二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)

  • 筑摩書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433435

感想・レビュー・書評

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  • 精神科医ウィリング9作目。

    自分の名を語る男を追いかけて、
    小さなパーティーに潜り込んだウィリング博士。
    なんとかその男を連れだしたが、
    嘘をついた訳を聞き出す前に死んでしまう。
    そして、翌朝にはパーティに出席していた他の女性も
    亡くなってしまった。

    パーティに使われていたグラスが全て色違い、とあった時点で
    毒殺を疑っていたが、
    それほど単純な話ではなかった。
    何のためにパーティーに集まっていたのか。

    キャッチ―な幕開けから、スピーディーな展開と
    全く騒々しくないのにドラマチックで素晴らしい。
    そして、ウィリング博士は結婚していた。

    主人公の私生活が最低限しか明かされないというのも、
    このシリーズの魅力の一つかも。

  •  マクロイのウィリングものもこれで全部読んだかな。1950年代初頭の作品なので時代を感じさせるが、たまにこういうのを読むとなんとなく懐かしいというかのんびりとして楽しい。しかしテーマは非常に現代的で70年前の作品とは思えないほど。狭い範囲の話なのでミステリ的にはどうということもなく、怪しいものが怪しいという帰結になるのだが、それはそれとしてウィリング博士の活躍を楽しむべきものだろう。

  • ウィリングの名を騙る謎の男を追って、ウィリング博士が巻き込まれた奇妙な毒殺事件。登場人物の誰を見ても怪しくって仕方がありません。犯人の目的がなんなのかということも含めて謎が多く、惹きつけられる展開のミステリでした。
    犯人が誰か、ということはなかなか分からなくって(毒を盛るトリック、分かってみれば簡単なことなのだけれど。知らなければこれは気づかないでしょう)。でもそれよりも、事件の動機が……そういうことだったの!? これにはぞっとさせられました。この集まり、怖すぎる!

  • 自分と同じ名前を名乗る人物に偶然居合わせてしまい、追跡するうちにその人物は毒物で死んでしまう。本来は自分を狙った犯行なのではないか。
    シリーズ物。ニューヨーク生まれ。イギリス物と違ってなんだかかっちりしてない感じが結構気に入った。当然ミステリーは何作も書いている人らしく、読み終わってみれば、シンプルな題材で、このように読者を引っ張る力強さに作者のうまさを感じた。あんまり当時の描写がないのがちょっと物足りないかな。結構皆酒に依存してるね。時代は変わっても何かに依存するして身動き取れない人はいるものだ。

  • 古き良き時代のミステリといった印象。プロットは面白いなと思いました。やや時代がかった翻訳調が味があって心地よい、と感じるか好みが分かれるかも。

  • ウィリング博士シリーズ。今回はとっかかりからなかなか面白かった。ちょっと最後あっけなかったかな。

  • 謎解きそのものよりも豊かで寛容だったニューヨークの雰囲気を楽しんだ。
    唇を歪めてアメリカファーストと言い募る大統領なんかいなかったころ。政治的に正しくないかもしれないが、女性のドレスは美しく、男性は礼儀正しかったころ。

  • ウィリング博士の名を騙る男の謎、犯人はその男目的で殺したのかあるいはウィリング目的で殺したのかという謎、そして「鳴く鳥がいなかった」というダイイング・メッセージと、魅惑的な謎の畳み掛けで一気に引き込まれます。
    真相もなかなか衝撃的で満足感はありますが、中盤がやや弛み気味なのと、ウィリングを名乗る男の謎が肩すかし気味なのが残念です。

  • 「あなたは誰?」が面白かったため、ヘレン・マクロイの「二人のウィリング」を読んでみた。
    本作も精神科医ウィリング博士シリーズ。

    ある日、ウィリングは“わたしはウィリング博士だ”と名乗る男を偶然見かける。自分の偽物が気になったウィリングは男の後を追う。
    男が入った家ではパーティが開かれており、ウィリングも紛れ込むと、そこで仕込まれた毒によって男が死んでしまう。

    ウィリングが今回も見事に事件を解決してみせるわけだが、物語としては「あなたは誰?」の方が面白かったように感じる。
    同じようにウィリングが登場人物を心理学的に見て推理するのだが、やや説得力に欠けるような、それ程驚くわけでもないというか。

    毒を飲ませる手法も無理があるように感じる。
    なんというか全体として物足りないようなモヤっとした印象だ。

    派手ではないサスペンスやミステリーは好きで、ヘレン・マクロイの描く人びとや当時の裕福な暮らしの様子なども好きだ。本作でもそういう描写は素晴らしかった。
    まだ他のマクロイ作品も読んでみたい。

  • 自宅近くのたばこ屋で自分の名を騙る男に遭遇して後をつけていったウィリング博士。するとその男はある屋敷のパーティー会場に入ってゆき…
    さすがマクロイ、冒頭から引込まれる展開である。パーティーの参加者たちに疑いがかかり、ウィリングが話を聞いたりそれぞれ疑心暗鬼になったりするところはクリスティみたいに読み応え。レトロだけど面白かった。

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著者プロフィール

Helen McCloy

「2006年 『死の舞踏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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