ジェイン・オースティンの読書会 (ちくま文庫 お 42-11)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 159
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480431066

感想・レビュー・書評

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  • ジェイン・オースティンを、一度も読んだことがないのに、この読書会に参加する無謀。

    でも基本は登場人物それぞれの物語が中心で、しかもハッピーエンドだった!
    好きなタイプのストーリーでした。
    映画もいつか見たいな。

    何歳でも、色々なことってできるのかもな。って、少し励まされました。
    最後にも出てくる、このオースティンの言葉を意識してみよう。
    まずは、このオースティンから読んでみようか。

    「何かを好きになる習慣が大事なんです」
    ノーサンガー・アビー 第22章

  • もともと気になっていた本だったのに読む機会をなんだか逃してしまい、このたび文庫化されたので手に取ってみた。それに、同じような催しに関わる機会があり、参考になるかも?という動機も少し。

    オースティンの全6長編を課題図書とし、アメリカ西部に住む20~60代くらいの男女が読書会に集う体裁を取った小説。私自身、オースティンの作品はエッセンス程度にしか読んだことはないのだけれど、その情報量の少なさをもってしても、この作品が巧妙にオースティンの各長編のエッセンスをちりばめ、展開をなぞりながら進んでいる(のだろう)というのがよくわかる。はた目から見るとコミカルで辛辣などたばたはもちろんオースティン作品からの借りものだけれど、実は近しい人とのシビアなすれ違いを描く様子は、エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』に似ているような気がする。

    オースティンのピンポイントなファン向けの本かと思っていたものの、渋くて繊細なアメリカの家族ドラマとして面白いし、本を介した思いがけない出会いや展開など、結構間口が広く読めるような気がする。個人的には、『ノーサンガー・アビー』を課題図書にした第4章が好み。まったく接点のない男女を出会わせる仕掛けはもちろんオースティン作品仕込みだけれど、この章の味付けはウディ・アレン風に感じられる。しかも、オースティンを好む人がほとんど読まないであろう分野を投入し、しかもそれが無理なく鮮やかにまとめられていて驚いた。

    ちくま文庫に入ったということで、訳者もちくま文庫のオースティン訳を手がけられている中野康司さんに交代され、オースティンを好むかたには、本編のオースティン作品とのクロスリファレンスがしやすくなったと思う。もちろん、オースティンに造詣が深くなくても、巻末の「読者のためのガイド」が充実しているので、つまみ読みしながら本編を読み進むこともできる親切設計。ただ、私は単行本の装丁が好きだったので、そこは残念かも…それに、催しものをうまくまとめるには、ちょっと参考にはならなかったかなあ…でも、結末はオースティンでありアメリカドラマであり、とてもきらきらして素敵ですよ。

    • manuさん
      良質な連作短編集という感じでした。アレグラとグレッグの子供時代の話はうまいなーと思いましたし、バーナデットの結婚話は笑いました。でもあくまで...
      良質な連作短編集という感じでした。アレグラとグレッグの子供時代の話はうまいなーと思いましたし、バーナデットの結婚話は笑いました。でもあくまで辛口。オースティン節でしたねぇ。
      2014/01/31
    • Pipo@ひねもす縁側さん
      niwatokoさん:

      訳者さん交代の件は、私もちくま文庫の新刊情報で知ったくらいなので(笑)。

      古い作品ではないから、特に改訳...
      niwatokoさん:

      訳者さん交代の件は、私もちくま文庫の新刊情報で知ったくらいなので(笑)。

      古い作品ではないから、特に改訳はいらないとは思うんですけど、ちくま文庫内のオースティン作品と語調が揃うので、セット持ち(というんでしょうか)にはこちらのほうが向いているかもしれませんね。でも、プレゼントやらなんやらで人からいただく機会があれば、単行本のほうがなんだか嬉しいです(笑)。
      2014/01/31
    • Pipo@ひねもす縁側さん
      manuさん:

      おっしゃるとおり、巧みな連作集ですね。主人公をリレーで替えていく作品集は特にアメリカで流行っているように思いますが(私...
      manuさん:

      おっしゃるとおり、巧みな連作集ですね。主人公をリレーで替えていく作品集は特にアメリカで流行っているように思いますが(私がそんなのしか読んでいないからかもしれませんが)、構成力がないとすごく退屈なもので終わってしまいますからね。

      アレグラやグリッグの子ども時代の描写は、アメリカ文学でしかありえないようなうっ屈(でもアメリカ的に浅い)と細やかさが感じられますし、バーナデットの人生が文字どおり波乱万丈だったりと、面白さと可笑しさ、寂しさがオースティン作品から巧みに変換されていて、飽きずに読みました。本歌取りとしては最高レベルに近いんではないでしょうか(自分の読書歴比ですが)。
      2014/01/31
  • 私たちはみんな自分だけのオースティンを持っている。カリフォルニア北部サクラメント郊外が舞台女性5人男性1人が各家持ち回りで6つの長編マンスフィールド・パーク、分別と多感、エマ、ノーサンガーアビー、高慢と偏見、説得を6カ月で開催される読書会。

  • 本書の一人称の語り手が、登場人物のうち誰なのかを特定しようとしてみたのだが、どうやらこの「私」は、本当に私、つまり読者であるらしい。あるいは、この読書会のメンバーに著書を読まれているジェイン・オースティン自身が、本の中からメンバーを観察するという形で読書会に「参加」していると考えても面白い。

    さて、ジェイン・オースティンの読書会の読書会をして、何が書いてあるか男性には半分も解らないのかどうか聞いてみたい。
    作家志望の恋人に心の秘密を打ちあけて作品のネタにされたアレグラの気持ちは、同じ憂き目に合った者には本当に身につまされるだろう。あらかじめ率直に相談されていれば何でもないことなのに、そうでないことが許しがたい裏切りになる。相手が急に卑しいコソ泥のように感じられて、しかも「たかがそのくらいのこと」を根に持っていると思われるのも、自分の狭量を認めるようで癪なのだ。
    プルーディーのママの堂に入った悪びれない狡さといい、挿話のひとつひとつがあるあるのオンパレードである。が、これは母娘、女性同士特有の現象なのだろうか?

    巻末にメタな読書ガイドのおまけつき。

  • 人生にこういう時期ってあるよね、と甘さと切なさを感じながら読み終えた。
    オースティンの全長編を順に読書会で取り上げる、ということは、意識してではなくても期限付きの仲間だということ。
    この先、会い続けるメンバーもいるのだろうけど、同じ空気ではないだろう。
    この時期がどのメンバーにも人生最良というわけではない、でもなんかさ、あるよね。
    と、余韻は良かったし、メンバーの過去も、悲劇を喜劇に変えつつ丁寧に描かれていて良かったのだけど、現在と未来ももう少し書いて欲しかったな…。
    何せ本歌がオースティンなので、メンバーの現在の心情や関係の推移を、オースティンならもっと事細かに書くよね…と思ってしまう。
    それに、皮肉も込めてだとは思うものの(エブリシングハッピー!というわけではないので)、全員ロマンスエンドなのもやっぱりちょっとガクッとなった。
    私はオースティンファンだけど、SFも好きだよ!

  • 2020/12/19購入

  • 本の本
    古典

  • ジェイン・オースティンについて延々と論じるのを期待していたが、そうでもなかった。

  • 面白かったです(^-^)

    現代版オースティンが読めるのかな?と
    思っていましたが、作風は違っていました。
    オースティン作品とその読書会を通じて
    登場人物たちの過去と現在が描かれています。
    舞台であるアメリカの人たちが映し出された小説でした。

    SFテイストの作品ではないですが
    SF作家さんが書かれたのでSFマニアの人が
    読んでも面白いかもしれません。

  • オースティンを全訳した中野氏の翻訳で文庫が出たので読んでみた。映画は見ているが、これストーリーよりオースティン論を楽しむ内容なので、小説のほうが向いている。もっとも、オースティンは好きで全部読んでいるが、忘れているので(私はいつもこうだなー)細かいオースティン談義にはついていけず。再読しながら読むと面白いだろう、処分せずに保存しておこう。
    映画の記憶もなくて(オイ)グリッグはコリン・ファースのイメージだったがヒュー・ダンシ―とはえらく若いイケメンだったのだね。ジョスリンはエマ・トンプソンあたりが本筋だろうが、マリア・ベロとはこれまた若いセクシー美女だこと。
    最終的には皆お相手を見つけてハッピーエンドというのもオースティン流だ。

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