戦争と新聞: メディアはなぜ戦争を煽るのか (ちくま文庫 す 24-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480432957

感想・レビュー・書評

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  • 筆者も後書きで書いていたけれど、白虹事件とかまんま今の時代において同じことが起こっている。

  • 本書は2つの観点で有益であった。
    一つは新聞記事を通じて日本の近現代史を復習できること。教科書的なまとめ方ではなく、実際の新聞の見出しに基づいているので史実に妙なリアリティがあって印象強く頭に入ってくる。
    二つ目は本書の主題である戦争と新聞との関係についての事実を知ることができる点である。その概要はほとんど「はじめに」に書かれてあって、要は新聞社にとって戦争は儲けの源泉であり、自社利益拡大のために軍部の尻馬に主体的に乗って大衆を煽ったのだ。この程度のことは類書にも多く書かれているが、新聞社の幹部を政府の要職に採用して『閣下』と呼ばせて懐柔していたことは知らなかった。今でも新聞社は戦前の言論統制を軍部による力の行使と責任転嫁しているが、自ら忖度して自制していたという側面も強調されていい。戦後も忖度の相手がGHQに代わっただけで、終戦をもってしても新聞社の本質は何も変わらなかった。

    幸か不幸か、もはや新聞に社会を変える力はなくなった。今までの「訓戒的な」物言いを深く反省し、終章で著者が提言するように「問題設定」型の言論機関として再出発する以外に生き残る道はなさそうである。

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著者プロフィール

成蹊大学文学部教授。1942年生まれ。東京大学大学院博士課程修了、社会学博士。毎日新聞ワシントン特派員、政治部副部長、論説副委員長を経て、1997年から現職。2000年、ハーバード大学客員研究員、2002年から08年まで成蹊大学アジア太平洋研究センター所長を兼務。
著書に『デジタルは「国民=国家」を溶かす』『地方テレビ局は生き残れるか』『ナショナリズムとメディア』『日米「危機」と報道』『戦争と新聞』など多数。

「2010年 『フィリピン革命を食った人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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