獄からうまく抜け出し、コゼットを迎えに行く。すさまじい身体能力を駆使してジャベール警部の追跡を逃れるシーンは鬼気迫るものがある。 -
全470ページの内、170ページ程が、ワーテルローの戦いとフランス革命後の修道院に関する記述で占められている。特に修道院については、ユゴーが語る語る。中世の腐敗した教会組織を否定しつつ、キリスト教と近代の政治思想とに、いかに整合性をもたせるか。論理展開にやや無理がかかるだけに、ユゴーはいつにもまして饒舌だ。(昔読んだミルトンの『失楽園』もやはり、近代思想をベースにキリスト教を読み直そうとする試みをしていたように記憶している)。で、その部分はジャン・バルジャンの物語を追うには必ずしも必要でないわけで、レ・ミゼラブルについて数多の抄訳が出るのも、この第2巻を読めば納得だ。ワーテルローの部分は正直ちょっとつらかった。ちなみに、このあたりのことは巻末の解説に実にうまく書いてあり、読後思わずひざを打ちましたよ。
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第二部 コゼット
物語の続きに入る前に、ワーテルローの戦いが描かれる。作者の考えたことを含めて、”戦い” その歴史的な意味の考察が。
そしていよいよ再びの脱獄からコゼットを救い出し隠れ住む。ジャベールに見つかり追跡される。次の舞台となる”修道院”についてもかなり語られる。それによってこの物語の時代の息吹を感じることができる。こんなこと言わなくてもと最初は思ったけれど、物語の奥行きを見せてくれる。
釈放されたあと、再び転落してもおかしくないところをミリエル司教に助けられた。そして今また修道院に助けられる。神は見ていらっしゃるということか。